衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十一年八月三十一日受領
答弁第四三号

  内閣衆質一四五第四三号
    平成十一年八月三十一日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出私立学校法人の収益事業およびその監督に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出私立学校法人の収益事業およびその監督に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第二十六条の収益事業については、学校法人がその設置する私立学校の教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため行うことができることとされており、また、その種類については、所轄庁が定め、公告しなければならないこととされている。
 なお、文部大臣を所轄庁とする学校法人が行うことができる収益事業の種類は、文部省告示(昭和二十五年文部省告示第六十八号)において物品販売業、物品貸付業等三十四種類とされている。

一の(2)について

 私立学校法第四条に基づき御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であることから、これらの事業が学校法人が行うことができる収益事業に当たるか否かは、東京都において判断すべきものである。
 なお、東京都からは、これらの事業は学校法人が自ら実施しているものではないため、学校法人が行う収益事業には当たらないものと聴いている。

一の(3)について

 御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であることから、両学校法人による債務保証については、東京都において必要に応じて事実関係の把握や適否の判断を行うべきものと考えている。

一の(4)について

 御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であり、東京都において必要に応じて具体的な指導等を行うべきものであることから、収益事業の停止命令に該当するか否かの調査報告書を求めることについて文部省において東京都を指導していない。
 なお、東京都からは、御指摘の事業は学校法人が自ら実施しているものではないため、学校法人の収益事業には当たらず、私立学校法第六十一条第一項各号に当たるものではないと聴いている。

一の(5)について

 御指摘の両学校法人の所轄庁は東京都知事であり、東京都において必要に応じて具体的な指導等を行うべきものであることから、御指摘の事項に関し、文部省において詳細な経緯を把握していないが、東京都からは、両学校法人は必要な手続を経ているとの経緯を把握しているものと聴いている。また、これらのことから、議事録及び報告書を求めることについて文部省において東京都を指導していない。

一の(6)について

 学校法人における財務情報の開示については、それぞれの学校法人の判断にゆだねるべきものではあるが、文部省においては、学校法人の公共性にかんがみ、財務状況を関係者に開示することは望ましいものと考えており、従来から文部大臣を所轄庁とする学校法人及び都道府県知事に対してその旨周知を図っているところである。

二の(1)について

 金融機関の不良債権額の公表については、平成十一年三月期から、各金融機関において、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等に基づき、破綻先債権、延滞債権、三か月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権(以下まとめて「リスク管理債権」という。)の額を開示することが義務付けられており、政府としては、各金融機関が公表したリスク管理債権の額を集計し、その総額を公表しているところである。
 個別業界等貸出先ごとのリスク管理債権の額の公表については、金融機関の経営実態の開示の観点から重要なのはリスク管理債権の総額であり、また、仮に、個別業界等貸出先ごとのリスク管理債権の額を公表した場合には当該貸出先に不測の不利益を与えるおそれがあること等から、銀行法等において特に義務付けておらず、政府においてもこれを集計し、公表することはしていない。したがって、学校法人を含む公益法人及びその関連企業への銀行等金融機関の融資の不良債権額を、政府が集計し、公表することは考えていない。

二の(2)について

 金融機関の不良債権額の開示については、政府としては、従来からその拡充を促してきたところであり、全国銀行については、平成十年三月期決算から米国証券取引委員会基準と同様の基準によるリスク管理債権額の開示を開始した。また、平成十一年三月期からは、銀行法等に基づき、全金融機関に対し、連結べースでのリスク管理債権額の開示を罰則付きで義務付けたところである。
 このリスク管理債権は、平成九年九月期まで適用されていた全国銀行協会連合会統一開示基準による公表不良債権、すなわち、破綻先債権、六か月以上延滞債権及び金利減免等債権と比べ、対象範囲が大幅に拡大されている。例えば、リスク管理債権のうちの貸出条件緩和債権については、貸出金利を公定歩合以下に減免した債権等のみを対象とする、従来の金利減免等債権の対象範囲を大幅に拡大し、厳格化したものであり、債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として金利減免や返済期限猶予など元利支払条件を緩和したすべての債権を含む広い概念となっている。
 このように金利減免等債権の対象範囲の拡大及び厳格化は既に図られており、十分な開示が進んでいると考えられることから、御指摘のような報告の求め及び指導を行うことは考えていない。

三の(1)について

 個別業界等貸出先ごとのリスク管理債権の額の集計公表を政府として行う考えはないことは、既に、二の(1)についてで述べたとおりである。
 なお、金融監督庁においては、金融機関の経営実態を的確に把握する観点から、必要に応じ、個別の貸出債権の債務者の状況や償却、引当の状況等についても、検査等により実態把握に努めているところである。

三の(2)及び(3)について

 お尋ねの点については、個別金融機関の個別取引に関する事項であることから、政府としては答弁を差し控えたい。

四の(1)について

 御指摘の点を含め、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)上の収益事業の範囲については、これまでも課税の公平性及び中立性の観点から、その見直しに努めてきているが、近年、公益法人等が行う事業がますます拡大し、かつ、多様化してきている中で、営利法人が行う事業との間に大きな違いがなくなってきているのではないかとの指摘もあり、今後とも、公益法人等が行う事業の実態を踏まえつつ、法人税法上の収益事業の範囲の適正化について検討する必要があると考えている。

四の(2)について

 お尋ねの課税上の問題については、個別的かつ具体的な事柄であるので、答弁を差し控えたい。

五の(1)について

 犯罪の成否は、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべきものであるから、答弁を差し控えたい。

六の(1)について

 雇用保険の適用に関しては、事業主と労働者との間に雇用関係があるか否かで判断している。さらに、同時に二以上の事業主との間に雇用関係がある労働者については、原則として、当該二以上の事業主との間にある雇用関係のうち主たる一の事業主との間にある雇用関係において、一週間の所定労働時間が二十時間以上であること等の適用基準を満たすか否かで、雇用保険の適用の有無を判断することとしている。
 御指摘の非常勤講師については、事業主と労働者との間に雇用関係があるか否か等を調査しているところであり、雇用保険の適用の有無については、その結果を踏まえ判断してまいりたい。

六の(2)について

 雇用保険の適用については、社会通念上、通常の労働者を基準とした場合、その所定労働時間の二分の一未満の者についてまで雇用保険による保護を与えることは、雇用保険制度の趣旨に照らして適当ではないこと、国際的にみても通常の労働者の所定労働時間の二分の一程度以上である場合に適用する扱いが一般的であることから、一週間の所定労働時間が二十時間以上であることを適用基準の一つとすることが妥当であると認識しているところであり、特定の者について例外を認めることは、公平性の観点からみて困難である。





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.