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平成八年二月九日受領
答弁第二五号

  内閣衆質一三四第二五号
    平成八年二月九日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員今村修君提出返還ガラス固化体の安全の確認に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員今村修君提出返還ガラス固化体の安全の確認に関する質問に対する答弁書



一の1から3までについて

 海外から我が国に返還されるガラス固化体(使用済燃料を溶解した液体から核燃料物質その他の有用物質を分離した残りの液体をガラスにより容器に固型化したものをいう。以下同じ。)については、仕様そのものについての具体的基準等により法的に規制されているのではなく、その廃棄に係る安全性は、当該ガラス固化体が日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)の廃棄物管理施設において管理される期間を通じて、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)に基づく廃棄物管理の事業に係る規制及び工場又は事業所の外において行われる廃棄に係る規制等によって確保されるものである。
 なお、ガラス固化体を九段積みにして三十年間から五十年間貯蔵しても当該ガラス固化体が健全であることについてフランス核燃料会社(以下「COGEMA」という。)が保証しているか否かについては承知していない。

一の4及び5について

 COGEMAに使用済燃料の再処理を委託した我が国の電気事業者が昭和六十一年九月一日付けでCOGEMAから受領したガラス固化体の仕様(以下「COGEMA仕様」という。)においては、ガラス固化時の容器当たりの放射能量としてセシウム一三七については十八万キュリー未満、ストロンチウム九〇については十二万五千キュリー未満であること等がCOGEMAにより保証されると示されており、また、フランスから平成七年四月に返還されたガラス固化体については、残滓(輸送及び電力会社への返還に適する形態になっている廃棄物をいう。以下同じ。)の製造等のために設定されたCOGEMAの品質管理及び品質保証措置がCOGEMAから当該電気事業者に提出された仕様を満たす残滓の製造及びその品質の保持のために適切なものであること等について平成五年三月十六日、同年三月二十二日及び平成六年十一月二十九日付けでビューロ・ベリタス(以下「BV」という。)が確認しているものと承知している。

一の6及び7並びに八について

 COGEMAに使用済燃料の再処理を委託した我が国の電気事業者とCOGEMAとの間の平成七年四月に返還されたガラス固化体に係る輸送契約によれば、同契約に基づくガラス固化体の検査において当該ガラス固化体が日本原燃の廃棄物管理設備に受入不能であると判明した場合には、両者はその原因及び採り得る対応策に関して互いに協議するものとされていると承知している。

二について

 廃棄物管理の事業を行おうとする者は原子炉等規制法に基づきその設置する廃棄物管理設備等において廃棄物管理を行う放射性廃棄物に含まれる放射性物質の種類ごとの最大放射能濃度等を記載した廃棄物管理事業許可申請書を提出し内閣総理大臣の許可を受けることとなっており、海外から我が国に返還されるガラス固化体が電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される際には、その放射能濃度等が当該廃棄物管理設備において管理することができるものとすること等の保安のために必要な措置を講ずることが電気事業者に義務付けられ、当該措置が核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則(昭和五十三年総理府令第五十六号。以下「事業所外廃棄規則」という。)の規定に適合することについて科学技術庁長官が確認することとなっている。

三の1について

 平成七年四月に返還されたガラス固化体を廃棄しようとする電気事業者が同年二月二十日付けで提出した事業所外廃棄確認申請書(以下「二月二十日付け申請書」という。)及び同添付書類について同年五月十六日付けで一部補正が行われたのは、COGEMAによりガラス固化体に係る資料の変更が行われたことによるものではなく、当該電気事業者の自主的な判断によるものであると承知している。

三の2の@、A及びCについて

 COGEMA仕様におけるガラス固化体の容器の肉厚の値は、保証パラメータ(COGEMAにより保証される諸元をいう。)ではなく標準的なガラス固化体についての値(以下「標準値」という。)であり、変更されていないと承知している。また、平成七年四月に返還されたガラス固化体の容器の肉厚について、容器製造時から変更が加えられた事実はないと承知している。

三の2のBについて

 御指摘の「強度を担保する上で必要な部分」とは、補正後の二月二十日付け申請書添付書類三によれば、日本原燃の廃棄物管理設備においてガラス固化体を九段積みにして貯蔵する際に発生する荷重等を負担する部分である。

三の3の@からCまでについて

 御指摘のBVの技術監査に係る記載については、記載箇所の適正化を図るため、申請を行った電気事業者が二月二十日付け申請書添付書類二から削除し、同添付書類一に追加したものと承知している。

三の3のDについて

 平成七年四月に返還されたガラス固化体については、残滓の製造等のために設定されたCOGEMAの品質管理及び品質保証措置がCOGEMAから電気事業者に提出された仕様を満たす残滓の製造及びその品質の保持のために適切なものであること等についてBVが確認しているものと承知している。

三の4について

 COGEMA仕様におけるガラス固化体の容器の重量の値は標準値であり、変更されていないと承知している。また、平成七年四月に返還されたガラス固化体の容器の重量が当該仕様におけるガラス固化体の容器の重量の値より大きい理由については承知していない。

