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昭和六十二年九月七日提出
質問第二六号

 人名用漢字に關する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年九月七日

提出者  滝沢幸助

          衆議院議長 原 健三郎 殿




人名用漢字に關する質問主意書


 我國においては古くより「名は體を表す」と言はれ、人の名は、その人格・名譽・精神をも表現するものとして極めて重要とされて來た。ことに姓氏の制度が確立されてからは、門地・家系・傳統を表示する姓と個人を表現する名との連體により姓名が一層重要な意義をもち、歴史の中に定着し尊嚴なものとされて來たところである。
 然るに昭和二十年の敗戰と、その後の占領軍による文化政策の中で、家族制度の廢絶と傳統的日本文化の中斷を目論む者たちが、日本語の改造・ローマ字化・英語化を期し、その準備的政策として漢字改廢と略字化による當用漢字を定め、便宜主義的現代假名遣ひを強行したが、人名用漢字の制度もまた正にその思想に立つものであつた。
 然もこれら一連の被占領下の思想と制度は、昭和二十七年の講和條約成立の後も、依然復舊されることなく、寧ろ國民の間に深く定着されるかに見えた。然し、この非日本的文化政策は、法的強制力を行使する國公立學校・諸官廳及び戰後教育を受けた人達は肯定し使用しても、國語を正統にあらしめやうと願ふ多くの國民は快しとしなかつた。爲に政府は昭和五十六年常用漢字を採用して、強制々限から國民生活の目安とするに止めることとしたが、この事は評値されて餘りあるが、只ひとり戸籍法第五十條及び同施行規則第六十條は一向に改正されず、爲に國民は、子の名の選定に當つて今もなほ不法にして不合理な制限を加へられてゐる。
 かくては思想及び表現の自由を保障した憲法に違背するのみならず、我國の歴史的美風と民族的傳統を中絶せしめることであり、一日も早い法の改正が待たれる。
 ついては之に關し、政府の見解を求め質問する。

一 人名には「父母・祖父母・祖先に、又は尊敬する方に肖つて、是非この文字を使ひたい」といふ信念とも言ふべき切なる願ひがあるが、現行戸籍法はこの望みを排除してゐる。戰後政治の基本的方向は、戰前戰中より總て自由が擴大されて來た。然るに唯一つ、この人間としての當然の「出生の時點における選名の自由」が否定されてゐて良いはづはない。政府が尚、如何なる曲論を展開し續けやうと、それは法權力による眞實への挑戰である。仍つてこの際、行きがかりと官僚的面子を捨てて、命名の自由を保障すべきものと信ずる。所見如何。
二 國民にしてその子や孫の出生に當り、初めに選んだ名が戸籍法施行規則に定める二、一一一字の中にないとして受理されず、止むなく別字を以つてした例、或ひは、豫めその智識があつたため、又は知人等の助言によつて、初めより不本意ながら二、一一字の中から選んだ例は非常に多きに達してゐる。政府は速かにこれらの實體調査をすべきと考へる。方針如何。
三 戸籍法第五十條を單に精神規定たるに止め施行規則第六十條の別表を廢止する考へはないか。如何。
四 或ひは大幅に人名用漢字を増加する考へはないか。如何。
五 文部省が選んだ常用漢字は「日常生活の目安であり強制はしない」としてゐるにかかはらず、戸籍法が例外すら認めず強制してゐることは、國政の一貫性・整合性に缺けるものであり改められるべきではないか。如何。

 右質問する。





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