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答弁本文情報

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昭和六十二年二月二十四日受領
答弁第五号

  内閣衆質一〇八第五号
    昭和六十二年二月二十四日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員草川昭三君提出蚕糖事業団をめぐる諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員草川昭三君提出蚕糖事業団をめぐる諸問題に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)が昭和六十二年一月に行つたカビ害が発生した生糸の売渡しについては、カビ害の発生した生糸は先染め織物用に使用する等用途が限定されており、売渡しに係る当該生糸の適正な使用を確保するためには、ねん糸を製造しこれを先染め織物業者に販売する実績を有する者に対して行うことが適当であることから、一般競争入札の方法によらなかつたものである。また、当該売渡しは、繭糸価格安定法(昭和二十六年法律第三百十号。以下「法」という。)第十二条の二第一項の規定に基づき実施したものである。なお、過去には同様の方法によりカビ害が発生した生糸が売り渡された例はない。

二について

 当該生糸の売渡しについては、法附則第四項の規定により読み替えて適用される法第十二条の二第一項の規定に基づき、法附則第三項の農林水産大臣の承認を受けた計画の定めるところにより実施されたものであり、その価格については、同条第三項の規定に基づき農林水産大臣の承認を受けて定められたものである。

三について

 当該生糸の売渡しは、原則として十俵を単位とする荷口で行われており、カビ害の発生の確認についても当該荷口ごとに行われた。また、カビ害は、昭和六十年十月に、五泉その他の織物産地で、同年九月に事業団から生糸の売渡しを受けた者により、最初に発見されたものである。

四について

 当該生糸一キログラム当たりの売渡価格は、カビ害の程度により荷口ごとに異なるが、六千五百円から八千五百円程度である。

五について

 当該生糸の売渡予定価格は、事業団が、学識経験者及び生糸流通業者の意見を参考として、荷口ごとのカビ害の程度に応じて、時価に準拠して算出したものである。したがつて、当該売渡予定価格の設定により、事業団に損害を与えた事実はない。なお、一般論として、事業団の職員が故意又は過失により事業団に損害を及ぼしたときは、事業団の内規により、適切に処分することとなつている。

六について

 事業団の在庫生糸の評価については、事業団は、毎事業年度、荷口ごとに個別原価法に基づき算定し、その合計額を長期保管生糸期末棚卸高として、決算書において明らかにしているところである。

七について

 事業団は、御指摘のような事態の発生に対処するため、生糸の買入れに際しては、売主に対して瑕疵担保責任を課しているところである。

八について

 事業団は、法に基づき、繭及び生糸の価格の安定を図るため、生糸の買入れ、売渡し等の業務を行うことができるとされており、買入れが行われた場合には一時的に在庫が増加することになる。

九について

 公正取引委員会は、昭和六十一年十二月、日本器械製糸工業組合(以下「日器工」という。)が組合員の生糸の生産数量及び出荷数量を制限していた疑いが認められたので、日器工に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第八条に違反するおそれがあるとして警告を行つた。なお、その際、公正取引委員会は日器工に対し不況カルテルの申請を勧めた事実はない。また、農林水産省としては繭生産の現状等にかんがみ生糸生産上の対策が必要な事態に立ち至つている旨を表明しているところである。

十について

 一般論として、製糸会社及びその団体が商品市場において生糸の買入れを行うこと自体が商品取引所法(昭和二十五年法律第二百三十九号)違反となるものではない。

十一について

 日器工は、生糸価格が低落した昭和六十一年九月以来、安定基準価格(昭和六十一生糸年度においては、一キログラム当たり一万二千円。)を維持するための糸価対策を行つてきたところであり、昭和六十二年一月においても、従来の経緯を踏まえ、農林水産省との話合いの結果、安定基準価格の維持のため、従来どおりの糸価対策を行つたものである。

 右答弁する。




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