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平成五年一月二十二日受領
答弁第一五号

  内閣衆質一二五第一五号
    平成五年一月二十二日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員和田貞夫君提出被疑者との接見交通から見た狭山事件の問題点に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員和田貞夫君提出被疑者との接見交通から見た狭山事件の問題点に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 平成四年六月中に勾留の請求がなされた被疑者について法務省が調査した結果によれば、家族等との接見について刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第八十一条及び第二百七条第一項の規定による接見禁止の措置が採られず、法律上の制限なくして自由に接見することが認められた人員の割合は、全勾留人員のうち約八十一・三パーセントであり、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)が被疑者との接見を申し出た場合には、すべて接見が認められている。また、検察官が同法第三十九条第三項の規定に基づき接見の日時等を指定した全回数のうち、十五分間程度の時間を指定した回数の割合は約二十五・四パーセントにすぎず、その余についてはすべて十五分間を超えて接見の時間が指定されている。

三について

 検察官が刑事訴訟法第三十九条第三項の規定に基づき接見等の日時等を指定することができるのは、捜査のため必要があるときに限られている上、同項ただし書により、その指定は、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならないとされており、前記のとおり、実務の運用においても被疑者の防御権及び弁護人等との接見交通権は十分に保障されているのであるから、御指摘の市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)第十四条3(b)及び(d)に違反する実情は存在しない。

四について

 御指摘のお茶の水女子大寮での事件につき、弁護人が昭和六十年七月二十二日及び同月二十五日の二回にわたり、被疑者と接見し、更に同月二十九日、検察官に三回目の接見を申し出たところ、検察官は、弁護人に対し、捜査のため必要があるとして接見の日時を同年八月一日午前中として指定する用意がある旨回答した。そこで、弁護人は、同年七月二十九日、検察官の右取扱いについて、東京地方裁判所に準抗告を申し立てたが、同裁判所がこれを棄却したことから、同年八月一日、検察官の指定に基づいて被疑者と接見したものであって、検察官の右取扱いは違法なものではない。

五、七及び八について

 御指摘の狭山事件における接見指定の当否については、自白の任意性及び信用性の判断にも関連しており、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。

六について

 前記狭山事件における自白の信用性については、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。
 自白調書の証拠能力については、当該自白がいわゆる接見禁止中になされたものであるか否かを問わず、刑事訴訟法第三百十九条第一項により、強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、証拠能力がないものとされている。

九について

 現在の刑事訴訟の実務上、適正な取調べによって得られた被疑者の供述が事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみると、取調べに際しての弁護人の立会いや取調状況の録音等被疑者の取調べの在り方については、最大限二十三日間という限られた被疑者の身柄拘束期間の中で迅速に捜査を遂げて実体的真実を追求する必要があることを考慮しつつ、科学的あるいは客観的な捜査方法の在り方、処罰規定の客観化等の問題をも含めて、広く刑事訴訟制度全体の枠組みの中で慎重に検討すべきものであると考える。





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