答弁本文情報
平成七年三月二十八日受領答弁第一号
内閣衆質一三二第一号
平成七年三月二十八日
衆議院議長 土井たか子 殿
衆議院議員横光克彦君提出低用量ピルに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員横光克彦君提出低用量ピルに関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の「経口避妊薬の臨床評価法に関するガイドライン」は、昭和六十二年四月二十一日付けで厚生省薬務局審査第一課長から各都道府県衛生主管部局長あて通知されている。
低用量ピル(以下「ピル」という。)については、平成二年七月以降、九社から承認申請が行われている。承認申請後、中央薬事審議会(以下「審議会」という。)での審議が開始されているが、臨床試験の開始時期、終了時期及び試験規模並びに審議の経過及び内容については、現在審議中であるので、公正かつ中立な審議を妨げるおそれがあることから、非公表としている。
社団法人日本産科婦人科学会、社団法人日本母性保護産婦人科医会、社団法人日本家族計画協会及び社団法人日本家族計画連盟に対して審議会からの回答は行っていない。
審議会においては、承認申請が行われた個々の品目について、有効性、安全性等に関する審議が行われており、いまだ結論が出ていない。
また、関連する問題として、ピルの使用が後天性免疫不全症候群(以下「エイズ」という。)の病原体(以下「HIV」という。)の感染の拡大に与える影響について、公衆衛生上の観点からの議論も行われている。
なお、御指摘の新聞記事の内容については、厚生省としてそのような見解を発表したものではない。
御指摘の感染経路によるHIV感染も考えられるが、日本人女性のHIV感染が当該感染経路によるものであるかどうかを明らかにすることはできない。
HIVの母子感染の予防に関しては、「HIV母子感染予防のガイドライン」等を作成し、母子感染の確率をできる限り少なくするための方法について、医療機関等への周知を図っているところであり、今後とも適切に対処してまいりたい。
避妊方法としてのピルの有効性、安全性等については、現在審議会において審議が行われているところである。
コンドームの正しい使用は、HIV感染の主要感染経路である性行為による感染を防止する上で、現在、最も有効な手段であると認識している。
避妊については、家族計画の手段として、性行為感染症及びその性格を持つエイズの予防の問題とは別に、母性の保護や児童の健全育成等を図るために行っているものである。
避妊は、性行為に関し行われるものであり、その方法が性行為感染症及びその性格を持つエイズ予防と関連する面があると考えられる。
我が国においては、避妊法として、コンドーム、IUD、ペッサリー等が使用されているが、これらは適切に使用すれば、十分な避妊効果があるものと考えている。
また、その使用方法等については、保健所における新婚家庭に対する指導や保健婦による訪問指導等を通じて指導を行っている。
コンドームの使用については、男性の協力が必要であることから、新婚家庭等に対する指導を通じてその適切な使用方法等の普及に努めているところである。
また、女性が自ら行使し得る避妊法としては、IUD、ペッサリー等があるが、これらは適切に使用すれば、十分な効果があるものと考えている。
コンドームによる避妊は、入手が容易であること、使用者にとって安全であること等の利点を有しており、また、その効果も使用法が適切であれば十分効果があることから、我が国において広く利用されているものと考えている。
ピルについては、現在審議会において、有効性、安全性等に関する審議が行われており、いまだ結論が出ていない。
なお、関連する問題として、ピルの使用がHIVの感染の拡大に与える影響について、公衆衛生上の観点からの議論も行われている。
ピルの避妊以外の効果に関して、御指摘のような研究報告があることは承知している。
先進諸国におけるピルの承認状況はおおむね御指摘のとおりであるが、我が国としては、現在審議会において、その有効性、安全性等について慎重な審議を行っているところである。
医薬品の製造等の品目に係る許可については、当該医薬品が厚生大臣の製造等の承認を得ていることがその要件とされているが、輸出用医薬品については当該許可は不要である。しかし、一般に我が国が実施している避妊具等の供与は、それを政府の技術協力の一環として行っている事情から、国内で当該承認を受けているものを対象としている。
しかしながら、人口施策支援は様々な手段により総合的に行うものであり、我が国においてピルが未承認であることが途上国における効果的な人口施策推進の妨げになっているとは考えていない。
ピルについては、現在審議会において、その有効性、安全性等について慎重な審議を行っているところである。