答弁本文情報
昭和五十二年三月十一日受領答弁第一〇号
内閣衆質八〇第一〇号
昭和五十二年三月十一日
衆議院議長 保利 茂 殿
衆議院議員春日一幸君提出「取引相場のない株式」の相続税法上の評価等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員春日一幸君提出「取引相場のない株式」の相続税法上の評価等に関する質問に対する答弁書
一について
相続税における取引相場のない株式の価額は、発行会社の事業規模に応じ、原則として、類似業種比準方式、純資産価額方式又は類似業種比準方式と純資産価額方式とを併用する方式のいずれかの方法によつて評価することとしているが、類似業種比準価額が純資産価額を上回る場合には、純資産価額によつて評価することができることとしている。
この純資産価額は、個人の事業用財産と同様、会社財産を構成する各資産を相続税評価額によつて評価し、加えて、会社財産であることに着目して、資産の評価換えによつて生ずる評価益の五十三パーセント相当額を控除することとしているものである。
したがつて、個人企業財産の評価と比較して、法人企業の場合、課税の公平を失しているというのは当たらない。
取引相場のない株式の評価に当たつては、これらの株式の市場性が乏しいことなどを考慮し、例えば、類似業種比準方式で評価する場合には上場株式の価額等を基として計算した金額の七十パーセント相当額で評価することとし、純資産価額方式で評価する場合には資産の評価換えによつて生ずる評価益に対する法人税等相当額(評価益の五十三パーセント)を控除するなど実情に即した評価を行つている。
取引相場のない株式の評価に当たつては、その特性を考慮した合理的な評価方式により評価することとしているが、相続税の納付に当たつては、市場性が乏しいという事情を考慮し、一定の条件の下に通常の場合における五年以内の延納期間を十五年まで延長する制度を設けて便宜を図つている。
取引相場のない株式についても、縁故関係者がその株式を買い取る意思があるような場合には、その株式による物納を認めることとしているほか、延納期間を延長する特例制度の活用を図ることとしている。
取引相場のない株式の評価方式は、その株式の特性に配意しつつ、実務上可能な方法で、しかも、的確には握するという観点から学識経験者の意見も十分とり入れて定められた適正な評価方式と考えている。