衆議院

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平成四年十二月九日提出
質問第一九号

小田急線連続立体交差事業(喜多見・梅ヶ丘間)の認可と東京都実施の環境影響評価及び連続立体交差事業調査に関する質問主意書

提出者  鈴木喜久子




小田急線連続立体交差事業(喜多見・梅ヶ丘間)の認可と東京都実施の環境影響評価及び連続立体交差事業調査に関する質問主意書


 連続立体交差事業は単に鉄道と道路の平面交差・踏切を解消するばかりでなく、都市づくりの根幹をなす事業である。とりわけ、線増が伴う場合には、大都市の交通体系を含めた都市基盤の在り方を決定する極めて重要な事業であり、国も応分の補助金を提供して行われている。しかも調査の段階から国が補助金を出し、建設省が調査マニュアルもつくって、総合アセスを含む「連続立体交差事業調査」が必ず実施されることになっている。
 国は環境アセス制度を法制化していないが、国が関与する大規模事業であるだけに、この調査を通じて、事前に幾つかの代替案の総合アセスを自治体にあらかじめ行わせ、認可の参考とするという行政手続きを行っていることは意義あることである。
 さらに、事業化にあたって自治体が独自に持っている条例により行っている環境影響評価は、この事業による環境問題を配慮する上で不可欠である。
 東京都の場合、環境影響評価条例は九条一項第三号に代替案の経過を記載することが義務付けられてあり、連続立体交差事業のように代替案の検討が行政手続きに内包されているような事案に関しては、住民参加や情報公開も保証して、代替案の経過を含めて計画事業案の環境アセスの成否を検討することが可能となっている。
 東京都環境影響評価条例等、現行の自治体の環境アセス条例と政府が実質的に関与し行っている連続立体交差事業調査のような総合アセスメントを含む調査手続きとのリンケージの構造とその実際の運用の在り方は、環境アセスメントが国の法律として法制化されていない現状を考えるとき、日本の環境政策上、極めて重要である。
 小田急線の連続立体交差事業調査は、国庫補助を受け東京都により、昭和六二年度と六三年度の二年間にわたり、喜多見・東北沢間について、実施されている。東京都は、この調査に基づきながら、本年一月、梅ヶ丘・東北沢間をペンディングにしたまま、喜多見・梅ヶ丘間のみの都市計画変更案をまとめ、同時に東京都環境影響評価条例に基づく評価書案を作成し、所定の手続きをすすめた。
 ところで、この小田急線連続立体交差事業の環境影響評価書案とその手続きについて、中央公害対策審議会委員の長田泰公氏(共立女子短大助教授、元国立公衆衛生院院長)などの鉄道公害の専門家を始め、法律家や政治学者、さらには多くの市民から、科学的技術的あやまちのみならず、代替案検討の記載義務違反、コマギレアセス禁止条項違反等の条例違反、すなわち違法行為が指摘されている。
 この不当性・違法行為の指摘の主要な意見は都条例による正規の意見書でも提出され、またこの意見書は内閣総理大臣や関係閣僚、東京都知事にも提出されている。
 ところが、東京都知事とその諮問機関である東京都環境影響評価審議会(船後正道会長)はこの違法性の指摘について、審査することをも避け、条例に違反していると指摘された環境影響評価書案のやり直しを命ずることなくこれを追認し、所定の手続きを完了しようとしている。
 そればかりか、東京都は同都市計画変更案について、一二月一八日開催の東京都都市計画地方審議会に追加議題としてはかり、決定を強行しようとさえしている。
 公共投資の在り方は、国が地方自治体との調整を行いつつ適正に行われなければならないことはいうまでもない。条例違反を犯し適正な判断を著しく阻害する形で都市計画が決定されるのであれば、その誤りは国政が是正しなげればならない課題である。
 そこで、以下の諸点について尋ねる。

