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平成九年十月六日提出
質問第一号

「慰安婦」問題の教科書掲載に関する質問主意書

提出者  高市早苗




「慰安婦」問題の教科書掲載に関する質問主意書


 本年度より使用されている中学校社会科・歴史の教科書に、第二次世界大戦下における日本軍の「慰安婦」に関連する記述がある。これらの記述と義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成元年四月四日・文部省告示第四十三号)との整合性につき、以下の事項について質問する。

一 「第二章 各教科共通の条件」について
 1 「一 範囲及び程度」において、「(三)本文、問題、説明文、注、作品、挿絵、写真、図など教科用図書の内容(以下「図書の内容」という。)は、その学年の児童・生徒の心身の発達段階に適応しており、その能力からみて程度が高過ぎるところ又は低過ぎるところはないこと。」とされている。
   多くはまだ性体験そのものがないはずの中学生に対し、軍の慰安婦という極めて難しい「性」の問題をあえて教科書で取り上げ、学校教育の場で教師が教えることは、右の基準に照らして不適と考えるが、政府の見解を問う。
 2 「二 選択・扱い及び組織・分量」において、「(四)図書の内容に、特定の事柄を特別に強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないこと。」とされてい
る。
   戦地のみならず、内地においても売春が国家公認の制度として存在していたこと、また、日本だけでなく他国の軍隊も同様の事実があったということを捨象し、戦前の日本の軍隊の慰安施設だけをことさらに取り立て、現在の価値基準で一方的に批判することは、右の基準に照らして不適と考えるが、政府の見解を問う。
 3 「三 正確性及び表記・表現」において、「(一)図書の内容に、誤りや不正確なところ、相互に矛盾しているところはないこと。」、「(二)図書の内容に、児童・生徒がその意味を理解するのに困難であったり、誤解したりするおそれのある表現はないこと。」とされている。
   東京書籍、大阪書籍、教育出版、帝国書院の各教科書が使用している「従軍慰安婦」という表記は、軍属の身分を指し示す「従軍〇〇」という表現を、戦後になって当時の「慰安婦」に付加した通俗的な用語である。よって、各社の記述はかつて存在しなかった戦後の通俗的用語を歴史用語として使用している点で「誤り」であり、また、慰安婦の身分について「誤解したりするおそれのある表現」となっている点で不適と考える。
   また、日本書籍の「女性を慰安婦として従軍させ」(二六四ページ)という記述は「不正確」であり、慰安婦の身分について、やはり「誤解したりするおそれのある表現」となっている点で不適と考えるが、政府の見解を問う。
二 「第三章 各教科固有の条件〔社会科(「地図」を除く。)〕」について
 「二 選択・扱い及び組織・分量」において、「(四)未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと。」とされている。
  日本書籍 「慰安婦として従軍させ」(二六四ページ)
  東京書籍 「従軍慰安婦として強制的に戦場に送りだされた若い女性も多数いた」(二六三ページ)
  大阪書籍 「朝鮮などの若い女性たちを慰安婦として戦場に連行しています」(二六〇〜二六一ページ)
  教育出版 「多くの朝鮮人女性なども、従軍慰安婦として戦地に送り出された」(二六一ページ)
  清水書院 「朝鮮や台湾などの女性のなかには戦地の慰安施設で働かされた者もあった」(二五九ページ)
  日本文教出版 「慰安婦として戦場の軍に随行させられた女性もいた」(二五二ページ)
 右各社の記述(傍線部)は「未確定な時事的事象について断定的に記述」したものとして明らかに不適と考えるが、政府の見解を問う。

 右質問する。





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