衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十年八月四日受領
答弁第六三号

  内閣衆質一四二第六三号
    平成十年八月四日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出使用済核燃料輸送容器の放射能汚染の原因究明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出使用済核燃料輸送容器の放射能汚染の原因究明に関する質問に対する答弁書



(1)について

 電気事業者は、使用済燃料を原子炉施設を設置した事業所の外へ搬出する場合には、管理区域内において、使用済燃料を輸送容器に収納した上、純水による洗浄等によりあらかじめ輸送容器表面の汚染の除去を行った後、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第三十七条の規定に基づく保安規定で定める使用済燃料の運搬に係る確認体制に従って、輸送容器表面等における線量当量率、輸送容器表面の放射性物質の密度等について、核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則(昭和五十三年総理府令第五十七号。以下「場外運搬規則」という。)で定める技術上の基準又は実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和五十三年通商産業省令第七十七号)及び危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭和三十二年運輸省令第三十号。以下「危険物船舶運送規則」という。)で定める技術上の基準に適合することの確認を行っているところである。

(2)について

 電気事業者等が使用済燃料を原了炉施設等を設置した工場又は事業所の外において運搬する場合(船舶又は航空機により運搬する場合を除く。)には、原子炉等規制法第五十九条の二第二項の規定に基づき、その運搬する物についての措置が場外運搬規則で定める線量当量率、放射性物質の密度等に関する技術上の基準に適合することについて、科学技術庁長官(一部については、指定運搬物確認機関。以下同じ。)が確認を行っている。
 また、船舶により使用済燃料を運搬する場合には、原子炉等規制法第五十九条の二第二項の規定に基づく科学技術庁長官の確認又は航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号。以下「航空規則」という。)第百九十四条第二項第二号ハ、ニ若しくはヘ(放射性輸送物に関する技術上の基準に係るものに限る。)の規定に基づく運輸大臣の確認を受けた場合を除き、その運搬する物についての措置が危険物船舶運送規則で定める線量当量率、放射性物質の密度等に関する技術上の基準に適合することについて、船積み前に運輸大臣(一部については、地方運輸局長。以下同じ。)が確認を行っている。
 平成五年一月から平成十年一月までの間において我が国の電気事業者から英国又はフランスの再処理工場に輸送された使用済燃料を収納した輸送容器三百三十七基のうち、科学技術庁長官又は運輸大臣が確認を行った際に、当該輸送容器表面の放射性物質の密度が検出限界値を超えたものは六十一基あったが、表面の放射性物質の密度が表面密度限度を超えたものはない。
 また、同時期において電気事業者から国内の再処理工場に輸送された使用済燃料を収納した輸送容器九十一基のうち、科学技術庁長官が確認を行った際に、当該輸送容器表面の放射性物質の密度が検出限界値を超えたものはない。

(3)について

 我が国から英国及びフランスの再処理工場に輸送された使用済燃料の発電所、原子炉別の量は、別表一のとおりであると承知している。
 また、これらの使用済燃料のうち、昭和六十三年四月一日以降に輸送が開始されたものについての発電所からの搬出日及び再処理工場への到着日並びに輸送に供された船舶の名称は、別表二のとおりであると承知している。

(4)について

 使用済燃料の運搬については、電気事業者及び電気事業者から運搬を委託された者が、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物による災害の防止その他保安のために必要な措置を講ずる責任を有している。
 我が国からフランスに輸送された使用済燃料を収納した輸送容器の汚染については、英国核燃料会社から、関西電力に対し平成二年(千九百九十年)、平成四年(千九百九十二年)及び平成五年(千九百九十三年)にフランスにおいてそれぞれ四基、六基及び一基に表面密度限度を超える汚染が発見されたこと、また、九州電力に対し平成六年(千九百九十四年)にフランスにおいて二基に表面密度限度を超える汚染が発見されたことが通報されていたが、これらの通報がなされた時点では、電気事業者から国への報告はなされていない。その後、フランス核燃料会社から、関西電力に対し、右の十三基の汚染のほか、平成三年(千九百九十一年)にもフランスにおいて二基に表面密度限度を超える汚染が発見されたことが平成十年(千九百九十八年)五月下旬に通報され、これを受けて、これら十五基の汚染について電気事業者から国への報告がなされている。
 政府においては、電気事業者に対し、輸送容器の汚染に関する情報を入手した場合の国への報告について指導するとともに、現在、これらの汚染が生じた原因について海外からの情報収集等を進めているところである。

(5)及び(6)について

 御指摘の「国際原子力機関(IAEA)は、一九八五年に日本からフランスに運ばれた使用済み核燃料輸送容器に「放射能の涙」現象が認められ危険であることを指摘していた」との事実については承知していない。
 なお、昭和六十年(千九百八十五年)に国際原子力機関において放射性物質安全輸送規則が定められた際に、同規則の参考文書として、輸送容器の汚染を防止するための方法等について記載した安全シリーズ三十七(以下「SS37」という。)が作成され、公刊されているところ、その内容については、我が国の電気事業者に対しても、国際原子力機関や原子力安全委員会の分科会におけるSS37に関する議論への参加等を通じて一般に周知されているものと承知している。

(7)について

 前述のとおり、現在、政府においても、平成二年(千九百九十年)から平成六年(千九百九十四年)までの間にフランスに輸送された使用済燃料を収納した輸送容器の一部に軽度な汚染が生じていた原因について海外からの情報収集等を進めているところであるが、使用済燃料を原子炉施設等を設置した工場又は事業所の外において運搬する場合には、原子炉等規制法、危険物船舶運送規則又は航空規則の規定に基づき、その運搬する物についての措置が関係規制法令で定める技術上の基準に適合することについて科学技術庁長官又は運輸大臣が確認を行い、安全を確保することとしており、政府としては、使用済燃料の輸送を中止する必要はないものと考えている。



別表一

別表一

別表一


別表二

別表二

別表二

別表二

別表二

別表二

別表二

別表二

別表二

別表二

別表二
(注)*印は到着予定日





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.