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答弁本文情報

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昭和四十七年十一月十日受領
答弁第二号
(質問の 二)

  内閣衆質七〇第二号
    昭和四十七年十一月十日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員(注)長亀次郎君提出「復帰」後の沖繩問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)長亀次郎君提出「復帰」後の沖繩問題に関する質問に対する答弁書



一について

 衆議院議員不破哲三君が十月三十一日の衆議院本会議で言及したMC1とは、訓練用模擬弾であり、化学兵器ではない。

二及び三について

 沖繩の致死性化学兵器は、昭和四十六年九月までに完全に撤去され、屋良琉球政府主席(当時)を含む調査団が知花弾薬庫を点検し、これを確認している。また、沖繩が「核ぬき」で返還されたことは、昭和四十四年十一月の日米共同声明第八項、沖繩返還協定第七条、昭和四十七年五月十五日付米国国務長官発外務大臣あて書簡等により、全く疑いのないところである。
 右の次第であるので、政府は、これらの兵器の不存在を確認するための「米軍基地の総点検」ということは考えていない。

四について

 一般に米軍機の施設・区域への出入は日米安保条約の目的に合致するものである限り地位協定上認められているところであり、また、B52の一時的沖繩飛来は事前協議の対象となるものではないが、政府としては、B52に対する国民感情にかんがみ、米側に対して、かかるわが国の国民感情を十分認識の上悪天候の場合の避難など真に必要やむを得ない場合以外にはB52をわが国に飛来させないこと、ヴィエトナム爆撃の帰途に飛来することが定型化することのないようにすること、またB52をヴィエトナム爆撃のため沖繩に常駐させることは絶対にないよう申入れてきており、これに対し米側は、B52のわが国への飛来は悪天候その他緊急な場合のみに厳に限ること、B52をわが国から戦闘作戦行動のために発進させることは決してしないことを確約している。

五について

 事前協議の対象となる「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更」にいう「配置」とは、日本国内の施設・区域を本拠として駐留することをいうものであり、B52が台風避難などのために一時的に立寄ることは、飛来する機数を問わず、右の「配置」には該当しない。

六について

 ハワイ会談の共同発表において「日米安保条約の円滑、かつ、効果的な実施を期するため、両国政府が緊密な協議を通じ、引続き協力することに合意した」旨述べられているのは、両国が今後とも安保体制を維持し、密接な協議を通じて条約の運用につき今後とも協力することを確認したものである。

七について

 政府は、従来から日米安全保障条約の目的達成と施設・区域所在地域の経済・社会的発展との調整を図りつつその整理統合に努めてきたところであるが、特に沖繩県においては、米軍施設・区域の占める割合が大きく、沖繩県の振興開発に関連して問題も多いので、今後とも前記趣旨にのつとり整理縮小について関係省庁において検討を行なつていきたい。

八について

 ご質問の趣旨は、施設等所在市町村調整交付金についてであると解してお答えする。
 この調整交付金は、米軍資産と現に国有提供施設等所在市町村助成交付金の対象とされている国有財産との均衡その他米軍施設等が所在することに伴う税財政上の影響を考慮して米軍施設等が所在する市町村に対し交付する交付金である。
 このような趣旨により、その総額の三分の二は米軍資産の価格を基礎として配分し、三分の一は市町村税の非課税措置により市町村が受ける税財政上の影響等を考慮して配分することとされている。
 ところで、沖繩県に所在する米軍資産の価格については、政府において米軍の所有する資産台帳に基づき調査を行なつたものである。

九について

 調整交付金は(問八)において述べた趣旨に基づいて交付されるものであり、当該交付金の対象資産価格については、本土においても従来から政府において、同様の方法により調査を行なつているところであつて、この対象資産の調査に市町村を立ちあわせることについては、特にその必要はないものと考える。

十について

 土地所有者に返還する方向で検討を行なつている。

十一について

 「沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律」第三条第四項に基づく損失補償については、十月十七日豊見城村長ほか十六名に対し支払いを完了し、引続き十一月十五日までに五十六名に対し、十一月末までに約二百名に対して補償金を支払うべく目下手続きを進めている。
 残余の者に対しても、補償請求があり次第速やかに支払いを行なうよう努めている。
 なお、今後とも法第一条第二項の規定に基づき、話し合いにより円満に賃貸借契約締結について同意が得られるよう努める所存である。

十二について

 沖繩における防衛施設用地について国と賃(転)貸借契約を締結した者に対して支給する見舞金は、その協力、貢献に報いる意味で支給するものであるから、「憲法の基本である平等の精神に反するもの」ではない。

十三の(1)について

 一般国道三三一号については、五月十五日の日米合同委員会において「所要の安全設備等が建設された際、一般交通の用に供される」ことが合意されている。
 米側から、先般日米合同委員会を通じて右安全設備等の整備に関する具体案を申し入れてきており、政府としては設備・整備の前提となる調査を進めるとともに、米側と折衝を行ない、可及的速やかに本道路が一般交通の用に供することができるよう努力する所存である。

