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平成十年七月二十八日受領
答弁第六九号

  内閣衆質一四二第六九号
    平成十年七月二十八日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員山本孝史君提出学童疎開船対馬丸に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本孝史君提出学童疎開船対馬丸に関する質問に対する答弁書



一の1について

 お尋ねの沈没艦船の数は、厚生省が旧海軍省から引き継ぎ、保管している資料によれば、三千二百六十隻であると承知している。

一の2から5まで及び7から9までについて

 遺骨収集が不可能な場合及び慰霊巡拝を実施する場合においては、個々の沈没艦船の正確な沈没地点を確認することは必要ないものと考えており、この考え方は従来から変わっていない。
 御指摘の学童疎開船対馬丸については、関係遺族等からの沈没地点の確認を求める要望を踏まえ、厚生省においては、昭和六十年に同省の保管資料によって推定される四か所の沈没地点の存在を明らかにしたところであるが、その後、関係遺族等から、正確な沈没地点の特定を求める強い要望及びアメリカ合衆国公文書館が保管する資料の存在についての示唆があったことから、更に資料調査等による協力を行ったところである。
 今回の対馬丸の沈没位置確認については、厚生省が、関係遺族等からの要望も踏まえ、沈没地点の特定に有力な手掛かりとなる資料をアメリカ合衆国において入手したこと、科学技術庁及び海洋科学技術センターにおける技術的な検討等を踏まえて実施に至ったものである。
 本年三月以降、他の沈没艦船の関係遺族等から、沈没地点の確認を求める具体的な要望は聞いていないが、今後、要望があれば、沈没地点の確認について必要な資料調査等の協力をしてまいりたい。

一の6について

 御指摘の空母信濃の沈没地点の確認については、平成六年六月頃に関係遺族等から厚生省及び科学技術庁に対し要望があった。その際、厚生省においては、応接の記録は確認できないが、従来から遺骨収集が不可能な場合及び慰霊巡拝を実施する場合において、個々の沈没艦船の正確な沈没地点を確認することは必要ないものと考えており、その旨回答したものと考えられる。また、科学技術庁においては、沈没艦船の調査を行う場合は関係省庁との調整等が必要な旨回答したところである。

一の10及び二の3について

 沈没艦船の位置確認については、関係者との調整が必要であり、また、個別に技術的な検討等を行う必要があるので、他の沈没艦船について位置確認の要望あるいは要請があった場合においては、慎重に検討して判断してまいりたい。

一の11について

 平成四年三月に科学技術庁及び海洋科学技術センターが高知沖の海底地形及び地質の調査を行った際、その一環として、昭和十九年五月三十日に高知沖で沈没したとされる滋賀丸についての調査も行ったが、船体の一部と考えられるようなものは見つかっていない。

一の12について

 一般的に、遺骨収集が不可能な場合及び慰霊巡拝を実施する場合においては、個々の沈没艦船の正確な沈没地点は確認していないところから、対馬丸と同様に正確な沈没地点が特定されている沈没艦船はないところである。

一の13について

 御指摘の米国地理学協会が本年五月に行った調査は、ミッドウェー海戦にかかわったすべての艦船の船体の探索を目的としており、この一環として日本側の空母も捜索されたと承知している。同協会による本件調査については、日本国政府からのアメリカ合衆国政府への働きかけやアメリカ合衆国政府からの日本国政府への事前通告はなかった。

二の1について

 対馬丸の沈没位置確認作業については、厚生省において、一の2から5まで及び7から9までについてで述べたとおり、遺骨収集が不可能な場合及び慰霊巡拝を実施する場合においては、個々の沈没艦船の正確な沈没地点を確認する必要はないという原則的な考え方に立ちつつも、沈没地点の特定に有力な手掛かりとなる資料を入手したこと、沖縄開発庁長官から科学技術庁にその実施につき要請があったこと等の経緯を踏まえ、防衛庁等の協力を得て、科学技術庁が海洋科学技術センターにその実施を要請したものである。海洋科学技術センターでは、要請を受け、実施方法、日程の検討等を行い、その実施を決定した。

二の2について

 対馬丸の沈没位置確認作業は、海洋科学技術センターが実施したものであり、海洋科学技術センターの事業の実施のための経費のほとんどが政府からの国庫支出金によるものである。また、お尋ねの本作業に要した経費については、本作業が海洋科学技術センターが行う一連の調査業務の一環として行われたものであるので、本作業に要した部分のみを分離してお示しすることは困難である。

三の1について

 第一回の支給が行われた昭和五十二年度から平成九年度までの間の対馬丸遭難学童遺族特別支出金(以下「特別支出金」という。)の支給対象者の総数は四百四十六人であり、支給総額は、四十九億九千二十三万三千円である。

三の2について

 特別支出金は、沖縄開発庁において、毎年度、対馬丸遭難学童遺族給付経費を予算に計上し、対馬丸遭難学童の遺族に対する特別支出金の支給に関する要綱に基づき支給しているものである。

三の3について

 一般論として政策立案を行うに当たっては国会での議論も十分念頭に置くべきものと考えており、御指摘の国会質問と本件とのかかわりについても同様である。

三の4及び5について

 特別支出金の支給業務は、対馬丸の遭難学童の遺族が戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)の対象とならないこと、同船の学童等の遺族に対し、見舞金支給要綱に基づいて支給した見舞金の支給業務を昭和三十七年度は総理府本府において、昭和四十七年度は沖縄開発庁において実施したこと、及び同船の遭難が、沖縄戦が目前に迫った時期に政府の軍事政策に協力するという形で学童疎開が行われた途中に生じたものであるという沖縄の特殊事情に基因する事項として考えられることから、沖縄開発庁設置法(昭和四十七年法律第二十九号)附則第三条第一項に基づき、沖縄開発庁において経費の配分計画に関する事務を行う事業等を定める政令(昭和四十七年政令第百八十三号)第三条第一号の事項として沖縄開発庁が行っている。

三の6について

 対馬丸遭難死没者については、昭和四十七年五月以降合計千百十四人に対して叙勲が行われている。これらの者については、今次の戦争に関連して死没した者として叙勲の対象としたものである。

四の1から3までについて

 御指摘の学童疎開の途上で、アメリカ合衆国軍等の攻撃により死傷した学童、引率教師及び付添者(以下「学童疎開途上死傷学童等」という。)の数については、対馬丸に関するもの以外は把握していない。
 また、見舞金についても、三の4及び5についてで述べた対馬丸の遭難学童等の遺族に対するもの以外は支給していない。
 特別支出金の支給は、沖縄戦が目前に迫った時期に政府の軍事政策に協力するという形で対馬丸による学童疎開が行われ、その途中で遭難したという特別の事情を考慮して、このような特別な状況下で死亡した対馬丸遭難学童の遺族に対し、国として弔慰を表す措置として支給しているものである。
 対馬丸遭難学童以外の学童疎開途上死傷学童等については、このような事情がないことから、見舞金及び特別支出金の支給は行っていないところである。

四の4について

 戦傷病者戦没者遺族等援護法においては、国と雇用関係又は雇用類似の関係にあった軍人等が戦争公務により死亡又は障害の状態となった場合、国家補償の精神に基づき、当該戦傷病者や戦没者遺族等に対し年金等を支給するものである。沖縄戦においては、我が国で唯一民間人を巻き込んだ地上戦が行われ、その際、民間人が軍の要請により戦闘に参加したことから、これらの者を同法第二条第三項第二号の戦闘参加者として同法に基づく年金給付等の対象としているところである。





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