三の5について

 御指摘のセシウム一三七からバリウム一三七mへの分岐比の値の変更については、二月二十日付け申請書添付書類四及び五における当該分岐比の値と放射性核種の半減期の値の出典が異なっていたため、これらの出典を統一するために行われたものと承知している。

三の6について

 御指摘の「COGEMAガラス固化体からの中性子発生数の計算方法」については、二月二十日付け申請書におけるアルファ線を放出する放射性物質の放射能濃度の値が妥当であることを示すための参考資料として、二月二十日付け申請書添付書類五に追加されたものと承知している。

三の7について

 二月二十日付け申請書添付書類六において「耐食性」の文言が削除されたのは、申請を行った電気事業者においてガラス固化体の容器の耐食性を維持できることについてより具体的に記述することとしたことに伴うものであると承知している。

四の1について

 御指摘の二月二十日付け申請書の一部補正が平成七年六月三十日付けで行われたことの理由については承知していない。

四の2について

 平成七年五月の時点で、同年四月に返還されたガラス固化体に係る原子炉等規制法に基づく廃棄に関する確認に要する日数について、申請を行った電気事業者において見通しが立っていたか否かについては承知していない。

四の3について

 二月二十日付け申請書の一部補正において「確認証の交付後二十日以内」とされたことについては、申請を行った電気事業者が当該ガラス固化体の廃棄物管理設備への廃棄に要する日数を余裕を持って設定したことによるものと承知している。

五について

 二月二十日付け申請書及び御指摘の同申請書の一部補正については、これらに必要な事項の記載及び必要な書類の添付がなされていると判断されたため、受理したものである。

六の1について

 平成七年四月に返還されたガラス固化体の輸送については、原子炉等規制法に基づき、輸送容器にガラス固化体を収納したものがBM型輸送物に係る技術上の基準に適合することについて科学技術庁長官が確認しており、法令の違反はない。

六の2について

 御指摘の発熱量の測定については、平成七年四月に返還されたガラス固化体が申請を行った電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される場合に講じられる保安のために必要な措置が事業所外廃棄規則の規定に適合することを科学技術庁長官が確認するに当たって、二月二十日付け申請書の記載内容が妥当であることを確かめるために行ったものである。

六の3について

 科学技術庁長官は、平成七年四月に返還されたガラス固化体が申請を行った電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される場合に講じられる保安のために必要な措置が事業所外廃棄規則の規定に適合することについて確認するに当たって、当該電気事業者により「海外再処理に伴う返還廃棄物(ガラス固化体)の輸入に関連して所管行政庁から報告を受けるべき事項について」(平成六年六月二日原子力安全委員会了承)に示された方法に従って発熱量及び放射能濃度が適切に決定されていることを確かめている。

七の1から3までについて

 海外から我が国に返還されるガラス固化体については、仕様そのものについての具体的基準等により法的に規制されているのではなく、その廃棄に係る安全性は、当該ガラス固化体が日本原燃の廃棄物管理施設において管理される期間を通じて、原子炉等規制法に基づく廃棄物管理の事業に係る規制及び工場又は事業所の外において行われる廃棄に係る規制等によって確保されるものである。なお、かかる安全規制の一環として、当該ガラス固化体が電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される際には、その放射能濃度、発熱量等が当該廃棄物管理設備において管理することができるものとすること等の保安のために必要な措置を講ずることが電気事業者に義務付けられており、当該措置が事業所外廃棄規則の規定に適合することについて、当該ガラス固化体が当該廃棄物管理設備に廃棄される前に科学技術庁長官が確認することとなっている。
 また、COGEMA仕様においては、ガラス固化時の容器当たりの放射能量としてセシウム一三七については十八万キュリー未満、ストロンチウム九〇については十二万五千キュリー未満であること等がCOGEMAにより保証されると示され、さらに、平成七年四月に返還されたガラス固化体については、残滓の製造等のために設定されたCOGEMAの品質管理及び品質保証措置がCOGEMAから電気事業者に提出された仕様を満たす残滓の製造及びその品質の保持のために適切なものであること等について平成五年三月十六日、同年三月二十二日及び平成六年十一月二十九日付けでBVが確認しているが、これらにより、廃棄に関する確認の申請を行った電気事業者は、当該ガラス固化体がCOGEMA仕様を満たして製造されたものと認識していると承知している。

七の4について

 科学技術庁長官は、平成七年四月に返還されたガラス固化体が申請を行った電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される場合に講じられる保安のために必要な措置が事業所外廃棄規則の規定に適合することについて確認するに当たって、二月二十日付け申請書添付書類四及び五の記載内容が妥当であることを確かめている。

七の5について

 科学技術庁長官に提出された二月二十日付け申請書添付書類四及び五において記載されている放射性物質の種類ごとの放射能濃度は、平成七年四月に返還されたガラス固化体に係る廃液の分析結果から算出したものであると承知している。

九について

 次回フランスから返還される予定のガラス固化体の数量及びその具体的な返還時期等については、現在、COGEMAに使用済燃料の再処理を委託した我が国の電気事業者とCOGEMAとの間で調整が行われているものと承知している。





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