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平成七年九月二十九日提出
質問第一号

不在者投票事務の運用改善に関する質問主意書

提出者  金田誠一




不在者投票事務の運用改善に関する質問主意書


 先の参議院議員選挙を始め、近年の選挙においては投票率の低下が甚だしく、憂慮すべき事態と考える。そのような状況の中で、せっかく意欲を持って不在者投票に赴いたのに投票の手続きに不快な印象を持った有権者の意見が少なからず見受けられる(別紙参照)。不在者投票は公職選挙法第四十九条に規定されているとおり、「投票当日投票所投票主義」の例外をなすものとされ、厳格性を保持することで選挙の公正を確保しようとしていることは認識している。しかし不正防止以前の問題として、憲法第十五条に規定されている国民の参政権は何よりも尊重されるべきであり、これを妨げることは許されないはずである。特に昨今の低投票率を考えると、少しでも多くの国民が快適に不在者投票の権利を行使できるよう望ましい方向で実務の運用を改善・統一すべきである。ここでは、公職選挙法第四十九条の一及び二の号に該当する選挙人が、登録されている選挙人名簿の属する市町村において投票する場合に限定して想定し、以下のとおり質問する。

一 現状で有権者が不愉快に感じる問題点の多くは、不在の状況の確認(不在者投票事由の確認)の部分にあると見受けられるので、現状についていくつか確認したい。
 1 現行では、施行令第五十二条を受けて施行規則第九条に規定されている別記第十号様式の宣誓書には不在者投票事由を書く欄があるだけでその書き方等の細かな規定はない。関係政省令あるいは通達等でこれ以上の細かい規定があるのか、ある場合はお示しいただきたい。
 2 不在者投票事由の確認が事務担当者によって口頭で行われる際に有権者が不愉快に感じることが多いようであるが、書面のみで行っている選挙管理委員会もあるようである。不在者投票事由の確認を口頭で行う必要はないと思われるが、確認をどのように行うかについて何らかの関係政省令あるいは通達等があるのか、ある場合はお示しいただきたい。
 3 前記の宣誓書には職業欄があり、「職業は、なるべく詳細に記載すること」とされているが、なぜそのような必要があるのか。
二 不在の状況の確認について不快感を与えるほど根掘り葉掘り聞くことはやめ、宣誓書への記入を分かりやすくするなどして、本人の申し出を尊重する方向で実務現場の運用を改め統一するべきである。
 1 不在者投票に訪れた選挙人に、不在者投票事由を確認する必要(「投票当日投票所投票主義」の例外をなすものと位置付けられているということ)の理解を、まず説明文書によってはかることで、不快な印象を受けることが減ると思われるが、どう考えるか。このような方法を取り入れる考えはないか。
 2 前記宣誓書の様式を変えない場合は、不在者投票事由の欄に選挙人が不在の理由を記入すれば、それ以上の細かな内容聞き取りは必要ないと思われるが、どう考えるか。
 3 別の方向として、宣誓書の不在者事由の欄の形式を細かくして、選挙人が〇×式や選択式で記入しやすいようにする方法もありうると思うが、どう考えるか。
 4 口頭による不在者投票事由の聞き取りをやめるよう、各地の選挙管理委員会の実務運用を統一していく考えはないか。
 5 これらの方向に実務を改めるには、省令・通達等の運用変更で可能か、それとも法あるいは施行令・施行規則の改正が必要か、どう考えるか。
 6 選挙の公正を確保し不正を防ぐという点からすると本人確認を厳格に行えばいいことであるが、現行の公職選挙法の不在者投票関連の政省令には本人確認という規定が特に見受けられないが、これについてはどう考えるか。また、不在者投票事由確認の適正化と共に、適切な本人確認の規定を加える考えはあるか。

