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昭和六十二年七月二十七日提出
質問第八号

 洗浄溶剤使用時における事故未然防止に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年七月二十七日

提出者  竹内勝彦

          衆議院議長 原 健三郎 殿




洗浄溶剤使用時における事故未然防止に関する質問主意書


 洗浄溶剤が使用される分野は、産業社会の高度化に伴つて多様化している。戦後、化学工業の進歩とともに、洗浄溶剤の生産量は昭和四十九年まで急激に伸び続けた。これに伴い、ハイテク産業、機械製造業(脱脂)、クリーニング業、塗装業、印刷業など多くの業種で有機溶剤が洗浄剤として多量に使用され、高度成長をとげてきた。
 有機溶剤など洗浄溶剤の取扱いについては、溶剤による中毒や死亡事故などが多発するなど、多くの問題を残してきた。使用される溶剤による地下水汚染問題、人体へ与える影響、作業時の事故等防止対策について、関係省庁はある程度の手を打つてきたところである。しかしながら、有機溶剤を使用する職場での慢性中毒患者が多数あることが、昭和六十二年二月、産業技術学会の「有機溶剤中毒研究会」の調査で明らかにされた。それによると、肝臓やじん臓病、身体障害、ノイローゼ、精神病などと診断されている患者の中に、有機溶剤を使用する職場で働いている者が多いというものである。そして、中でも半導体製造装置の洗浄に従事する者、自営のクリーニング業者や和服のしみ抜き業者、塗装業者などに、有機溶剤による慢性中毒の疑いの強い者が多いことが判明したとされている。この原因は、労働省で定めた有機溶剤中毒予防規則など、溶剤の毒性について十分な知識を持つていなかつたからとされている。
 また、洗浄溶剤の中で低毒性とされているフロンを使用する作業場が増加している。フロンは成層圏中のオゾンを破壊し、皮膚ガンの発生率を上昇させるおそれがあるとして、世界の科学者の関心を集めているところである。このフロンを溶剤として使用する作業場等において、酸素欠乏災害が発生している。酸素欠乏における事故の突発性の恐しさは、酸素濃度六%で一呼吸、瞬時に昏倒、呼吸停止、けいれん、六分で死亡という危険なものである。昭和六十年十月三日に労働基準局から、「フロンによる酸素欠乏災害等の防止について」という通達が出されたところである。それは、「作業に従事する労働者に空気呼吸器、酸素呼吸器又は、送気マスクを使用させること」というものである。しかるに、各関係業界への指導が徹底されず、実態としては十分な成果を挙げていないのが現状である。
 かかる状況を踏まえ、洗浄溶剤による事故を未然に防止していくために、以下の質問をする。

一 洗浄溶剤による事故の中で、有機溶剤による中毒患者の実態はどのようなものか。また、それを把握する体制はどのような機関がどのように行つているのか伺いたい。また、今後の計画はどのようになつているのか。
二 政府は、有機溶剤を使用する職場において、有機溶剤と特定の疾病との因果関係についてはどのように考えているのか。また、今後そのための調査を行うのか。
三 有機溶剤の取扱い規定及びフロン等の溶剤の取扱い規定等により、作業上、中でも溶剤の気化、漏洩の防止策、あるいは、事故予防のために様々な角度から検討されているが、実際には作業員の臭気に対する慣れ等から、危険濃度の漏洩に気付かず、中毒事故が現場で発生している。これらの防止策として、事前に溶剤の漏洩を察知して、換気への連動及び警報器の設置を義務付けることにより、未然に人身事故の防止策となると思うが、どうするか伺いたい。
四 洗浄溶剤など有機溶剤を使用して作業を行う業界に対して、有機溶剤及びフロン等の溶剤の取扱いの指導徹底はどのような機関がどのように行つているのか。また、今後、どのような計画で行うのか伺いたい。

 右質問する。





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