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答弁本文情報

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昭和二十五年七月三十一日受領
答弁第三三号
(質問の 三三)

  内閣衆質第三六号
     昭和二十五年七月三十一日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員床次(注)二君提出予防接種に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員床次(注)二君提出予防接種に関する質問に対する答弁書



一 予防接種法の実施状況は別紙の通りである。

 1 実施が徹底せぬ理由としては、
  イ 我国として全く新しい制度であるために、国民がこの制度に慣れていないこと。
  ロ ワクチンの生産量が需要量に及ばなかつたこと。
  ハ 京都におけるジフテリア予防接種の際の事故によつて国民が一時的にこの制度に対する信頼感を失つたこと等が考えられる。

 2 予防接種に関する思想普及については、法律施行当時から国、都道府県及び市町村において諸種の手段によつてつとめているのであるが、全く新しい制度であるために、未だ不充分たるを免れない。
  これについては将来とも趣旨の普及徹底につとめたいと思う。

 3 御趣旨については賛成であるが、国家財政の制約によつて全部を国庫で負担することができないので、現在では定期の予防接種については実費を徴收することとしている。しかし将来社会保障制度が完全に実施された場合には、この費用を国又は地方公共団体の負担とすることも考慮している。

二 1 予防接種液の配給統制は、その特殊性にかんがみ必要と思われるので取りあえず臨時物資需給調整法に基く配給統制を実施したい考えであるが、同法は明年三月をもつて失効を予想されるので右の供給については保健衞生上の観点から別途の法的措置を講ずる等適当な方法を考慮中である。

 2 各都道府県における需給事務の整備強化を図ると共に薬品購入費の予算化については遺憾ないよう従来から極力地方に対して勧奬してきたが、今後も更に一段と徹底するよう努力する。

 3 前記の配給統制を実施すれば当然配給機関は指定される。

三 輸出については、従来から極力努力しており、沖縄その他から要望もあつてすでに相当量のものが輸出済又は目下手続中であるが、今後も更に一段と推進する所存である。
  有効期限切れワクチン類の補償措置については、防疫用ワクチン類を確保するため必要と思われるが国家財政等の現状から直ちに実現は困難であるので将来はできるだけその線に沿つて努力する。

四 予防接種を行う場合には、予め被接種者の康健状態を尋ね、必要がある場合には診察を行い、一定の禁忌症に該当する場合には、接種を猶予することになつている。なお、その万全を期するために禁忌症の発見について調査研究を行う予定である。
  かくの如くにして実施に当つては事故の絶無を期しているのであるが、なお且つ、予測し得ない理由によつて事故が発生した場合には国家として見舞金を出す方法を講じたいと思つている。

五 現在の検定能力は必ずしも充分でないので、人員、施設の増強及び検定方法の改善を図り、所要の検定を行い得るよう努力している。

六 ワクチン類の保管については、温度を適切に調整できる專用の冷蔵庫を設備するよう取扱業者又は実施機関に指導奬励するとともに必要な條件を法的に規整してその取締を嚴にしたい。
  なお、輸送については、従来運輸当局とも連絡しているが、今後も更に一層連絡を密にし、その協力を得て、特に輸送車、輸送具の研究を行い、運輸当局とも協議の上速やかにこれを具体化し、輸送中における適度の適正を図り、品質の確保に万全を期する。

 右答弁する。




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