質問本文情報
昭和六十三年十月十四日提出質問第一九号
生乳取引等の速やかなる改善措置に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和六十三年十月十四日
提出者 竹内 猛
衆議院議長 原 健三郎 殿
生乳取引等の速やかなる改善措置に関する質問主意書
私は去る百八国会以来、農畜産物の自由化進行下においていよいよ危機に瀕する我が国の酪農についての諸問題を採り上げ、農林水産委員会及び物価問題等に関する特別委員会において、繰り返し政府の見解を質してきた。
しかし、政府の答弁は、そのつど糊塗するに努め、まことに一貫せず、ために様々な矛盾がいつそう露呈していることを指摘せねばならない。
現に本文質問第七項で指摘しているごとく、本年もあと二ヵ月余を残すのみとなりながらも、本来は生乳生産の特性に基づく典型的な生産者という弱者における取引の安定性を確立するために、生乳等「取引契約」又は「生乳取引契約に関する農業協同組合法第十条第一項第十一号の団体協約の締結又は変更」の必要性が極めて重要な規定となつているのにもかかわらず、いまだに全国的にはいわゆる「暫定」払いを脱し得ない情勢など、まことに由々しい問題を抱えていると言わざるを得ない。しかも、我が国農業関係者に計り知れない深刻な衝撃を与え、且つ今後いちだんと民族・国家の自立ですら損なうほどの事態に発展せざるを得ないものとして憂慮されるので、緊急なる改善を要すると考える。
従つて、次の事項について質問する。
二 農業協同組合法と中小企業等協同組合法とは同様の主旨のもとで、日本国憲法(第二十八条)を母法として成立している組織法と理解しているが、両者のそれぞれの事業規定には「組合員の経済的地位改善のためにする団体協約の締結」なる文言が記されている。しかるところ、一方の中小企業等協同組合法にはこの事業規定を担保する意味での応諾義務規定が確認されているにもかかわらず、農業協同組合法にはその定めがないばかりか、中小企業等協同組合法には当該種目の販売・購買の有無にかかわりなく取引相手側との対等性が行使できる可能性を持つているが、このことの改善措置をいかに講じたか明らかにせよ。
三 そもそも取引当事者間の行う「取引契約」とそれに関する「団体協約」とは、それぞれいかなるものか。その定義と具体的な「契約」並びに「協約」における成立条件について示せ。
四 法的能力を確実に具備し、対外的な法的対抗権を持つ全国生乳連に対し、メーカー側の一方的拒絶について「農協だからそれは自らのものである」とのみで、全国生乳連の設立当時より終始一貫して全くの支援助長をしない当局の態度は、今後自由化進行下における我が国農民の自発的な新たな順法的対応の必要を考えるとき、まことに重大な事柄に属することと言わねばならず、「団体交渉権確立」の能力こそが新世紀に問われるべき課題と理解するが、政府はいかなる見解を持つか明らかにせよ。
五 六十一年よりメーカー側から生産者団体に押しつけたことから発生している「用途無指定、その他向け」は、近時いつそうの割合が拡大され、そのほとんどの使途は飲用向けであるにもかかわらず、メーカー側の原乳買いたたきの手段となつていると私は把握しているが、その実態について政府はこれをどのように認識しているのか。また、この件について指導方針を明確に示せ。
六 また、前項のごときは明らかに不公正な取引であるので、そのことについて改善の必要を重ねて要請してきたが、当局はいかなる措置をとつたか明らかにせよ。
七 全国的にはいまだに六十三年度乳価は、その多くが取引当事者間における決着がいまだにつかず、いわゆる「暫定払い」のまま経過していると聞く。しかも一方では緊急と称する乳製品輸入が累次にわたつて行われようとしており、生産者のいきどおりは、頗る問題性なしとしているが、このような事態に対する行政責任をどのように認識しているか示せ。
右質問する。