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答弁本文情報

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平成四年十一月十七日受領
答弁第一号

  内閣衆質一二五第一号
    平成四年十一月十七日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員小森(注)邦君提出検察権のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小森(注)邦君提出検察権のあり方に関する質問に対する答弁書



一について

 金丸信前衆議院議員(以下「金丸前議員」という。)に対する政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)違反事件(以下「本件」という。)については、検察当局において、東京佐川急便株式会社元代表取締役渡邉廣康(以下「渡邉元社長」という。)らに対する一連の特別背任事件の捜査の過程で、渡邉元社長から金丸前議員に対し五億円の献金がなされた事実を把握し、その真相を解明するため、金丸前議員の秘書ら関係者多数の取調べを行うなど、必要な捜査を進めるとともに、金丸前議員に対して出頭の上取調べに応ずるよう求めたところ、金丸前議員から、同法第二十二条の二第三項に違反して寄附を受けたことを認める上申書が提出され、それまでに収集した証拠と併せると、違反の事実を認定するに十分であると思料されたことから、略式手続によることについて異議のない旨の書面を徴した上、罰則(同法第二十六条第二号)の法定刑の枠内で、平成四年九月二十八日、東京簡易裁判所に公訴を提起し略式命令を請求したものである。
 ところで、検察官は、刑事事件について、その真相を解明して刑事責任を確定するため、法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、証拠により犯罪の嫌疑が十分認められたものについて、罰則の法定刑の枠内でその犯情に応じ、公訴を提起するか否かを決定する職責と権限を有しているが、本件において、検察当局はその職責と権限を適正に行使したものであると考えている。
 なお、起訴便宜主義とは、犯罪の嫌疑が十分であると認められる事案であっても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができるとする制度であり(刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百四十八条)、具体的事件の捜査処理に当たって、被疑者の取調べを行うか否かや公訴を提起する場合に略式命令を請求するか否かという事柄と関係するものではないが、御質問の趣旨が、検察官に与えられた犯罪捜査や公訴の提起に係る権限の行使に適切を欠くものがあったとするものであるとすれば、前記のとおり、検察当局は、本件において、その権限を適正に行使したものであると考えている。

二について

 検察官がその権限を行使するに当たって、その恣意によりこれを濫用するようなことが許されないことは言うまでもないが、本件において、検察当局はこれを適正に行使したものであって、恣意的な取扱いをしたものではなく、また、検察当局が金丸前議員本人を検察庁において取り調べなかったことや、公訴を提起するに際し略式命令を請求したことが起訴便宜主義と関係のないものであることは、一についてにおいて述べたとおりである。

三から五までについて

 検察当局においては、本件の処理を行った平成四年九月二十八日の段階において、本件五億円の収支に関して、それまでに収集された証拠関係を踏まえ必要な検討を行ったが、起訴した事件以外に金丸前議員の余罪として訴追すべき犯罪の嫌疑が認められるものは確認できなかったものである。なお、御指摘の五億円の行方に関しては、その後、金丸前議員及びその分配を受けたと取りざたされている約六十名に対する政治資金規正法違反及び所得税法(昭和四十年法律第三十三号)違反の告発を受けて、検察当局において、これまでの捜査結果を踏まえつつ、引き続き捜査を行っているところであり、必要に応じて国税当局とも連絡を取るなどして、適切な処理がなされるものと考えている。

六について

 平成元年に行われた新潟県知事選挙においては、検察当局における捜査の結果、金子清前新潟県知事(以下「金子前知事」という。)陣営等に三億円の献金がなされた事実が判明し、そのうち金子前知事陣営に献金された一億円に関し、金子前知事の後援政治団体の収支報告書につき、政治資金規正法の収支報告書虚偽記入罪(同法第二十五条第一項)の嫌疑が十分認められたので、金子前知事外二名を新潟地方裁判所に公判請求したところであり、残り二億円についても、必要な捜査を行ったが、同法違反等の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できなかったものである。

七について

 政治家が暴力団とかかわりを持つべきでないことは言うまでもないことであり、政治家一人一人が高い倫理感を持って日々の政治活動に当たることが必要と考えている。
国民の政治に対する信頼を回復するためには、同時に、制度面の見直しも必要であり、政治資金の透明性の確保、政策を中心とした選挙の実現など抜本的な政治改革に向けて、全力を尽
くして取り組んでまいりたい。





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