衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十年四月十三日提出
質問第二四号

芸術文化振興としての「演劇鑑賞教室・学校巡回公演」の充実に関する質問主意書

提出者  石井郁子




芸術文化振興としての「演劇鑑賞教室・学校巡回公演」の充実に関する質問主意書


 今、日本の子どもたちは、豊かな感性を育て命の大切さを知るという点で危機的状況にある。その一因として、情操教育、とりわけ学校現場で鑑賞教室や表現活動を重視してこなかったことが考えられる。演劇鑑賞教室・学校巡回公演は、一九六一年(昭和三六年)に「推進すべき活動」として文部省にも認められ、最高時の九〇年度には、七九二三の小中学校で約四六〇万人の子どもたちが鑑賞をしている。学校は、日本の児童・青少年演劇を育てるとともに、すべての子どもたちが演劇をみることができるという場であった。
 その一方で、児童青少年演劇に携わる演劇人の社会的経済的地位は、数ある芸能の分野の中でも極めて低いものである。また、学校行事の過密化、少子化等のもとで、演劇鑑賞教室・学校巡回公演(以下、鑑賞教室とする)の活動は困難さを増している。
 子どもたちの豊かな成長、生きる力を育てるために、情操教育の一環として鑑賞教室の充実が必要と考える。この観点から、次の事項について質問する。

一 一九九〇年四月二六日付で文部省教育助成局から各都道府県教育委員会宛に、「要保護及準保護児童生徒援助費補助金校外活動費(宿泊を伴わないもの)の事務処理について(通知)」が出された。これは、劇団等が実質自己負担をしてきた、要保護及準保護児童生徒の学校公演鑑賞費を、公的負担の対象として認める旨の事務連絡である。
 1 この「通知」は、地方自治体、小中学校にどのように徹底され、活用されているか。また文部省は、現在この「通知」をどのように位置づけているか。
 2 「通知」が学校の担当者に徹底されていないため、要保護及準保護児童の鑑賞費分が劇団に支払われないケースが少なくない。不徹底の原因として、事務連絡は年度を過ぎると後任の担当者に引き継がれていかないという点があげられる。「通知」の内容を実行力あるものとするために、「通達」として改めて徹底するべきと考えるがいかがか。
二 現在、一般中小企業を含めた我が国の労働者の平均年収は、四七〇万円といわれている。しかし、児童青少年演劇に従事する専門演劇人は、日本児童青少年演劇劇団協議会(加盟七五劇団、観客数一千万人)の調査によれば、経験二〇年で平均年収二四〇万円である。消費税等の負担も加わり、このままではより豊かな芸術創造を保障することが著しく困難であり、その存続さえも危ぶまれる事態である。
  一方、小中学校の鑑賞教室の鑑賞料金は、父母負担の軽減という立場から低廉におさえられている。加えて少子化によって劇団等の公演収入は深刻な影響を受けている。現在、いくつかの地方自治体でなんらかの補助金を支出し、鑑賞教室の充実をはかっているが、これはまだ一部である。
  全国津々浦々、都市部や離島にかかわらず等しく鑑賞教室を実現・充実させるために、児童一人あたりいくら(一人五〇〇円を三才から一七才の子どもに補助するとして一〇四億円程度)という国の補助を検討するときにきているのではないか。
三 学校五日制の実施により、多くの学校で学校行事の精選がもとめられ、鑑賞教室の実施にも影響を与えている。授業数は減少しても、学習指導要領が変わらないことが大きな理由となっている。しかし、鑑賞教室や児童生徒の表現活動はますます必要となっていることは、教育関係者の共通の認識でもある。
  九七年に全国児童青少年演劇協議会関西ブロックと大阪亜立こども文化センターが協力して行った全校生徒を対象としたアンケート調査によれば、大阪市では、学校外で自主的に演劇を鑑賞する機会がある子どもの割合は、わずか三%にすぎず、他の都道府県でも大差はないと思われる。演劇に関して言えば、学校で鑑賞教室を実施しない限り、ごく一部の子どもたちにしか演劇に触れる機会がないということである。
  学校の鑑賞教室ならびに芸術や情操教育に関わる行事が確保されるよう、文部省としても各方面への働きかけが必要と考えるがいかがか。また、新学習指導要領に鑑賞教室や児童生徒の表現活動を盛り込む必要があると考えるがいかがか。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.