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平成元年九月二十八日提出
質問第一号

 船底塗料などに使用されている有機スズ化合物に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年九月二十八日

提出者  新村勝雄

          衆議院議長 田村 元 殿




船底塗料などに使用されている有機スズ化合物に関する質問主意書


 船底塗料に含まれるトリブチルスズ(以下「TBT」と略す。)化合物、トリフェニルスズ(以下「TPT」と略す。)化合物が原因とみられる水質、底質、魚介類の汚染が広域化・深刻化し、大きな社会問題となってきている。しかし、この問題をめぐって、明らかにされていない点が少なくなく、従って十分な対応がなされているとはいえない。
 よって、次の事項について答えられたい。

一 すべてのTBT化合物並びにTPT化合物について、用途別生産量及び使用量の詳細を示されたい。また、輸入量、輸出量についても用途別、輸出入相手国別に詳細を示されたい。
二 TBT化合物やTPT化合物などの有機スズ化合物を含む船底塗料や漁網防汚剤の製品について、その種類数、種類毎の量を別々に示されたい。
三 船底塗料中のTBT化合物並びにTPT化合物の化学的形態はどのようなものか、詳しく答えられたい。
四 すべてのTBT化合物並びにTPT化合物に対する「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「化審法」と略す。)」に基づく分解性、蓄積性、長期毒性についての、それぞれの審査結果とその根拠を示されたい。
五 四に関連し、特にビストリブチルスズオキシド(いわゆるTBTO)について、通産省の判断ではすでに難分解性、高蓄積性が認められているが、その後三年半以上経過した現在でも厚生省による長期毒性の判断が未だなされず、従ってこれまで「化審法」による法的規制を何ら受けずにきている。水棲生物に対し極めて高い毒性をもつとして知られるTBTOに対する厚生省の長期毒性の判定はいつ行われるのか。その時期を明確に答えられたい。また、これまでに、厚生省によるTBTOの長期毒性判定結果が今年三月頃には出されるときいていたが、その時期が、やがて「今秋」となり、さらに先日の新聞報道によれば「年内」と、しだいに遅延されてきている。その理由は何か。
六 既存化学物質は二三、〇〇〇種ほどあるといわれ、新規化学物質も含めればその数は膨大である。このような化学物質に対し、「化審法」に基づく審査が行われるとき、その優先順位は何を基準にして、どのように決められるのか。また、その権限はどこ(だれ)にあるのか。原則論とともに、有機スズ化合物について具体的に答えられたい。
七 TPT化合物の国内向け出荷は今年五月いっぱいで業者により停止されたというが、それ以前のかけ込み的生産・出荷≠ヘなかったか。出荷停止されるまでの出荷量についても答えられたい。
八 TPT化合物は輸出されているという。国内向け出荷が停止されても、生産そのものが停止されたとはきいていない。従って、生産・輸出されている可能性がある。TPT化合物の生産・輸出は行われているか。また、行われている場合、生産量、輸出量、輸出相手国の詳細を示されたい。
九 一九八八(昭和六三)年二月十六日の衆議院大蔵委員会議録には、同委員会における質問に対し、木本英明説明員の「現在のところは船舶から海洋へ溶け出ていきますTBT化合物の溶出量の把握、一体どういうふうになっているのだろうかといった調査を鋭意進めております」といった答弁のくだりがある。この調査の結果を示されたい。
十 一九八八(昭和六三)年五月二十四日の参議院運輸委員会会議録には、同委員会における質問に対し、塩田澄夫政府委員が「運輸省としましては船舶の航行とTBT化合物による汚染との関係を究明する必要があると考えまして、今年度、東京湾におきまして、船舶の航行と水中及び底質のTBT化合物の濃度の因果関係につきまして、現在調査研究をすることとしておりまして」との答弁のくだりがある。この調査の結果を示されたい。
十一 フランス、イギリス、アメリカなどでは、船底塗料等に含まれる有機スズ化合物の使用禁止などの規制措置がとられている。我が国においても、TBT化合物並びにTPT化合物について製造禁止、使用禁止の措置をとる必要があると考えるが、政府にその考えがあるか。ない場合、その理由を示されたい。
十二 TBT化合物並びにTPT化合物に代わる代替品について、その開発状況はどうなっているか。
十三 外国船籍のタンカーなどによりもたらされる有機スズ化合物汚染について、その量的拡大が危惧されるが、現在の「化審法」では規制されないままである。この種の問題に対する具体的な規制措置をどうするか。
十四 一九八八(昭和六三)年五月二十四日の参議院運輸委員会会議録には、同委員会における質問に対し、間野忠政府委員が「こういった外航船の規制につきましては条約でやるというのが第一義的な国際的な慣行となっております」といった答弁のくだりがある。現在の「化審法」で規制できない外航船によりもたらされる有機スズ化合物汚染問題を解決するには、有機スズ化合物による海洋汚染防止を目的とした国際条約締結が必要と考えるが、それに向け、我が国がリーダーシップをとって各国に働きかけていく考えがあるか。ない場合、その理由を示されたい。
十五 現在の「化審法」では、前述した外航船問題もさることながら、物質の相互作用による毒性の発現・強化や環境中に放出された後の化学変化に伴う毒性発現・強化などについては規制対象外である。こうした法的不備の改善(改正)の考えがあるか。ない場合、その理由は何か。
十六 TBT化合物並びにTPT化合物に対する「適正利用マニュアル」は、こうした有機スズ化合物製造・運搬・保管業者を主な対象としており、製品としての船底塗料の塗装作業に直接従事する労働者にまでは行き届いていないようだが、これは事実か。また、そのような労働者を含めた労働者一般の労働災害の実態を報告されたい。
  また、現在、有機スズ化合物取扱者に対する健康診断は行われているか。行われている場合、検診の周期と項目は何か。行われていない場合、その理由を示されたい。
十七 TBT化合物並びにTPT化合物に対する廃棄処理マニュアルはあるか。ある場合、その内容と配布先を示せ。また、廃棄処分の実態についての詳細な調査は環境庁・厚生省によりなされるとのことだが、結果の公表時期はいつか。
十八 ダイオキシンなどの化学物質では、一般環境以上に人体の汚染が進んでいる場合がある。TBT化合物並びにTPT化合物についてはどうか。
十九 「化審法」に定める指定化学物質に指定されているTBT化合物十三種、TPT化合物七種の規制強化をする考えがあるか。ない場合、その理由を示されたい。
二十 「水質汚濁に係る環境基準について」の第四には“環境基準の見直し”事項がある。TBT化合物並びにTPT化合物をその条件項目に追加する考えがあるか。ない場合、その理由を示されたい。

 右質問する。





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