衆議院

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平成十一年五月二十日提出
質問第三一号

「国旗・日の丸、国歌・君が代」法制化等に関する質問主意書

提出者  石垣一夫




「国旗・日の丸、国歌・君が代」法制化等に関する質問主意書


 政府は、「国旗・日の丸、国歌・君が代」の法制化を検討しているが、わが国には現に「国旗・日の丸」は現行法として存在している(国歌・君が代は、明確な法的根拠はない)。にもかかわらず、なぜ政府は「国旗・日の丸、国歌・君が代」を同列の慣習法というのか。
 また「国旗・日の丸」は、現に法制化されているのになぜ「国歌・君が代」と一本化した新規立法を必要とするのか疑問である。政府は、一本化の新規立法が必要であるならば、現行法の何が欠けるのか、また「国歌・君が代」の慣習法ではなぜいけないのか、その理由を国民に明らかにする必要がある。この課題は、国民の国家規範に関する重要な課題であり、その対策は、緊急を要すると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 国旗に関する質問事項
 1 「国旗・日の丸」の寸法及びデザインを定めた「郵船商船規則」(明治三年一月二七日、太政官布告五七号)は現在、有効か無効か、その見解を問う。
 2 有効とすれば「国旗・日の丸」は、慣習法であるとは言いがたい。よって「国旗・日の丸」の新たなる法制化の必要性はないと解する。その見解を問う。
 3 船舶法二条(日本国旗掲揚権)、七条(掲示義務)は、国旗掲揚権及び国旗の掲示を義務づけている。義務づけている以上、法律であると解する。その義務づけている国旗は何かといえば、それは「太政官布告五七号」に定めている「日の丸」である。
   また自衛隊法第百二条(自衛艦旗等)では「自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶は、長官の定めるところにより、国旗及び・・・を掲げなければならない」と規定されている。ここで掲げる国旗とは何かといえば、それは「太政官布告五七号」に定めている「日の丸」が根拠法である。両法ともに「日の丸」を指示している。
   また航空自衛隊の使用する航空機は、旗ではなく標識として自衛隊法百二条第四項に基づき「赤色の日の丸に白色の輪郭」と表示している。更に海上保安庁の使用する航空機の標識は、最近の官報告示(平成十一年三月二四日)でも「日の丸章は紺青色で囲み、白色地に赤丸のものとする」とある。このように航空機の標識とは何かといえば、それは「日の丸」を指示している。
   これほど明確な法的根拠があるにもかかわらず、なぜ新たに法制化する必要性があるのか。現行法の「国旗・日の丸」に何か欠ける点があるのか。あるとすればその課題と理由を明らかにされたい。
 4 太政官布告五七号(御国旗、中旗)に規定されている「国旗・日の丸」は、寸法、デザインともに唯一、統一規格されたものであると解する。しかし、その後、時代の変転により太政官布告第六五一号の海軍御国旗、大日本帝国国旗法案、長野オリンピックに掲揚された国旗など、数種類に及ぶ。
   また「日の丸」の色彩も紅色と赤色など表現がまちまちであり「国旗・日の丸」は、寸法、デザイン、色彩など統一する必要性があるのではないか、その見解を問う。
 5 例えば、フランス国は、憲法二条で国家の象徴である三色旗は「自由、平等、博愛」を意味している。わが国の国旗デザインの「白地と赤丸」は、何を意味しているのか、その見解を問う。
   また戦前の文部省尋常小学校国語読本に記述されている国旗の意味内容について明らかにされたい。
 6 政府は、新たに法制化を検討しているというが、どういうデザインの国旗を認めようとするのか、その形態を明らかにされたい。
 7 「国旗・日の丸」は、法的根拠を有している。また国際間では、現在「国旗掲揚義務に関する条約」はないが、自国船に国旗を掲揚することは世界の海洋慣習となっている。従って日本の「国旗・日の丸」は国際社会に容認されているものである。にもかかわらず、政府は、なぜ「国旗・日の丸」(法的根拠はある)を「国歌・君が代」(法的根拠はない)と同列の慣習法というのか、その見解を問う。
 8 政府の新たなる国旗の法制化において国旗を誰が、いつ、どこで、何のために掲揚せよとするのか。また何を義務化させ、何を尊重し、何を自由意思とするのか、その見解を問う。
