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答弁本文情報

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平成十年二月三日受領
答弁第二三号

  内閣衆質一四一第二三号
    平成十年二月三日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員秋葉忠利君提出苫田ダム建設事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員秋葉忠利君提出苫田ダム建設事業に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「経緯」については、「第二回苫田ダム建設事業審議委員会議事要旨」によれば、平成八年五月三十日に開催された第二回苫田ダム建設事業審議委員会において、「次回は、岡山大学環境理工学部に苫田ダム事業について第三者の立場で資料を取りまとめ説明するよう要請している」旨の委員長の発言を出席した各委員が了承したものであり、御指摘の「依頼」は、苫田ダム建設事業審議委員会としての意思決定を経た上で、同委員会の名で行われたものであると承知している。
 なお、苫田ダム建設事業審議委員会が定めた「苫田ダム建設事業審議委員会運営要領」第七条において、同委員会は必要に応じ河川工学、環境分野等の専門家等から意見を聴取するものとし、その方法については同委員会において決定する旨が定められているところである。

二について

 ダム等事業審議委員会(以下「審議委員会」という。)を設置する趣旨は、審議委員会の審議の対象とされたダム等事業(以下「審議対象事業」という。)の目的、内容等に対する地域の意見を的確に聴取することにあることから、審議委員会の委員を関係都道府県知事及びその推薦する者とし、審議委員会の運営もそれぞれの審議委員会自らの判断において行うこととしているところであり、審議対象事業の評価についても、それぞれの審議委員会において、それぞれの事業の状況、経緯等も踏まえつつ独自の判断で行われているところである。

三のアについて

 審議委員会の議事の概要の公表については、今回の事業評価方策の試行の目的である事業評価の一層の透明性及び客観性の確保という観点に照らし適切なものであることが必要と考えている。

三のイからエまでについて

 苫田ダム建設事業審議委員会の議事の概要の公表については、議事要旨の公表、記者会見等を通じて、今回の事業評価方策の試行の目的である事業評価の一層の透明性及び客観性の確保という観点に照らし適切に行われたものと考えている。
 また、建設省においては、今回の事業評価方策の試行の目的である事業評価の一層の透明性及び客観性の確保が実現されるためには審議委員会の議事が適切に公表されることが重要であると考え、「ダム等事業に係る事業評価方策の試行について」(平成七年七月十四日建設省河開発第九十八号建設省河川局長通達。以下「河川局長通達」という。)別紙「ダム等事業審議委員会設置・運営要領」(以下「設置・運営要領」という。)において、審議委員会は議事内容の概要を公表するべき旨を定めているところであるが、その公表を具体的にどのような形で行うかについては、二についてで述べた審議委員会の設置の趣旨にもかんがみてそれぞれの審議委員会自らの判断によることが適切であると考え、御指摘の「審議委員会の全面公開」及び「議事録の公表」については特に定めを置くことはしなかったものである。

三のオについて

 設置・運営要領では地域の意見を的確に聴取する観点から地域住民等からの意見聴取等に関する定めを置いているが、二についてで述べた趣旨から、審議対象事業の評価はそれぞれの審議委員会においてそれぞれの事業の状況、経緯等も踏まえつつ独自の判断で行われるべきものと考え、設置・運営要領で地域住民等からの意見聴取等を義務付けるまではしなかったものである。

四のアについて

 審議対象事業の進め方については、建設省は、関係地方建設局長等からの報告を受け、当該報告について審議委員会の意見を尊重しつつ検討を行った上で判断することとしているものであり、このことは苫田ダム建設事業においても同様である。

四のイ及び六について

 建設省は、設置・運営要領等の趣旨に従った審議委員会の運営が行われたか否かを関係地方建設局長等からの報告等に基づいて確認しており、苫田ダム建設事業審議委員会についても、中国地方建設局長からの報告等の内容から、設置・運営要領等の趣旨に従った委員会の運営が行われたものと考えている。

五について

 学識経験者である委員については、二についてで述べた審議委員会の設置の趣旨から、河川局長通達には「学識経験のある者については、当該事業に関し地域の意見を的確に反映させるのに適当な者とすること」とのみ定め、関係都道府県知事が自らの判断で適当と認める者を推薦することとしているものである。

