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平成十年十月二十七日受領
答弁第一七号

  内閣衆質一四三第一七号
    平成十年十月二十七日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員井上義久君提出脳外傷者の実態と公的支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員井上義久君提出脳外傷者の実態と公的支援に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の警察庁が毎年作成している交通統計においては、交通事故による死者及び負傷者のうち主たる損傷部位が頭部であるものの数を把握しているが、脳外傷者については厚生省が三年ごとに実施している患者調査において、特定の調査日における全国の医療施設で受療した脳外傷(後遺症を含む。)の患者数を推計しているところである。厚生省においては、精神薄弱者対策及び老人対策の対象とならない若年痴呆者(十八歳から六十四歳までにおいて高次脳機能障害等の痴呆症状を生じた者をいう。以下同じ。)の実態について平成八年度の厚生科学研究費補助金による研究課題として「若年痴呆の実態に関する研究」を取り上げたところであり、当該研究において御指摘の脳外傷者の実態についても調査を実施したところである。

二について

 厚生省においては、平成十年度の厚生科学研究費補助金による研究課題として「若年痴呆の処遇のあり方に関する研究」を取り上げ、当該研究において御指摘の脳外傷者・高次脳機能障害者に対するリハビリテーションシステムを含めた具体的な支援策に関する研究を行っているところである。
 また、労働省においては、職業リハビリテーションに関して、日本障害者雇用促進協会が平成八年度から行っている「頭部外傷者の障害特性と就労支援に関する研究」及び平成九年度から行っている「高次脳機能障害を有する障害者の職場復帰後の指導・援助に関する基礎的研究」に対し交付金の交付を行っているところである。
 御指摘のリハビリテーションシステムの構築及び助成事業の実施の必要性については、これらの研究成果を踏まえて検討してまいりたい。

三について

 脳外傷者の施設入所の運用については、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)又は精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)にいう身体障害者又は精神薄弱者に該当しない者は当該法律に基づく身体障害者更生援護施設又は精神薄弱者援護施設への入所措置の対象とはならないこととされているが、脳外傷者のうち高次脳機能障害者が該当する精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「精神保健福祉法」という。)にいう精神障害者をいう。)に関して平成九年十二月に身体障害者福祉審議会、中央児童福祉審議会障害福祉部会及び公衆衛生審議会精神保健福祉部会の合同企画分科会において取りまとめられた今後の障害保健福祉施策の在り方についての中間報告において、「身体障害を伴わない高次脳機能障害(若年性痴呆等)については、精神保健福祉法において必要な福祉サービスを充実すべきである。ただし、当面、精神薄弱者に類似した障害の状態にある者については、精神薄弱者施設等の利用を行えるようにする方途も検討すべきである。」との指摘があったことを踏まえ、引き続き検討してまいりたい。

四について

 介護保険制度は、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に基づき、介護が老後生活の最大の不安要因となっていることを踏まえ、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となった場合に保険給付を行う制度であり、給付の対象は、同法第七条第三項において、要介護状態にある六十五歳以上の者のほか、要介護状態にある四十歳以上六十五歳未満の者であってその要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(以下「特定疾病」という。)によって生じたものとされている。これは、特定疾病によって生じた要介護状態については、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病という共通の事由による保険事故と考えられること等から介護保険制度に基づく介護サービスにより対応することとし、特定疾病以外の疾病等によって介護を要する状態になった者については、障害者福祉施策等の枠組みの中で対応することとしたことによるものである。
 そのため、御指摘の加齢疾病条項については、現在のところ撤廃することは考えていないが、介護保険法附則第二条に基づき、法施行後において、障害者の福祉に係る施策との整合性等に配意し、被保険者及び受給者の範囲を含め、制度全般について検討を加える際の課題の一つと認識しているところである。



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