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答弁本文情報

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平成元年七月十一日受領
答弁第三〇号

  内閣衆質一一四第三〇号
    平成元年七月十一日
内閣総理大臣 宇野宗佑

         衆議院議長 田村 元 殿

衆議院議員児玉健次君提出米空軍F16の超低空飛行訓練に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員児玉健次君提出米空軍F16の超低空飛行訓練に関する質問に対する答弁書



一について

 政府としては、御指摘の米空軍F16の事故原因は、調査中のものを含め、次のとおりと承知している。

(一) 昭和六十二年三月二十二日、機械の故障のため八戸沖海上に墜落した。

(二) 昭和六十三年九月二日、エンジンに送り込む燃料がアイドル回転数に必要な量以下となったためエンジンが作動せず、岩手県山中に墜落した。

(三) 昭和六十三年九月二十二日、ベントラル・フィン(方向安定性を高めるための部品)の一部が外れ、それが燃料系統に穴を開けたため秋田空港に緊急着陸した。

(四) 平成元年一月二十六日、油圧系統の故障により函館空港に緊急着陸した。

(五) 平成元年三月二十七日、千歳空港に緊急着陸したが、原因は調査中である。

(六) 平成元年五月三十日、秋田空港に緊急着陸したが、原因は調査中である。

二の(1)について

 米国としては、日米安全保障体制の下における米国のコミットメントの意思を明確にし、抑止力の維持・向上を図るとの観点からF16を三沢飛行場に配備したものと承知している。

二の(2)について

 F16による中高高度の通常飛行と、低空、超低空での急上昇、反転等を伴う飛行の安全性の違いについては、政府としては承知していない。

二の(3)及び三の(2)について

 米軍による実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)は、施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではなく、施設・区域の上空外において、これを行うことは、認められるところである。ちなみに、昭和六十二年、昭和六十三年と北海道及び本州北部において行われたF16の訓練は、第四三二戦術戦闘航空団所属F16が、運用能力点検、パイロットの技能維持・向上等のために必要とされている訓練を実施したものと承知している。
 他方、米軍は全く自由に飛行訓練等を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは言うまでもなく、米軍もこの点には十分に留意して、安全面の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めているものと承知している。

三の(1)について

 政府としては、御指摘の発言については承知していない。

三の(3)について

 米軍は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条の規定に基づき、日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、我が国において施設・区域を使用することを許されているところ、米軍がかかる目的で我が国に駐留することを同条約が認めているということは、事前協議に係る事項のように別段の定めがある場合を除くほか、米軍がかかる目的の達成のため、飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としている。かかる前提の下で、日米地位協定は、我が国に駐留する米軍が使用する飛行場及び航空保安施設並びに航空機及びその乗組員等に関する諸規定を置いているところ、その趣旨にかんがみ、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律(昭和二十七年法律第二百三十二号)は、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の規定の一部適用除外を定めたものである。

四の(1)について

 政府としては、御指摘の発言については承知していない。
 なお、日米地位協定上、米軍は個々の飛行訓練の内容等について、我が国への連絡を行う必要はなく、米軍が北海道及び本州北部におけるF16の訓練に関し、昭和六十三年四月十五日、同年八月二十五日、同年十月十五日及び平成元年三月二十四日に、事前の発表を行ったのは、あくまで米軍の自主的判断によるものであると承知している。

四の(2)について

 低空飛行訓練に伴う苦情、被害及び補償の状況は、別表のとおりである。なお、処理手続中のものについては、円満に解決するよう鋭意努力しているところである。

五について

 米軍の訓練及びF16の三沢飛行場配備については、三の(3)についてにおいて述べた米軍の駐留目的を達成する上で必要なものと理解しており、政府として訓練の中止やF16の撤去を求める考えはないが、今後とも、在日米軍の運用に際する安全確保につき万全の措置が採られるよう、また、地域住民への影響が最小限となるよう努力してまいりたい。


別表
米空軍F16の低空飛行訓練に伴う苦情、被害及び補償の状況
米空軍F16の低空飛行訓練に伴う苦情、被害及び補償の状況




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