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平成十二年三月八日提出
質問第一四号

バイオ施設の安全性に関する質問主意書

提出者  辻元清美




バイオ施設の安全性に関する質問主意書


 現代は「突発出現ウイルスの時代」と呼ばれるように、WHO(世界保健機関)は過去二十年間に三十以上の未知の新しい感染症が登場したと報告している。その原因として遺伝子組換えをあげる有力な学説もあり、未知のバイオハザード(生物災害)の危険性が憂慮されている。
 こうした病原体や組換えDNA、実験動物等を扱うバイオ施設は、排気、廃棄物、排水、排煙等を通して、周辺への最大の汚染源となる可能性がある。その場合、原因となった病原体等を直ちに検知することは困難であり、漏洩が超微量でも一定の条件下では増殖も有り得る。
 しかし、我が国は欧米諸国と異なり、これらバイオ施設への立地規制や届出制度、査察制度もなく、文字通り無法状態にある。その結果、多くのバイオ施設が人口密集地あるいはその周辺に立地し、各地でバイオ施設規制の住民運動が取り組まれてきたが、一方で、圧倒的多数の住民は、こうした危険物と背中合わせに生活していることすら知らされてはいない。昨年九月三十日に起きた東海「臨界事故」の教訓は、バイオ施設に関しても生かされるべきである。
 二十一世紀に向けて、政府はバイオテクノロジー分野の研究・開発の推進に前向きのようであるが、推進にあたってはバイオ施設に対する法的・社会的規制の確立が望まれる。
 以下、バイオ施設の安全性確保について質問する。

一 日本全国にある組換えDNA研究施設、病原体施設、実験動物施設の立地状況・安全性確保の実態を政府及び各地方自治体が、現在どの程度把握しているのか明らかにされたい。また、把握状況が不十分であれば、至急に全国調査が必要と考えるが、いかがか。
二 前項の各施設の名称、立地場所、事業項目、病原体等の種名を国民への安全性情報の開示の立場から公表すべきと考えるが、いかがか。
三 病原体の扱いを定めた法令のない日本では、国立感染症研究所病原体等安全管理規程が全国の病原体を扱う施設において参考にされてきた。しかし、この規程は感染症研究所の内部的な規程にすぎず、今後、法令の整備が必要と考えるが、いかがか。
四 バイオ施設から病原体や組換えDNAが漏出した場合、周辺環境への影響を把握するための調査等の手法の確立が必要と考えるが、いかがか。
五 WHO『Safety in Health-care Laboratories』(1997年 和訳『保健関係施設の安全性』)では「高度封じ込め実験施設あるいは危険な実験施設は、患者や公衆のいる地域とよく使われる道路から離れて立地されなければならない。」(P.16)とし、バイオ施設の立地について規制している。日本でもこれに従い住宅地及び公衆の集まる地域に立地することを禁ずる法的な規制が必要と考えるが、いかがか。
六 前項との関連で、建築基準法別表第2(と)三(16)で、「安全上若しくは防火上の危険の度又は衛生上若しくは健康上の有害の度が高いことにより、住居の環境を保護する上で支障がある」事業を政令で定め、こうした事業を営む工場の住宅地への立地を禁ずるものとしているが、この政令は未だ制定されていない。今後、この政令で定める事業の中にバイオ試験研究を含めるべきと考えるが、いかがか。
七 住宅地に立地する研究施設について、昭52住指発778号通達で、近隣の居住環境を害する恐れのある用途が主である施設は、旧第二種住居専用地域(現第1種中高層住居専用地域)には立地できないとされている。この点で、バイオ研究施設は少なくとも第一種中高層住居専用地域には立地できないと考えるが、いかがか。
八 阪神淡路大震災の被災状況を踏まえて一九九六年十月に建設省が制定した「官庁施設の総合耐震計画基準」(以下「建設省耐震基準」という)では、病原菌類を扱う試験研究施設に対し、石油類、高圧ガス、火薬類等を扱う施設よりも厳しい耐震安全性を求めているが、現行の建築基準法では、石油類等の消防法で定める危険物や高圧ガス、火薬類を危険物の対象としているものの、病原菌類は対象とはしていない。この点で今後建築基準法を早急に整備し、病原菌類を危険物の対象とすることが必要と考えるが、いかがか。
九 組換えDNA実験指針では、地震時、火災時、停電時など非常時における安全対策について具体的に触れられておらず、各事業者任せになっている。地震国日本においては、地震時における物理的封じ込めを維持することが病原菌類を扱う施設の安全性確保の必須条件であるが、そのためには建築基準法の遵守だけでは不十分である。そこで、バイオ施設については、官庁施設のみならず民間施設についても少なくとも前掲の「建設省耐震基準」を適用することを義務付けるべきと考えるが、いかがか。
十 組換えDNA実験で有効に機能しなかったベクターの保管・廃棄状況を政府はどのように把握しているのか明らかにされたい。
十一 病原体や組換えDNAの輸送中の事故対策について政府はどのように策定しているのか明らかにされたい。
十二 各省庁にまたがるバイオテクノロジーの安全性確保のために統一的な対策が必要と考えられるが、中央省庁改革の中で主務官庁をいかに位置付けるのか。文部科学省を主務官庁とし、中心となって取り組む考えはあるか。また、昨年九月の東海村臨界事故の教訓から行政の推進機関と安全機関との分離が指摘されている。その点から、組換えDNA実験の安全審査は環境省が担うのがふさわしいと考えるがいかがか。あるいは、第三者的審査機関の設置について検討する意向はあるか。

 右質問する。



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