衆議院

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昭和五十四年六月十二日受領
答弁第三二号
(質問の 三二)

  内閣衆質八七第三二号
    昭和五十四年六月十二日
内閣総理大臣 大平正芳

         衆議院議長 (注)尾弘吉 殿

衆議院議員岩垂寿喜男君提出「日本国との平和条約第十九条」に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員岩垂寿喜男君提出「日本国との平和条約第十九条」に関する再質問に対する答弁書



一について

 「法律上の責任はない」とは、法的に責任はないとの意味であり、特定の法律の有無を論じたものではない。

二について

1 日本国との平和条約第十九条(a)項の規定に基づき我が国が放棄したものは、国家自身の請求権を除けば、いわゆる外交保護権であり、連合国及びその国民に対する日本国民の請求権が当該連合国により否認されるようなことがあつても、我が国としては当該連合国の国際法上の責任を追及しないということである。

2 昭和四十三年十一月二十七日の最高裁判所大法廷の判決及び昭和四十四年七月四日の同裁判所第二小法廷の判決は、国の補償義務に関しては「憲法二九条三項の全く予想しないところ」であると述べており、「我が国憲法の適用外(予想外)で起きたもの」であるとの趣旨ではないと承知している。

3 前記の最高裁判所の両判決に係る事件は、連合国により財産を接収され、又は連合国の国民の行為により人身損害を受けたとされていたものであり、これらの判決は、もともと当該請求権を有していなかつた者に関するものであるとは承知していない。

4(1)から(5)まで 前記の最高裁判所の両判決に係る事件と御指摘の日南興業株式会社に係る事件は、いずれも戦争又は占領行為と関係を有すると考えているが、御質問の(2)から(5)までの諸点については、必ずしも両者が類似性を有するとは考えていない。
     なお、米国政府が日南興業株式会社の請求権を認めているとは承知していない。

 (6) いわゆる放棄請求権に関する国内措置の要否が我が国の国内問題であるという意味であれば、前記の最高裁判所の判決に係る事件と日南興業株式会社の事件とは類似性を有する。
     なお、日南興業株式会社に係る請求権の問題に関し、日本国政府に損害賠償の責任があるとの主張を米国政府が行つているとは承知していない。

5 戦争によつて被つた損害が国民のひとしく堪え忍ばなければならないやむを得ない犠牲であることは、前記の最高裁判所の両判決の示すとおりであり、昭和四十九年九月二十四日の東京地方裁判所の判決も、日南興業株式会社の被つた損害について国に法律上の責任がないと解することは、前記の最高裁判所の両判決の趣旨にも沿うものであると述べている。

三について

1 日南興業株式会社の請求権と日本国との平和条約第十九条(a)項との関係に関する政府の立場は二についての1において述べたとおりであり、日本国との平和条約第十九条(a)項によつて右日南興業株式会社の米国に対する請求権自体が消滅させられたものではないと考えているが、我が国として米国の国際法上の責任を追及し得ないという点に関し、米国政府との間に見解の相違があるとは考えていない。

2(1) 前記の東京地方裁判所における訴訟においては、日南興業株式会社の損害について、国に補償義務があるか否かについて争われていたが、御指摘の主張は、右損害について憲法第二十九条第三項の適用の余地がないという立場に立つた訴訟上の仮定的主張である。

 (2) 「総司令部の完全な支配下(占領下)での裁判、徴税等」の意味は明らかでないが、裁判、徴税等が我が国憲法の下で行われていたことは言うまでもない。日本国との平和条約及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約は、憲法にいう条約である。
     なお、日本国との平和条約の実施に関しては、御指摘のような問題はない。

3 御質問の諸点については、二について及び三についてにおいて述べたところによつて承知されたい。

 右答弁する。


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