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答弁本文情報

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昭和四十四年八月十二日受領
答弁第一七号
(質問の 一七)

  内閣衆質六一第一七号
    昭和四十四年八月十二日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 松田竹千代 殿

衆議院議員田中武夫君提出日米貿易経済合同委員会における対米繊維輸出規制問題の経過並びにその対策等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員田中武夫君提出日米貿易経済合同委員会における対米繊維輸出規制問題の経過並びにその対策等に関する質問に対する答弁書



1(一) 昭和四十四年七月三十日午前の日米貿易経済合同委員会全体会議において米側から繊維の輸出自主規制につき要請があり、大平通商産業大臣から米国の要求は貿易上の原則の問題として納得し難い旨述べた。

 (二) つづいて同日午後の大平通商産業大臣とスタンズ商務長官とのカウンターパート会議において、スタンズ長官から繊維問題は今や米国内において爆発的な問題となりつつあり、この解決のため多数国間協定の締結を望む旨説明があつたが、当方からは、米国繊維業界が好況である現状にかんがみ、何故協定による国際的解決を必要とするか納得し難いことおよび自主規制を前提とした会議には応じられない旨応答した。
     ついで米側から、多数国間協定の代案として、日本を含めた輸出国との個別の二国間協定を結ぶことについて、即答は期待しないから検討して欲しい旨提案があつたが、当方としては即座に新提案を拒否するのは国際儀礼上も問題があるので、非常に難しい問題であるが、繊維問題を色々の角度から検討してみると返答した。

 (三) 二国間協定の内容については、米側より毛製および化合繊製の生地、衣料品を対象とし総枠(Over−all limit)を設けるが、柔軟性のある(flexible)ものにしたいと説明をうけたのみでその詳細は不明である。従つて、米側が二国間協定の積み重ねによつて多数国間協定への発展を希望しているかどうか、その真意は不明である。

2(一) 七月三十日午後の大平通商産業大臣とスタンズ商務長官とのカウンターパート会議において、スタンズ長官から、九月半ば頃までに将来の行動について何らコミツトすることなしに、ただ情況を究明する(Probe)ための専門家間の会合を行ないたい旨の提案があつたので、事実を究明するための専門家の派遣ならしてもよい旨答えた。

 (二) 従つて、今回合意をみた専門家派遣の目的は、米国繊維事情に関する事実調査のためだけであり、繊維問題の解決手段を交渉する目的は有していない。
     ガット第一九条は、輸入品の増大が国内生産者に重大な損害を与え、又は与えるおそれがある場合輸入国が緊急措置をとることを認めているが、かかる措置をとるに際しては、輸入国は、関係輸出国に対し協議の機会を与えなければならず、右協議の際事実調査が行なわれることもありうる。しかし、今回の事実調査は、日米双方とも将来の行動を何ら前提としないものであつて、その意味でガット第一九条との直接関係づけられていない。

 (三) 一部外電によれば、米国業界は、この専門家派遣に不満を示しているとも伝えられているが、真相は明らかではない。

3(一) 政府は以上のとおり、今回の日米貿易経済合同委員会においても、形式の如何を問わず、
     繊維の自主規制には応じ難いとの従来の基本的立場をかえていない。
     ただ、かねてより米側が先方の事情をさらに詳しく説明したいというのであれば、それを聞くことにはやぶさかではないとの立場を米側に伝えていたことでもあり、それに従つて、事実調査のための会合に応じたものである。

 (二) 今後とるべき措置については、仮りに米国繊維産業の一部に被害が立証されたとしても、ガットのルールに従つて措置されるべきであることをひきつづきねばり強く主張したいと考えている。

 右答弁する。




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