  ア 憲法七条の国事行為を行う場において国旗掲揚の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  イ 国民の慶弔行事(祝日、祭日、国葬式、戦没者追悼式、国技等)のうちどの行事に際して、国旗掲揚の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  ウ 国内・外スポーツ競技の儀式及び表彰、各社放送局の映像放映及び録音放送、またインターネット通信による映像・録音通信は、国旗掲揚の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  エ 靖国神社等、宗教的儀式のいかなる場において国旗掲揚の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  オ 自衛隊、PKO、PKF、海上保安庁、警察行事等のどの行事に際して、国旗掲揚の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  カ 都道府県及び市町村行政に関する諸行事のどの行事に際して、国旗掲揚の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  キ 国際機関の諸行事及び国際儀礼のどの行事に際して、国旗掲揚の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
 9 政府は、日の丸を国旗とする根拠は何か。なぜシンボルマークではいけないのか。
 10 諸外国では、一般的に国旗とは、国民統合の象徴としているが、わが国も国旗は、国民統合の象徴と理解してよいのか、その見解を問う。
 11 「日の丸」の由来と歴史的経過について明らかにされたい。
 12 「日の丸」の解釈は、「日出ずる国」「日の出ずる天子」「朝日の昇る国」など多様である。政府の統一見解を問う。
 13 「日の丸」は、特にアジア諸国の侵略のシンボルであるとして法制化に反対する声が一部にある、反省も含めその見解を問う。
 14 一時戦前の教育には「国旗・日の丸」の掲揚と「国歌・君が代」を斉唱するに毎朝、東方を向き宮中に礼拝するという命令行為は、さながら天皇を崇拝する教育であったと解するが、戦前と戦後の国旗掲揚と君が代の斉唱とには、どのような相違点があるのか、比較して明らかにされたい。
 15 刑法九二条(外国国章損壊罪)は、外国の国旗を損壊等すれば刑罰の対象となるが、日本の国旗を損壊等しても刑罰対象にならないのは、そもそも「国旗・日の丸」は、法的根拠がないとの認識からか。それとも刑罰に値しない軽犯であるとの認識か。また刑法制定時になぜこの規定を導入しなかったのか、また政府の新規立法案では、刑罰の対象とするのか否か、四点について見解を問う。
 16 自衛隊旗には、自衛隊法施行令一条の二に規定されている陸上の自衛隊旗(旧連隊旗)と海上自衛艦隊旗(旧軍艦旗)の二種類(航空自衛隊旗はない)がある。いわゆる旭日旗である。この旭日旗と日の丸とはどのように違うのか,また旭日旗の意義、デザインは何を表しているのか明らかにされたい。
 17 航空自衛隊の部隊旗は、鷲の金モールであり、航空機は日の丸の標識である。自衛隊旗は、このように三軍ともにばらばらの旗である。この際、自衛隊法を改正し「国旗・日の丸」に統一する必要性はないのか、その見解を問う。
 18 「自衛隊法の旗に関する訓令」には約三十種類の旗がある。例えば、内閣総理大臣旗、防衛庁長官旗、統合幕僚会議議長旗等である。部内といえどもまぎらわしく国民には分かりにくいことから「国旗・日の丸」に統一する、または簡素化・整理することを念頭に検討すべきではないか、その見解を問う。
 19 商標法四条では、「国旗と同一又は類似の商標」は使用禁止されている。しかし、すでに商業的には「日の丸タクシー」「銘酒日の丸」「君が代うどん」「君が代そうめん」などは権利としている。こうした権利の実態把握と特許並びに商標登録など関係法令との整合性をどのように図るのか、その見解を問う。
 20 昭和六年二月、第五九回帝国議会、衆議院に十一条からなる「大日本帝国国旗法案」が、衆議院議員石原善三郎氏によって提案された。衆議院は、満場一致で通過したが、貴族院では審議未了となり廃案となった経過がある。その廃案となった理由及び当時の社会的背景について政府として認識しているところを明らかにされたい。
 21 政府は、過去の国会答弁において「国旗・日の丸」は、太政官布告五七号「郵船商船規則」に制定された実行法であると容認した答弁内容があるのかないのか、あればその主な内容を年代別に明らかにされたい。
