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平成六年十一月二十九日提出
質問第一号

同和問題の完全解決に関する質問主意書

提出者  小森(注)邦




同和問題の完全解決に関する質問主意書


一 同和問題の本質について、「同和」対策審議会・答申は、「日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層に基づく差別」と規定している。さらに憲法第十四条にいう「社会的身分」という文言を使っている。前記の「身分階層構造」、「社会的身分」とは、今日の社会的現実から分析して、いかなる状況・態様をなすものか、政府の認識を聞きたい。
二 さらに「同和」対策審議会・答申によれば、「その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」としているが、現時点における地域改善対策協議会はこれまでの同和地区として指定した地域に対する行政効果を測定し、「一般行政への円滑な移行」をめざしていることは、歴代内閣の国会答弁でうかがえるところであるが、村山内閣としては、なおハード、ソフトの両面に格差が認められる場合は法的措置を継続するとの考えであるか。
三 現在進行中の地域改善対策協議会が想定している協議のプロセスと次なる同和行政に対する意見をまとめる時期は、現在の地対協委員の任期切れの来年二月と見るべきか、再度二年任期の委員を任命し、その委員の協議を経て、地対財特法の失効との関係で、一九九六年秋の頃か、一九九七年の春頃と予想しておくべきものか。なお、すでに同和地区実態調査についての結果の分析、評価は、いかなる手順でいつ頃終了するものか、政府の考えているところを聞きたい。
四 現在、政府が取り組んでいる同和地区実態調査については、四千六百三地区の、法に基づく対象地域と指定されたところに限っているが、前記審議会・答申のいう「国の責務」とは、残されたおおよそ一千ヶ所の被差別地域に対しても、部落差別の完全な行政的解決のために重要なことと考えられる。これまでの歴代内閣は、これを否定しつづけているが、村山内閣としては何らかの方法でこれを実施し、さきに実施された四千六百三地区の調査とあわせて、民間運動団体が要請している部落解放基本法を制定する政府の方針を樹立すべきではないか。
五 当面は、来年度予算編成の段階を迎えているが、すでに取り組んできた四千六百三ヶ所の実態調査とは別に、日本における同和問題解決のために、残されたおおよそ一千ヶ所の被差別地域の差別実態の把握及びそれに伴う前近代的な意識、観念の現状の分析のために予算措置を講じて、これと取り組むつもりはないか、お尋ねしたい。
六 細川連立内閣成立間もない頃、参議院本会議において、当時の細川首相は現在民間運動団体が取り組んでいる部落解放基本法制定要求には、否定的な答弁をし、現行法の枠内における「啓発」をもって解決に努めるという主旨のことを表明されている。今回の村山首相の答弁は、現在取り組んでいる実態調査の結果を分析し、次なる方策を考えたいとの答弁であったように聞いている。一方、マスコミの報ずるところによると、閣僚懇などで社会党閣僚から部落解放基本法の制定に協力を要請したとも聞いている。政府は今日的段階でこれを実現するため与党各党と政策調整段階に入ったと理解してよいか。「同和」対策審議会・答申は、差別の現実を「実態的差別と心理的差別の相互因果関係」だと分析している。意識や観念の啓発だけでは、実効が上がらないと考えるが、そのために民間運動団体は部落解放基本法の制定を要求していると見るべきで、差別事件があとを絶たない現状に照らしてこの「相互因果関係」の論理をいまもなお政府は整合性のある分析と考えているかについて見解をうけたまわりたい。
七 「同和」対策審議会・答申は、「部落差別を支えている歴史的社会的根拠」なるものを「わが国の産業構造は『二重構造』といわれる構造的特質をもっている」からだとしている。自民党政権時代も、しばしばその視点に基づく答弁を多くの閣僚が行ってきた。昨年の総選挙以後成立した細川内閣は、これに対してかくたる態度表明を私の前回の「質問主意書」に対してもなされなかった。「人にやさしい」村山内閣としては、これの解消に向けていかなる政策を推進しようとされているか。

 右質問する。





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