質問本文情報
平成十二年十一月三十日提出質問第六一号
米海兵隊による大分県日出生台演習場での実弾演習についての質問主意書
提出者
赤嶺政賢 小沢和秋
米海兵隊による大分県日出生台演習場での実弾演習についての質問主意書
「沖縄の痛みを分かち合う」として一九九七年より始まった米海兵隊による沖縄県道一〇四号線越え実弾射撃演習の本土移転は、その移転先とされる五つの各演習場で二回乃至三回がこれまでに実施されている。この実弾演習については、演習場周辺の住民と自治体から「もうやめて欲しい」との声が強くあげられている。
この間、大分県の日出生台演習場では一九九七年度から二〇〇〇年度にかけて三一億六、八〇〇万円ものSACO経費をつぎこんで米軍の演習を支援するための施設が次々と建設され、「演習の恒久化、規模の拡大につながるのではないか」との不安が住民の間で高まっている。
日出生台演習場における過去二回の演習実施では、激しい夜間の実弾射撃の強行や外出時に泥酔した海兵隊員が別府市街に出没する等、住民感情を逆撫でする事態が生じている。あわせて、学童のタクシーによる通学や自治体職員、消防団員による昼夜間パトロールの実施など、平常な市民生活に多大な影響と負担を与えるものになっている。
以上のような実態をはらむ米海兵隊の演習移転は、「沖縄と痛みを分かち合う」どころか移転実施地で新たな被害と不安を拡大していることが明白である。
そこで、次の事項について質問する。
二 日出生台演習場での実施については「外出の際は、原則として防衛施設局員を同行させる」などの協定が地元と結ばれているにもかかわらず、米海兵隊員が施設局員の同行のないまま外出した上、住民に不安を与える事例が増えている。協定が遵守されないのはなぜか。また、米側はどのように説明しているか。協定違反があった場合、どのように対処したか。
三 日出生台演習場での演習の際の二月一八日、別府市内に外出した米海兵隊員らが泥酔して路上や店先に転がるなど、市民を畏怖させる事態を引き起こした。この別府市の一件では、目撃した住民の証言によると「防衛施設局の人間らしい人物が近くにいたが、何もしなかった」とのことである。この一件については、住民が米海兵隊演習部隊指揮官と面会した際、善処を申し入れているが、政府としては事態をどのように認識し、どのような対処を行ったのか。米側は、市民の安寧を乱したこの海兵隊員に対し、どのような処分を行ったのか。再発防止にあたり、どのような措置をとったか。
四 過去二回にわたって日出生台演習場で実施された米海兵隊の一五五ミリ榴弾砲の実弾射撃演習について、演習実施毎の訓練日数ならびに実弾発射数と、そのうち午後六時以降に実弾発射を行った日数と発射された実弾数について明らかにされたい。また、米海兵隊指揮官が住民に明らかにしたところによれば、同地での演習の際にNBC戦対処訓練を実施したとのことだが、どのような内容の訓練を行っているのか明らかにされたい。尚、住民からは「夜間の射撃訓練は絶対にやめてほしい」「住民に不安を与えるNBC戦対処訓練はやらないで」との声がつよくあがっており、大分県など地元自治体からは「地域住民の不安が特に強い早朝及び夜間訓練(中略)については格段の配慮を行うこと。また、訓練開始時間の繰り下げ及び終了時間の繰り上げを求める住民の要望に配慮すること」との要請が政府宛にされている。この際、早朝、夜間の演習及びNBC戦対処訓練は中止するべきと考えるが、どうか。
五 SACO経費で日出生台演習場に整備された「沖縄県道一〇四号線越え実弾射撃演習の分散・実施に伴う施設」及び二〇〇〇年度計画の施設とその各費用について明らかにされたい。
六 二〇〇〇年度計画では宿舎施設が含まれているが、これは九七年の「分散実施に伴う米軍への支援」の中では約束されていない施設なのではないか。なぜ追加されたのか、説明されたい。また、この宿泊施設については、米海兵隊指揮官が「海兵隊には新しい兵舎は全然いりません。今ある厰舎で十分です」と住民との面会の際に説明している。宿舎建設が米軍の要求に基づくのか、日本側の自発的支援なのかを明らかにされたい。
右質問する。