 22 文部省所管の法律には、船舶法や自衛隊法のように「国旗・日の丸」を掲揚させる現行法があるのかないのか問う。あるとすればその法律名を明らかにされたい。
 23 国旗の掲揚義務は、船舶、自衛艦、航空自衛隊及び海上保安庁の使用する航空機についての規定で国旗一般について掲揚する規定はない。故に文部省の国旗・掲揚、国歌・斉唱の行政指導は、各法なき国旗一般に類する対象である故に慣習法というのか、その見解を問う。
 24 文部省は、本来ならば学校教育(大学を除く)諸行事のなかで、特に入学式、卒業式には国旗の掲揚義務を課する各法の制定が必要でなかったのか。各法の制定がないため行政指導とせざるを得なかったのではないか。なぜ掲揚に関する法制定がこれまでできなかったのか、その歴史的経過と理由を明らかにされたい。
 25 現行の法体系から考えれば「国旗・日の丸」を掲げるためには、運輸省は船舶法で防衛庁は自衛隊法で海上保安庁は海上保安庁法で国旗の標識を課しているように文部省は文部省の各法をもって掲揚義務を課するものでなければ、何人にも掲揚義務を課すことは出来ないのではないか、その見解を問う。
 26 国旗掲揚を義務づける法律がないから行政指導をもって執行する行政の目的は理解できる。その行政指導の執行には義務も含まれるのか、含まれるとすれば行政指導の義務と法律義務との区別、相違点を明らかにされたい。
 27 行政指導は、相手方の協力を得て行うものであり、国民の権利を制限したり、また国民に義務を課する法律上の強制力はない。従って法律に制定されていない権利や義務を学習指導要領をもって法律と同等もしくはこれを超えて権利や義務を課することはできないと解するが、なぜ学習指導要領で義務を課することができるのか、その見解を明らかにされたい。
二 国歌に関する質問事項
 1 「君が代」は、法的に国歌として制定した歴史的事実はあるのかないのか、その見解を問う。
 2 資料によれば「君が代」を国歌扱いにしたのは、大日本帝国憲法発布(一八八九年)教育勅語発布(一八九〇年)というが、この史実に相違はないか、その見解と内容を明らかにされたい。
 3 明治政府以来、大正、昭和の戦前、戦後に「君が代」を国歌として教科書に明記した事実があるのか。あればその年代、教科書名及びその内容を明らかにされたい。
 4 「君が代」を学習指導要領として決定する際、文部省はいかなる審議会でどのように審議されたのか。その審議内容及び「日の丸・君が代」の閣議決定の期日並びに内容について明らかにされたい。
 5 明治政府は、一八八八年(明治二一年)に大日本礼式を発布し、諸官庁及び外国に「君が代」の演奏を楽譜として公式に通知している。これは現在も有効か、無効かを問う。また一八九三年(明治二六年三月十二日)文部省第三号告示で「小学校儀式唱歌詞並楽譜」を発布しているが、これは現在も国歌として確定する根拠となるのか否か、その見解を問う。
 6 政府の新たなる国歌斉唱の法制化は、誰が、いつ、どこで、何のために斉唱するのか。また何を義務化させ、何を尊重し、何を自由意思とするのか、その見解を問う。
  ア 憲法七条の国事行為を行う場において「君が代」斉唱の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  イ 国民の慶弔行事(祝日、祭日、国葬式、戦没者追悼式、国技等)のうちどの行事に際して、国歌斉唱の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  ウ 国内・外スポーツ競技の表彰、各社放送局の映像・録音放送、またインターネット通信による映像・録音通信は、国歌斉唱の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  エ 靖国神社等、宗教的儀式の如何なる場合において国歌斉唱の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  オ 自衛隊、PKO、PKF、海上保安庁、警察行事等のうちどの行事に際して、国歌斉唱の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  カ 都道府県及び市町村行政に関する諸行事のうちどの行事に際して、国歌斉唱の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
  キ 国際機関の諸行事及び国際儀礼のうちどの行事に際して、国歌斉唱の義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか。
 7 「君が代」の作曲、演奏の由来と歴史的経過について明らかにされたい。