 右質問する。


(別紙)
 不在のデータ投票に必要か
 山形市 斎藤康子
 (パート46歳)
 参院選投票日は一泊旅行中だが、選挙権は行使しようと、十余年ぶりに不在者投票に赴いた。
 前回の不在者投票の折、とても面倒で、いろいろなことを根ほり葉ほり聞かれ、もう不在者投票に行くより棄権した方がいいという印象だった。あれから少しは進歩したかと思ったが、相変わらず旧態依然とした不在者投票にあきれて帰途についた。
 投票所入場整理券を選管に渡して、用紙に、住所、氏名、性別、生年月日、職業、理由に〇をつけ、捺印(なついん)するくらいで十分と思うが、担当者に「団体旅行ですか?」と聞かれ、出発予定日時、帰宅予定日時、行き先の住所を書く欄まであるのには、プライバシー侵害もはなはだしいと思った。しかも市内旅行だと認められないという。
 予想外のことが多く起きる世の中で、「家族で留守にします」と選管に知らせる必要があるのだろうか。もし何か起きたら責任をとってくれるのだろうか。それとも、書類にウソを書いていいというのであろうか。
 土、日休みの役所へ、平日、時間と交通費をかけて、棄権をするまいと出掛けたが、やはり腹がたち、夫には「行く必要ないわよ」と言ってしまった。
(95・7・20朝日)

 不在者投票はもっと柔軟に
 鈴木日宣 34
 (千葉県八日市場市)
私は僧侶ですので、日曜日は家にいないことが多く、選挙のたびに不在者投票を行っています。
 不在理由に法要、法事と書いて提出しているので、何もいわれませんが、旅行が理由で不在者投票に来ていた人は、旅行の目的とか、かなりこまごまとしたことを聞かれていたようでした。たぶん、あれでは、次の選挙の時には、当日投票できなくても不在者投票に行かないのではないかという気がしました。
 選管の担当者は、理由があって細かなことまで聞くのでしょうが、もう少し、不在者投票しやすくはならないのでしょうか。このままでは、投票しない人が増え続けていくような気がします。
 不在者投票に来る人は、「国民としての責務」を果たそうとしているように感じて、とても頼もしく思っているのですが…。
 (僧侶)
 (95・7・31産経)

 二度と不在者投票するものか
 主婦 石田恵子 73
 (福岡市南区)
 投票日に用があるので区役所へ不在者投票に行きました。難しい政局に、一個人の意思を反映させる義務感を覚えたのです。
 まず「お座りなさい」と言われ、書類に生年月日、名前、住所を書き入れ、女性係員が「投票の日はどこへ出掛けるか、何時に出発するか」と聞かれました。「十時に出発します」と言うと、「投票所は七時から開いています」と、帰れと言わんばかりです。「出掛ける前にはいろいろ用事があり、そのために今日来た」と答えながら腹が立ってきました。
 書類には不在理由を書く項目がいっぱいあります。さらに男性係員が来て、長い説明です。棄権したくなりました。
 次に投票用紙の説明。見れば分かることです。二度と不在者投票には来るものかと思って帰りました。何の目的で長々と、しかも二人がかりで同じことを言ったのか分かりません。その日都合が悪い、それで来たという簡単なことなのに。
 (95・8・3毎日)

 不在者投票の手続きは煩雑
 自由業 小田島和彦 66
 (埼玉県東松山市)
 参院選の投票率が四四%という低率に終わったのは、民主主義の危機といっても過言ではない。新聞やテレビではその原因などについて論議されていたが、私は不在者投票の問題について述べてみたい。
 市役所に設置された投票所では、私の前にいた人が投票用紙の交付を求める「宣誓書兼請求書」という書類の記載内容について文句を言っていた。「なぜ今更職業まで書く必要があるのか」というのだ。
 周知のように、投票日に投票する場合は入場券を提示すれば投票出来る。ところが不在者投票の場合は入場券を提出した上で、請求書に氏名、住所、不在になる理由と期間、職業などを記入してなつ印しなければならない。そして投票用紙を受け取り、二重に袋に入れ、記名までして投票する。
 投票日に投票できないから事前に選挙権を行使するというのは、憲法に規定された選挙権に対する当然の権利だ。有権者が進んで権利を行使出来る条件整備の一環として、不在者投票の改善を切望する。
 (95・8・12読売)




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