一 連続立体交差事業認可と審査について
 (1) 連続立体交差事業は補助金を伴う認可事業である。補助金を出す以上、適法、適正に行われているかどうかの判断が必要と思われるが、条例との関係、調査報告の整合性等、いかなる審査を行っているか。
 (2) 認可事業の手続きにおいて、地方自治体が条例違反を犯していることが明らかになった場合、国は地方自治体に対しどのような指導を行うのか、明らかにされたい。
二 東京都環境影響評価条例に違反した都市計画事業の取り扱いについて
  東京都環境影響評価条例の九条一項第三号にある代替案の記載義務違反、二以上の関連する事業を行うときは合わせて環境影響評価をしなければならないとした九条二項違反、粉塵などの予測評価項目の欠如は多くの識者の指摘する所である。ところが、東京都は自らが事業主体であるこの事業について、違法性について不問に付したまま、手続きをすすめようとしている。都市計画事業の認可にあたっては、その事業の手続きが条例といえども適法に行われていない場合には認可するべきではない。このような違法性の指摘について国はどのように判断されるか明らかにされたい。
三 小田急線連続立体交差事業の費用試算について
  東京都は小田急線連続立体交差事業(喜多見・梅ヶ丘間)費用について、連続立体交差事業調査に基づき、高架化の場合は一九〇〇億円、地下化の場合は三〇〇〇億円から三六〇〇億円と試算している。ところで、東京地裁民事二部で係争中の住民訴訟(事件番号平成二年〔行ウ〕二三二、平成二年〔行ウ〕第二三三、平成二年〔行ウ〕二三四)の法廷(平成四年一一月二日)での力石定一法政大学工学部教授(環境経済)の証言によると、地下化費用は一九五二億円と試算され、東京都の試算した高架事業費一九〇〇億円とほとんど変わりがない。また、東京都環境影響評価審議会審議に基づく都知事の意見書でも騒音振動対策を十分に施す必要を指摘している。この指示に従うだけでも高架化の事業費は更に膨れ上がる可能性がある。
 (1)東京都は本年一月の都市計画案説明会で該当区間を地下式で線増連続立体化した場合の費用を三〇〇〇億円から三六〇〇億円とする資料を配布した。この数字は昭和六二年度六三年度実施の「連続立体交差事業調査」に基づくものであるのか否か。また、その試算根拠について国はこれをどのように把握されているか。
 (2) 東京都の試算する高架式一九〇〇億円について、本年一月一四日付けの答弁書では、「全体事業費の内訳等については、建設省は承知していない」としている。にもかかわらず、「事業費及び工期の点で優れている」という東京都の判断を「建設省としても了解している」(平成三年一〇月二二日付け答弁書)というのは極めて不可解である。その後調査されたか否か。調査されたとしたら、内訳及び積算の根拠となった基礎データを示されたい。
 (3) 力石定一教授の法廷での証言によると、該当区間の複々線地下化方式は上下垂直方式シールド工法で行うとすれば、駅及び駅中間部の土木工事費一二五三億円、軌道設備費七四億円、電気設備費四二億円、機械設備費三五億円、その他一七億円、設計監理費一九一億円、用地買収費三四〇億円、合計一九五二億円で実現できるとしている。この数字は妥当であると考えるか否かを問う。
 (4) 在来線の騒音・振動に対する環境対策は国も環境基準の整備にむけて現在検討しているところであり、少なくとも新幹線基準はクリヤーされるべきものと考えられる。環境影響評価手続きの中で東京都知事は意見書に新幹線基準をクリヤーすること等、騒音・振動対策を盛り込んでいる。これらの騒音・振動対策を盛り込んだ場合、高架化事業費はどのくらいになると考えておられるか。
四 連続立体交差事業調査の実体について
 (1) 連続立体交差事業調査を行うにあたっての「建設省マニュアル」とはいかなるものか。マニュアルである以上、地方自治体及び事業者には当然公開されているので、詳細を明らかにされたい。
 (2) 実施された連続立体交差事業調査についてはどのように、国に報告され、国はどのような審査を行うのか明らかにされたい。
 (3) 現在までに行われた調査の事例を明らかにされたい。
五 小田急線連続立体交差事業調査について
 (1) 平成三年一〇月二二日付け答弁書では「ご指摘の調査の内容及び結果について、建設省は、東京都から報告を受けているが、調査報告書という文書の受領はしていない。」としている。さらに「関連する文書のすべてを公表されたい」(平成三年一二月一九日付け質問主意書)との質問に対し、一月一四日付け答弁書では「御指摘の調査報告に相当する文書は、建設省には存在しない。」としている。
     一方、平成三年九月六日の衆議院建設委員会での答弁では「極めて具体的な調査報告をかなりの期間にわたりまして詳細に聴取している」となっている。
     調査報告に相当する報告文書も存在しないとするならば、報告は口頭で行われるのか。それとも、紛失されたのか。職務上の責任の所在も含め、改めて問う。
 (2) 連続立体交差事業調査は事業化の目途が立ったものについて行われるとされている。小田急線連続立体交差事業調査は東北沢・喜多見間で行われているが、この調査に基づく都市計画変更案は喜多見・梅ヶ丘間であり調査の一部を実施しようとしているに過ぎない。都市計画変更の手法としても調査区間全体でなく一部に限定して行うことは異例かつ都市計画変更の認可審査にあたっても不都合なことであると考えられるが、なぜこのような手法を許しているのか根拠を問う。

 右質問する。



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