 8 「君が代」の「君」とは、元来、君主ではなく恋人を意味しているという説。また「君」とは、普通の二人称単数であなたの類とされ天皇に限られたものでないとする説。さらに「君」とは、天皇を示
し、万世一系の天皇を賛嘆する意味と解する説など、多様である。「君」とは、何を意味するのか、政府の統一見解を問う。
 9 「君が代」(五・七・五・七・七)歌詞全体の意味について明らかにされたい。
 10 中でも「・・・さざれ石の巌となりて」の解釈を問う。さざれ石とは小石のことで小石が次第に大きくなり巌となるのは自然理に反する教えではないか。巌が砕けて自然に小石になるというのが自然的な意味ではないか。義務教育ではどのように教えているのか、その見解を問う。
 11 「君が代」の歌詞について、旧憲法下、特に戦前における「君」の解釈と戦後の「君」の解釈とに相違があるのかないのか、相違があればその内容を明らかにされたい。
 12 「君が代」は、詠み人知らずの古い歌として愛唱されているが、楽譜には六種類ある。また平成九年四月現在、日本音楽著作権協会に三曲の「君が代」編曲作品が個人名で著作権登録されている、というように多種多様な楽譜がある。現在、公式に使用されている「君が代」の作曲著作権は誰に帰属しているのか。また「君が代」の作曲著作権は現行法で保護されているのか、また法の適用対象外なのか、明らかにされたい。
 13 スポーツ国際大会や大相撲などに演奏される「君が代」の楽譜が統一されていない理由はなぜか、その見解を問う。また六種類の演奏楽譜に加え、三編曲の作品があるが、それぞれどこに相違があるのか、楽譜を比較して明らかにされたい。
 14 「君が代」の楽譜は別として歌詞が国民的に理解を得られなければ、アラブ首長国連邦国家のように「楽譜はあっても歌詞のない」国歌もある。このように儀式用の演奏曲のみであってもよいのではないかという考え方が一部にある、その見解を問う。
 15 政府は、なぜ「君が代」を国歌とするのか。この際、新国歌を考えてもよいのではないかという考え方が一部にある、その見解を問う。
 16 「国旗・日の丸」は、現に法制化されているので「国歌・君が代」のみ法制化すればよいのではないか、という意見に対する見解を問う。
三 国旗・国歌に関する共通の質問事項
 1 国旗・国歌とは何か、その見解を問う。
 2 政府が「国旗・日の丸、国歌・君が代」を法制化する目的と背景は何か、その見解を問う。
 3 「国旗掲揚、国歌斉唱」の義務は、憲法十一条(基本的人権)及び十九条(思想・良心の自由)との関係性について法的見解を問う。
 4 子どもの権利条約の十四条(思想・良心・宗教の自由)の規定と「国旗・日の丸、国歌・君が代」斉唱との関係において、学校側が生徒等に対し、「一同起立、国歌斉唱」と指導・命令することは、条約の趣旨に反するのかしないのか、その見解を問う。
 5 国旗、国歌を同時に新規立法とするならば、この際、新国旗・新国歌を新たに考え直すこともあってよいのではないかという意見が一部にある、その見解を問う。
 6 「国旗・日の丸、国歌・君が代」を国家規範の重要課題として、内閣に「国旗、国歌の法制化に関する審議会」を早急に設置し、国民の合意形成に努めるべきであると考える、その見解を問う。また「国旗、国歌」の選定に当たっては、国民投票に委ねることも一つの選択と考える、その見解を問う。
 7 諸外国別に国旗の諸事例(制定形式、掲揚義務及び尊重義務、掲揚の状況、学校における取扱い、一般国民の行事等の取扱い)及び国歌の諸事例(制定形式、歌詞の内容、演奏の状況、学校における取扱い、一般国民の行事等の取扱い)について明らかにされたい。
 8 政府は、新規立法に当たって、教育現場での「国旗・掲揚、君が代・斉唱」は、義務を課するのか、尊重とするのか、自由とするのか、その見解を問う。
 9 「国旗・日の丸、国歌・君が代」の学習指導要領の改正内容を年代別に明らかにされたい。
 10 現行の「国旗・掲揚、国歌・斉唱」は、なぜ学校教育(大学は除く)にのみ指導し、一般国民の個人及び諸団体等に対し、掲揚及び斉唱の指導をしなかったのか、その見解を問う。
 11 総理府は、昭和五三年三月に「国旗・国歌」に関する世論調査を発表しているが、その後調査は行われていないと聞く。今日かかる国民世論の関心事から、政府は、直ちに世論調査を実施し、その実態を公表すべきであると解する。近時その計画が予定されているのかいないのか、その見解を問う。

 右質問する。



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