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昭和六十二年三月二十日提出
質問第二〇号

 生糸・乾繭取引の市場管理に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年三月二十日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




生糸・乾繭取引の市場管理に関する質問主意書


 私は、昨年来、五回にわたり蚕糸価格政策並びに、生糸・乾繭の各取引所における違法行為について当局の見解を質してきた。しかるに政府は、私の具体的な指摘に対し、問題点をすりかえる答弁を終始行つてきたことは極めて遺憾である。かかる政府の態度は、生糸・乾繭先物市場で繭糸価格安定制度が、仕手筋に利用されている事実に目をつぶるものであり、結果として、蚕糖事業団の約二千億円の焦付き債務と、約五百億円の欠損金を増大させることになり、断じて許されるものではない。現状のまま事態が推移するならば、我が国の蚕糸・絹業界の崩壊につながることは、火を見るより明らかである。早急に現在の蚕糸行政を改め、信頼性を失つている取引所の市場管理対策の一層の強化が必要である。
 よつてその立場から次の質問をする。

一 横浜生糸取引所は、本年二月より五回(二月五・十三・十六・二十三日及び三月六日)にわたり、買い仕手の機関店と目される取引員(五社)に対し監査を行つたといわれる。これは、時機を逸した感はあるものの、これまでに無い姿勢として評価されるが、この監査の目的及びその結果を具体的に明らかにされたい。
二 私は「蚕糸価格政策に関する質問主意書」(昭和六十一年十一月二十一日提出)の第十一項で横浜、神戸、前橋、豊橋の各取引所で取引の公正さを失墜せしめている行為があると指摘した。これに対し農水省は「(前略)商品取引所に対しても、商品取引員に対し適正な受託を行うよう指導監督すること、相場が過熱するおそれがある場合には委託臨時増証拠金を徴収すること等適切な市場管理を行うよう指導しているところである」(内閣衆質一〇七第一五号)と答弁した。しかしその後、臨時増証拠金を徴収したにもかかわらず市場は正常化しなかつた。かかる事態の中で何故、前橋・豊橋両乾繭取引所並びに神戸生糸取引所は、仕手筋の機関店に対する監査(昨年九月の四取引所合同監査以後)を行わなかつたのか、取引所別にその理由を明らかにされたい。
三 右の四取引所における「監査」に関する対応の違いについて、監督官庁である農水省はどのように考えるのか、その見解を明らかにされたい。
四 昭和五十五年、前橋乾繭取引所は、仕手の介入により市場が大混乱し、これを鎮静化させるため、異例の売買自粛措置をとり「取引ゼロ」の事態を現出させた。この結果、同取引所は、混乱の原因を作つた取引員二社を六ヵ月間の取引停止処分にし、「深い反省と二度とこのような事態を引き起こさないという決意のもとにその具体策が整えられた」(「前橋乾繭取引所30年の歩み」より)という経験を持つている。このような「深い反省」があるにもかかわらず、同取引所が、今日、その教訓を活かすことなく、仕手筋の機関店に対する監査を行わなかつたことは極めて不可解である。監督官庁の見解を求む。
五 昭和四十八年二月二十八日、農林省食品流通局長並びに通商産業省企業局長が、豊橋乾繭取引所理事長に宛てた「商品取引所における市場管理対策等の強化について」には、「昨今における商品市場の現況に鑑み、貴取引所においては、これが対応策を検討、実施するとともに、早急に、少なくとも下記の措置を講ぜられたい。記 1、市場の正常化のための措置(1)略。(2)市場の正常化を図るため、仕手の排除に努めるとともに、次の事項について理事会決定を行ない、商品取引員に指示すること。@いわゆる仕手と目される委託者からの売買の受託は厳に慎しむとともに、取引所の指示に従うこと。A委託証拠金の預託を受けながら保証金、貸付金等の名目で委託者に便宜を供することなどにより実質上、無敷、薄敷となるような受託は、これを禁止すること。なお、価格操作を助長するような資金援助などについてもこれを禁止すること。2、略」とある。
  このような指導が過去にあるにもかかわらず、豊橋乾繭取引所では長期間にわたり仕手戦が続いている。先に述べたとおり、同取引所は昨年九月以後、仕手筋の機関店への監査を行つていない。農水省は、かかる指導の経緯を踏まえるならば、市場管理対策の一層の強化を同取引所に指示すべきであつたと考えるが、見解を問う。
六 現在のめまぐるしい国際情勢の中で、為替、金利、一次産品価格などの変動によるリスクが増大し、そのヘッジの場として国際的に先物市場の役割が見直されている。しかし、これまでに繰り返しその問題点を指摘した如く、我が国の生糸・乾繭先物市場の実態は極めて貧困であり、既に時代の趨勢から取り残されたものといえる。このような状態に至るまで、何ら効果的な施策を講ずることのできなかつた監督官庁である農水省の責任は極めて重い。そもそも商品先物市場は、当業者のためのリスクヘッジの場、公正な価格形成の場である。その機能を活かすためには健全な委託者層の拡大を図ることが必要であり、それには、取引員の社会的信用の確立、営業姿勢の是正、体質強化が不可欠と考える。国際的な先物市場としての充実が急がれる今日、国民の安心できる抜本的な対応が求められるが、当局の見解を明らかにされたい。
  また、幅広い層の委託者の市場参加を進めるためには、社会的信用を広く確立している内外の企業に対し、商品先物市場への参加を求めることが必要と考えるが、農水省、通産省、それぞれの見解を問う。

 右質問する。





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