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昭和六十二年八月七日提出
質問第一三号

 商品取引の市場管理に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年八月七日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 原 健三郎 殿




商品取引の市場管理に関する質問主意書


 私は、昭和五十九年三月の衆議院予算委員会以来、機会あるごとに豊田商事の違法性を追及してきた。なかでも被害者救済の立場から、豊田商事資産の確保を図るべく永野一男会長が商品取引市場に多額の資金をつぎ込んでいる事実を指摘し、その徹底解明を当局に求めてきた。その後、豊田商事破産管財人によつて、この指摘が正しかつたことが証明され、当初否定していた農水省も昭和六十一年十二月五日の答弁書(内閣衆質一〇七第一四号)でその事実を認めた。
 この豊田商事の資金が先物市場に流れていることを解明する中で、商品取引所でルールを無視した取引が横行していること、また、悪質な海外先物取引業者などと密接な関係にある取引員が存在するなどの問題点が明らかになつてきた。ことに、昨年三月より始まつた生糸市場におけるルール違反の取引は、蚕糸価格安定制度を悪用し、いわゆる仕手の商品を蚕糖事業団が買い上げることになり多くの批判を浴びる結果となつた。一方、臨調、会計検査院からの指摘のごとく、蚕糖事業団は焦付き債務ともいうべき約二千億円の長期借入金と約五百億円の欠損金を抱えており、円滑な在庫処理が急務となつている。そこで私は、蚕糸価格政策の抜本的改革と生糸・乾繭取引所の正常化を七回にわたる質問主意書と衆議院決算委員会、物価問題特別委員会で取り上げてきた。しかしながら、政府がこの指摘を無視し積極的な対応を行わなかつたことは極めて遺憾である。
 開放経済体制下にあつて、国際的に先物市場の役割が重要視されている中で、我が国農水省所管の先物市場の実態は前時代的であり、このまま放置すれば時代から取り残され崩壊することは明らかである。生糸・乾繭取引所が最近ようやくルール違反の取引員を処分したというが、その内容は十分とはいえない。より厳正な態度を示さない限り、再びこの過ちは繰り返される。関係当局の毅然たる対応を求める立場から次の質問を行う。

一 私は、昨年十一月以来、横浜・神戸・前橋・豊橋の各取引所で商品取引所法及び取引所諸規程に違反する行為が横行していることを再三指摘してきた。これに対し農水省は、「商品取引所に対し、商品取引員が適正な受託を行うよう指導監督すること等適切な市場管理を行うよう指導しているところである」(内閣衆質一〇八第四五号)との主旨の答弁を繰り返すのみで、真剣に問題点に取り組む姿勢を示さなかつた。
  しかし、七月に入り横浜外三取引所が、加盟取引員に取引所の市場管理要綱に違反する行為があつたとして売買停止処分を行つたことは、指摘したルール違反があつたことを明らかにしたものである。取引所に対する指導は当然のこととして、日頃から「適切な受託を行うよう指導している」という監督官庁たる農水省はこの事実をどのように受け止めているのか見解を求む。
二 今回の処分は、受託建玉数量制限規定違反によるものと聞くが、そもそもこの行為は、委託者が取引員に要求して行つたものか、それとも取引員が委託者に持ちかけて行つたものなのか、または取引員が勝手に行つたものなのか、その事実を明らかにされたい。
三 横浜生糸取引所は、本年五月、取引員七社に対し監査を行つたが、今回処分を受けた二社以外の取引員についてはどのような取扱いになつているのか明らかにされたい。
四 農水省は、取引員の許可更新に際し、商品取引所法及び取引所諸規程に違反した取引員の取扱いについての質問に対し、「(前略)その申請に係る商品取引員の受託業務の遂行の状況等を総合的に判断して行つているところである」(内閣衆質一〇八第一二号)と答弁した。今回処分があつた取引員の許可更新に当たり農水省はどのような対応をするのか見解を求める。
  また、今後再びこのような不祥事を起こさないためにも取引員の許可更新は一層厳格にすべきと考えるが、今回の一連の経緯を踏まえた上で、農水省の姿勢を明らかにされたい。
五 この際、次の各項について農水省の見解を明らかにされたい。
 1 商品取引所法第九十条でいう「買占め」とはどのような行為をさすのか。具体的な目安を上げて説明されたい。
 2 同じく「売崩し」とは何か。
 3 「仕手」とは何か。
 4 「仕手を排除する」とはどういうことをさすのか。また農水省が「仕手の排除」を取引所に指導するのはどういう場合なのか、その根拠を含め改めて説明されたい。
   (農水省は「仕手」及び「仕手を排除する」という表現を「商品取引所における市場管理対策等の強化について・四八食流第九七七号」において使用している)
六 東京工業品取引所は、七月二十一日、通産省の誘導基準をクリアーした専業取引員六社を発表した。これによると、前回に比べ二社が基準を外れている。この誘導基準の内容は、@紛議の発生が少ない、A主務省・取引所の制裁を受けていない、B商品取引の社会的信用失墜を招いていないもの等である。現在、委託者にとつて資金を預かる取引員の財務内容や経営状態を判断する手段が皆無に等しい中、この基準をクリアーしたということは、取引員を選ぶ際の有力な判断材料になつている。事実、クリアーした取引員自身、その旨を表明し営業活動を行つている。このことは結果的に政府が委託者に対し取引員の信用を与えたことになる。今回誘導基準を外れた取引員に対し通産省はどのような指導を行うのか明らかにされたい。
七 昭和五十八年度決算及び昭和五十九年度決算の議決に、「蚕糸業をめぐる諸情勢に対応し、蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸の過剰在庫について、その計画的処理に努めるべきである」とあるが、政府はその後どのような対策を講じているのか、明らかにされたい。

 右質問する。





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