七について

 苫田ダムに係る予備調査(以下「予備調査」という。)として、建設省中国地方建設局西大寺工事事務所、岡山工事事務所及び岡山河川工事事務所が流量観測、地質調査等の基礎的調査、治水計画に関する机上調査等を行っており、昭和三十七年度から昭和四十六年度までの各年度における同ダムに係る河川総合開発事業調査費の合計は約三千万円である。
 また、予備調査は十年間にわたって多様な項目に関して行われ、その地理的範囲も苫田ダムの建設予定地の周辺にはとどまらないものであることから、予備調査を行った日時、地点等として特定のものを示すことができる性格のものではない。
 さらに、予備調査においては多様な調査が行われ、膨大な成果物が得られていることから、その結果を示すことは困難である。

八について

 昭和四十七年度から昭和五十五年度までの間において、建設省中国地方建設局吉井川総合開発調査事務所及び苫田ダム調査事務所によって流量観測、地形調査等の河川管理上必要な基礎的調査、治水計画に関する机上調査等を内容とする苫田ダムに係る実施計画調査(以下「実施計画調査」という。)が行われているが、建設省は、この期間に、昭和四十二年四月十七日に建設省中国地方建設局長と岡山県苫田郡奥津町長との間で締結された協定書第二条に定める「実施調査」に該当する調査は行っていないと理解している。
 実施計画調査に要した費用の合計は約十六億円である。また、実施計画調査は九年間にわたって多様な項目に関して行われ、その地理的範囲も苫田ダムの建設予定地の周辺にはとどまらないものであることから、実施計画調査を行った日時、地点等として特定のものを示すことができる性格のものではない。さらに、実施計画調査においては多様な調査が行われ、膨大な成果物が得られていることから、その結果を示すことは困難である。

九について

 ダムの管理は、ダムの操作及びダムの堤体等の点検、維持、修繕等をその内容とするものであり、これは苫田ダムについても同様であると見込まれる。
 また、ダムの管理に要する費用については、個別のダムごとにその管理体制、設備の具体的内容等に応じた経費から求められるものであるが、現時点では苫田ダムに係る管理体制、設備の具体的内容等が未定であることから、これを示すことはできない。
 さらに、御指摘の「負担者」は、国、岡山県及び今後苫田ダムに係るダム使用権(特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第二条第二項に規定するダム使用権をいう。)の設定を受ける者である。

一〇について

 建設省中国地方建設局が昭和五十六年七月に作成した「苫田ダム環境影響評価報告書」(以下「評価報告書」という。)は、それまでに同局吉井川総合開発調査事務所及び苫田ダム調査事務所が行ってきた文献調査、現地調査等による苫田ダムに係る環境上の影響に関する調査(以下「環境調査」という。)の結果を取りまとめたものであり、環境調査に係る業務委託に対して支出した費用の合計は約三千万円である。
 また、環境調査は、昭和五十年度から昭和五十五年度までの間において多様な項目に関して実施されたものであることから、環境調査を行った日時等として特定のものを示すことができる性格のものではない。
 さらに、環境調査の結果については、既に公表されている評価報告書に取りまとめられているとおりである。

一一について

 現時点において既に審議対象事業に関する意見又は中間的な意見を述べている審議委員会のうち、小川原湖総合開発事業審議委員会、成瀬ダム事業審議委員会、渡良瀬遊水池総合開発(II期)事業審議委員会、矢作川河口堰建設事業審議委員会、苫田ダム建設事業審議委員会及び高梁川総合開発事業審議委員会は存続しており、沙流川総合開発事業審議委員会、宇奈月ダム事業審議委員会、足羽川ダム建設事業審議委員会、川辺川ダム事業審議委員会及び徳山ダム建設事業審議委員会は解散している。
 また、現時点においていまだ審議対象事業に関する意見を述べていない紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会及び吉野川第十堰建設事業審議委員会については、それぞれの審議委員会の規約等において委員の任期は当該審議委員会が意見を述べるまでとされていることから、基本的には、意見が述べられた後には解散するものと考えている。
 御指摘の「改正河川法との関係」については、今後審議委員会から述べられる意見は、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条の二に規定する河川整備計画を定めるに当たって十分考慮されるべきものであると考えている。





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