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昭和六十二年十一月十一日提出質問第四号
國史と國語に關する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和六十二年十一月十一日
衆議院議長 原 健三郎 殿
國史と國語に關する質問主意書
凡そいづれの國にもその國自らの歴史がある。之を國史といふ。國史はその國民が之を尊ぶ時、その國は興り、之を輕んずる時、その國は亡びる。
いづれの民族・部族にもその民族特有の言語がある。之を國語といふ。國語はその民族が之を正す時、その民族は榮え、之を亂す時、その民族は衰へる。
ここに國史と國語との一體的因果があり、國民をして絶えず自國の歴史と國語とに高い誇りと愛着尊敬の思ひを致させ、不斷の努力を以つて、之を純正正確に傳承せしめること、即ち正しい自國の歴史を、正しい自國の國語を以つて語らしめることこそ、立國の大本であるべきものである。
我國は、昭和二十年八月十五日の敗戰によりその主權が聯合軍により制限され、教育においては國史を廢し、國語を輕んじた。然も、昭和二十七年の講和條約により獨立を恢復して後も之を舊に復さず、今日に至つてゐる。
かくて戰後四十有二年、國民の多くは日本民族の發祥と建國の神話・歴史を知らず、國語また大いに亂れ、あたかも無國籍的國民と化しつつある。誠に悲しむべき現實であり、速かに之を改めなければならない。
世界にはフランスにおける翰林院(アカデミー・フランセーズ)の正統辭書編纂の歴史や、ドイツにおけるグリム兄弟とその弟子たちによる民族傳説の集成と辭書編著の事業、或いは我國における水戸藩の大日本史發行の如く、官民ともに國史・國語を正しく守り傳へた尊い事例は決して尠くない。今日の我國にあつても、之等のことに學び、國史・國語の正統を守る運動が待たれるところである。
然もそれは政府自らが速かに對處すべきことである。故に之に關し質問する。
1 我國の建國は神武天皇御即位にあることは、二月十一日を以つて「建國紀念の日」と定めた國民祝日の法規に明らかなところである。ついては、國史において神武建國の精神的原點を確認し、その祝賀行事等は政府自らが主催するなど適切な方策をとる考へはないか。
2 我國の近現代史にあつては、東京裁判による日本侵略者論的視點に立つ記載が學校教科書等の大勢を占めてゐる。然し、之は一方的かつ一面的史觀であつて、必ずしも正當ではない。政府においては速かに之を正すため、適當な方策を講ずべきと信ずる。所見如何。
3 學校教育にあつて、社會科を改めて日本史(國史)を重視し、之を獨立科目とするなど賢明な對策を講ずる考へはないか。
二 國語について
1 國語を重んじ、これを正すため、「常用漢字」「現代假名遣ひ」をともに廢して、舊來・本然の國語・國字を恢復する考へはないか。
2 日本語の記述は本來縦書であつた。政府においては、公文書等を須く原則縱書とし、學校教科書等も之によらしめるべきである。これについての見解如何。
3 戸籍法竝に同施行規則を改めて、人名として用ゐ得る漢字の制限を解除する考へはないか。
右質問する。