十三の(2)について

 沖繩本島の辺野古弾薬貯蔵所から中部の具志川市の昆布棧橋に至る米軍弾薬輸送については、関係法令の規定に基づき、右輸送の委託を受けた民間の運送業者から沖繩県公安委員会あてに、五月十五日以降四件、三七〇〇トンあまりの火薬類運搬届出がなされているところである。
 なお、右届出を受けた沖繩県公安委員会としては、当該輸送による災害の発生の防止等に関し慎重に検討を加えたうえで、運搬証明書を交付するとともに、あわせて、当該輸送に係る沿線の警察署へ通報する等公共の安全の維持を確保することに努めているところである。

十三の(3)について

 米軍に対する給水問題については、沖繩県からの要請があつたので日米合同委員会を通ずる米側との折衝により問題の解決の促進に努力してまいりたい。
 また、水道水源問題については、現在米軍提供施設専用水道は十二施設あるが、さし当たり直接または間接に民需と関係があると思われる施設について、実情を調査し、その結果をまつて所要の措置について検討してまいりたい。

十三の(4)について

 伊江村の水道水源の状況については、実態を調査し、その結果をまつて対策等を検討してまいりたい。
 また、米軍基地における水源地の利用関係については水道法上別段問題とすべき点はないものと考える。

十四について

 沖繩に自衛隊を配備するのは、わが国の領土の一部である沖繩をわが国が自らの手で防衛し、また同地域に住む百万の県民の民生に協力させるためであつて、配備される自衛隊は現在の本土におけると全く同様に自衛隊法の規定に基づいてその任務を遂行するものである。
 県民のなかには、自衛隊について、旧軍隊の暗いイメージをいだき、不安を感じていることは承知しているが、新しい自衛隊は、旧軍隊とその任務も性格も異なつている。その任務は、国土、国民を外部からの侵略から防衛する専守防衛に徹したものであり、平時においては、災害救助、輸送、土木工事の引受けその他各般の民生協力を行なうものである。
 したがつて、自衛隊の配備が沖繩の日米共同管理につながるとか、県民の民主的な運動を弾圧することになるなどということは全くありえないことである。
 過日の事件については、まことに遺憾であり、被害を受けた方に対してはもとより、国民及び県民に対し、心からお詑び申し上げる次第である。ただちに、現地指揮官に、被害者及び関係者に陳謝させるとともに、通達をもつて、今後、再びこの種事件を発生させないよう隊員の服務規律について、更に、厳重に指導し、加害者については、十一月二日付をもつて懲戒免職処分とするとともに、その指導監督の任にある者に対しても厳重な処分を行なつたところである。

十五について

 書簡の一部について特段の意見を述べることは適当でないと考える。

十六について

 那覇市与儀ガソリンタンク跡地の国有地を小学校用地として利用するかどうかは、他の公的需要との関連もあり、現在、慎重に検討しているところである。
 沖繩県の区域内に所在する国有財産を学校の施設の用に供する場合の特別措置については、「沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律」(昭和四十六年法律第百二十九号)第九十条第一項及び
 「沖繩の復帰に伴う国税関係以外の大蔵省関係法令の適用の特別措置等に関する政令」(昭和四十七年政令第百五十号)第三十四条の規定により、復帰の際、義務教育諸学校に相当する学校の用に供している国有財産を関係地方公共団体において引き続きその用に供する場合には、無償譲渡ができる措置を講じているところである。したがつて、本件のように、復帰の際、学校の用に供されていない国有財産に対しては、現在、無償譲渡の特例はなく、「国有財産特別措置法」(昭和二十七年法律第二百十九号)の規定に基づく減額譲渡又は減額貸付けにより措置されることになる。

十七について

 いわゆる久米島事件の被害者のうち、措置の対象となる遺族が判明しておられる方々については、戦傷病者戦没者遺族等援護法等により遺族給与金、弔慰金、見舞金等の支給の措置が講ぜられているが、その他の方々についても、遺族が判明し次第同様の措置をとることにしたい。

十八について

 去る九月十五日に行なわれたはち巻闘争に関し米軍のとつたいわゆる賃金カツトの措置については、目下、当該職場ごとの事実関係を調査中であり、その結果をまつて必要に応じ折衝を行なう考えである。
 政府としては、間接雇用制度の下に、地位協定の円滑な運営と駐留軍従業員の保護に、絶えず留意し、円滑な労使関係の維持に、今後とも努める所存である。

十九について

 さとうきびの最低生産者価格については、砂糖の価格安定等に関する法律に基づき農業パリテイ指数の動向、さとうきびの生産費等を十分に考慮のうえ、さとうきびの再生産を確保することを旨として十一月二十日までに定めることとし、目下検討中である。

二十について

 沖繩の消費者米価を定める際の基礎となる政府売渡価格については、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律第百十二条第一項において、復帰後五年間は復帰時の価格を基準とし、復帰後の本土売渡価格の変化の状況を参酌して、定めることとされており、さらに沖繩の復帰に伴う農林省関係法令の適用の特別措置に関する政令第五十九条第二項においては、政府売渡価格は、毎年、復帰時の価格を基準とし、復帰後における本土売渡価格の引上げの割合を参酌して定めることとなつている。
 したがつて、本土売渡価格が引き上げられれば、沖繩での政府売渡価格も引き上げられることとなり、これに伴い、政府売渡価格に標準的な販売経費を加えて定められることとなつている沖繩の消費者米価は、引き上げられることとなる。

 右答弁する。




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