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答弁本文情報

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平成八年三月五日受領
答弁第三号

  内閣衆質一三六第三号
    平成八年三月五日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員小森(注)邦君提出人権問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小森(注)邦君提出人権問題に関する質問に対する答弁書



一について

 この条約第一条1の「世系」という訳語は、日本語であり、我が国の国語辞典にも掲載されているところである。

二について

 政府は、一般に条約を締結するに当たっては、誠実にこれを履行するとの立場から、国内法制との整合性を確保することとしている。この条約の締結についても、このような方針の下に鋭意検討を行った結果、我が国が留保を付したこの条約第四条(a)及び(b)を除いては、憲法を始めとする現行国内法制で担保されており、締結に当たり新たな立法措置は不要であるとの結論に至ったものである。

三について

 この条約第一条1の「descent」については、人種、民族の観点からみた系統を表すものと解しており、その訳語として、一についての答弁において述べたとおり、日本語としての「世系」を当てたものである。なお、日本国憲法第十四条第一項において使われている「門地」とは、一般的に家柄などをいうものと解される。

四について

 条約の訳語については、正文テキストの文言の意味をできるだけ正確に反映するように、また、我が国が既に締結している他の条約や国内法令における用語との整合性等を勘案しつつ慎重に検討した上で、政府の責任において確定しているところである。

五について

 この条約の目的については、あらゆる形態の人種差別を撤廃するとともに、人種間の理解の促進を図ることにあると解される。
 審議経緯については、一貫して人種、民族に基づく差別の撤廃の観点から審議されたものである。
 各国の関連措置については、主要国は、人種差別撤廃委員会に提出する定期的な報告の中で、専ら人種、民族に基づく差別の問題をこの条約の対象として取り上げている。
 各国の解釈については、米国、英国、仏等の主要国は、いずれも「descent」を人種、民族の観点からみた系統と解していると承知している。

六について

 この条約の適用上、「人種」とは、社会通念上、皮膚の色、髪の形状等身体の生物学的諸特徴を共有するとされている人々の集団を指し、「皮膚の色」は、このような生物学的諸特徴のうち、最も代表的なものを掲げたものと考えられる。
 また、この条約の適用上、「民族的出身」及び「種族的出身」とは、いずれも社会通念上、言語、宗教、慣習等文化的諸特徴を共有するとされている人々の集団の出身を指すものと考えられる。
 更に、この条約の適用上、「世系」とは、過去の世代における人種又は皮膚の色及び過去の世代におけちゆうる民族的又は種族的出身に着目した概念であり、生物学的・文化的諸特徴に係る範疇を超えないものであると解される。
 以上のとおり、「人種」、「皮膚の色」、「世系」及び「民族的出身」又は「種族的出身」は、この条約上、相互に排他的なものではない。

七について

 政府としては、同和問題の早期解決に向けた方策の在り方について、地域改善対策協議会(以下「地対協」という。)に設置された総括部会において、審議をしていただいているところである。
 同総括部会においては、心理的差別の解消に向けた啓発等のソフト面の推進方策、行政運営の適正化等今後の地域改善対策を適正に推進するための方策、地域改善対策特定事業(物的事業及び非物的事業)の一般対策への円滑な移行方策等が審議事項とされており、その中で、平成七年十二月二十日付けの部会長の談話でも述べられているとおり、法的措置、行財政的措置等の各種施策の基本的な在り方について審議をしていただいているところである。

八について

 政府としては、同和問題は憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるとの認識の下に、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和六十二年法律第二十二号)に基づき、各般の事業を積極的に推進することにより、同和問題の早期解決に努力しているところである。
 同和問題の早期解決に向けた方策の在り方については、地対協総括部会において、平成五年度に実施した同和地区実態把握等調査の結果も踏まえ、審議をしていただいているところであり、平成七年十二月二十日に「同和問題の早期解決に向けた方策の基本的な方向」を取りまとめていただいたところである。
 また、人権と差別問題に関するプロジェクトチームにおいて与党各党間の話合いも進められているので、その議論の動向にも十分留意しながら対処してまいりたい。





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