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平成十年一月十六日提出
質問第一号

死刑の必要性、情報公開などに関する質問主意書

提出者  保坂展人




死刑の必要性、情報公開などに関する質問主意書


 一九九七年十一月の日弁連要望書などに続き、九八年に入っても死刑廃止条約の批准を求めるNGO組織が国連人権委員会特別報告官に対し、日本に死刑執行の停止を求める緊急アピールの布告を要請するなど、死刑をめぐる論議が続いている現状を踏まえ、以下の点を質問する。「死刑の執行などに関する質問主意書」(九七年十二月十二日提出)に対する九八年一月十三日の答弁書には一部事実誤認や合理性を欠くとみられる部分もあるので、答弁内容をただした質問も付記する。

一 死刑の必要性について
 1 死刑が刑罰として必要、相当な理由は。
 2 死刑を必要、相当と認めず、廃止している国と日本とでは、どのような点に相違があると考えるか。
 3 死刑によって、事件被害者の遺族感情を慰謝できると考えるか。
 4 事件被害者の遺族に対する救済措置について、国の考え方、具体的な施策は現在どうなっているか。
二 死刑の情報公開について
 1 情報公開法案の上程などが世論の関心を集めている現在、政府がかつて国会に開示していた事柄を非開示にするためには、どのような理由が必要と考えるか。
 2 情報公開については世界各国の現況、潮流も国の施策に大きな影響を与えると考えるが、死刑確定者数、確定者の権利保障状況、執行数、執行方法などの情報公開について、国連加盟各国の状況はどうなっているか。日本政府より情報公開を進めている国があるとすれば、どのような点に相違があると考えるか。
 3 一月十三日の答弁書では「一九八九年十一月の死刑執行当時までは議員の質問に日別の死刑確定者数や月別の死刑執行者数を回答していたか」との質問に「御指摘のような回答をした例は見当たらなかった」としているが、あらためて参議院法務委員会の会議録などを調査したところ、一九八四年三月二十七日の同委員会で、寺田熊雄委員が「今死刑囚で執行を受けずに待機しておる者は総計で何人ぐらいおりますか」と質問したのに対し、政府委員(筧榮一)は「死刑確定の未執行者でございますが、本日現在で二十六名でございます」と答弁している。また、八九年三月九日、同年十月三十日に議員紹介によるNGO組織との質疑の場で法務省の側から同様の回答があったとの資料を入手している。
 これらの記録を見ると、死刑に関する情報開示について、議員の質問主意書にも十分回答しないという現在の姿勢はこうした過去の事実誤認に基づいたものではないのか。
 4 過去の事実誤認がないとすれば、以前答弁していた事柄が現在回答できない理由は何か。
 5 一月十三日の答弁書では「『法務統計月報』から『死刑執行』の項目が無くなったのは、平成三(一九九一)年一月分からである。これは、『法務統計月報』は月ごとの傾向を速報するものであり、死刑執行の数字まで登載して速報する必要はないと考えたからである」とあるが、なぜ「速報する必要がないと考えた」のか。九〇年十二月以前とそれ以降では、死刑をめぐり、政府の姿勢を変更しなければならないような何か大きな状況の変化でもあったのか。
三 死刑確定者の処遇などについて
 1 一月十三日の答弁書記載の「心情の安定」とは何か。具体的に明らかにされたい。それを判断する基準、査定はどんな法令に基づき、どのように定められているのか。判断するのはだれか。
 2 死刑確定者の「心情の安定」をはかるために、具体的にどのような施策をしているのか。
 3 死刑執行の事実を公表することによって、執行された確定者の遺族の感情、ほかの死刑確定者の心情の安定などに影響を与えた実例を把握しているのか。
 4 死刑確定者の面会や信書・物の授受などについて、現在の基本的な考え方の根拠となる法律、具体的な運用状況を明らかにされたい。また、過去と相違する点があるとすれば、どのような点がいかなる理由で変更されたか、その際に法律の改正などの措置が取られたかどうかも明らかにされたい。
四 恩赦について
 1 恩赦は、代理人による申立が認められているか。認められているとすれば、その決定を代理人にいかなる方法で通知するのか。
 2 恩赦の決定を申立人本人に通知するか。するとしたら、だれがいかなる手段、方法で通知するのか。
五 死刑をめぐる国際状況、国連への報告について
 1 国連加盟国で死刑を廃止している国について、廃止前後の世論調査の結果、動向を把握しているか。
 2 一九九四年の国連総会における「死刑執行停止を求める決議案」に、政府は賛成したか、反対したか。その理由は何か。政府内の議論の経緯、国会への報告などについても明らかにされたい。
 3 刑事事件の国際手配、逃亡犯人引き渡しなどで、死刑廃止国から日本に死刑が存置していることを理由に協力を拒まれるなどしたケースはあるか。あるとすれば、どのようなケースか、具体的に明らかにされたい。
六 死刑執行の起案、決裁などについて
 1 法務大臣が死刑執行命令を出す場合、命令書の起案、決裁にかかわる担当官はだれか。執行の順番はだれがどのような基準で決めるのか。
 2 死刑確定者の動静を定期的に拘置所から報告を受けているか。
 3 死刑執行に立ち会う刑務官はいつ、どのような人選を経て指名されるのか。刑務官はそれを拒否できるのか。また、拒否することで、不利益をこうむるのか。
 4 刑場と刑具の規格は法令に定められているか。
 5 現在、東京拘置所では建て替え工事が行われているが、刑場も建て替えているのか。その規模、予算を明らかにされたい。
七 死刑執行について
 過去三年間続いた十二月の死刑執行はなかったが、死刑廃止条約の批准を求めるNGOなどによると、数人の同時処刑をあらため、今月から一人ずつ死刑を執行するとの情報が流されているようだが、事実か。

 右質問する。





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