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平成十八年十二月十五日提出
質問第二六九号

ひろしまドッグぱーくの動物愛護管理法上の取扱い等に関する第三回質問主意書

提出者  松本大輔




ひろしまドッグぱーくの動物愛護管理法上の取扱い等に関する第三回質問主意書


 前々回提出した質問主意書(平成十八年十一月二十四日提出第百六十五回国会質問第百八十号、以下「前々回質問主意書」という。)に対する答弁書(平成十八年十二月五日内閣衆質百六十五第百八十号、以下「前々回答弁書」という。)が不十分であることから、再質問主意書(平成十八年十二月七日提出第百六十五回国会質問第二百十九号、以下「前回質問主意書」という。)を提出したところであるが、それに対する答弁書(平成十八年十二月十五日内閣衆質百六十五第二百十九号、以下「前回答弁書」という。)は不誠実極まりなく、甚だ遺憾である。以下、前回答弁書につき再度質問する。なお、答弁に当たっては必ず一質問につき一答弁とし、複数の質問に対しまとめて答弁することは厳に控えられたい。また、以下において「法」とは、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)を指すものとする。

一 基本的事項について
 1 前々回答弁書の一の1についてでは、法人による届出において、営業開始の予定年月日が「平成十六年九月一日」である一方、届出日は「平成十七年七月四日」とのことであり、従って当該法人は、平成十七年改正前の法(以下「旧法」という。)第八条第一項の規定による届出をせずに平成十六年九月一日より動物取扱業を営み、平成十七年六月に閉園した後の同年七月四日に事後的に届け出たことになる。旧法第八条第一項においては、動物取扱業を営もうとする者は、都道府県知事及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市の長(以下「都道府県知事等」という。)に事前に届け出なければならないこととされていることから、当該法人の行為は旧法第八条第一項に規定する届出義務に違反すると思料されるところ、政府の見解を示されたい。なお、犯罪の成否、すなわち旧法第二十九条第一号に該当するか否かではなく、右記事実が旧法第八条第一項に規定する届出義務に違反するか否かについて示されたい。
 2 前回答弁書の一の2についてでは「当該企業の具体的な支援措置の活用状況を明らかにすることは、当該企業の事業活動に影響を及ぼすおそれがあるため、答弁を差し控えたい」とのことであるが、支援措置の活用状況を明らかにすることによって、当該企業の事業活動にどのような影響を及ぼすおそれがあると考えているのか、具体的かつ網羅的に示されたい。
 3 前回答弁書の一の4についてでは「旧経営革新支援法第四条第一項の規定に基づく申請と旧動物愛護管理法第八条第一項の届出とは、その根拠となる法律が異なるものであり、これらの内容を単純に比較することは適当でないと考える。」とのことであるが、単純な比較をしているのではなく、公的な支援を受けた事業が、特別刑法の規定に違反する疑いがある場合、政府として問題がないと考えるのか、あると考えるのか、いずれかの見解を示されたい。
 4 前回答弁書の一の5についてでは「事業所の名称は「ドッグプロダクション、「ドッグパーク」」と記載されていたとのことであり、当該事業所の名称の変更の届出は出されていないとのことである。」とのことであるが、これに従えば事業所の名称が単に「ドッグプロダクション」である届出は存在しないという理解でよいか。
 5 前々回質問主意書の一の3において、事業所の名称が単に「ドッグプロダクション」である届出について問うたのに対し、前々回答弁書の一の3についてでは、事業所の名称が「ドッグプロダクション、「ドッグパーク」」である届出内容について答弁があったところ、これは事実に反するのではないか。政府の見解を示されたい。
 6 前々回答弁書の一の6についてでは、広島市が法に基づき行った対応等の事実関係については、現在、広島市において整理を行っているところであり、環境省としては、現時点において、広島市の対応について見解を述べることは差し控えたいとのことであり、前回答弁書の一の8についてでも同様の答弁を繰り返しているが、広島市における現在までの事実関係の整理の状況について政府として把握した上で、その整理内容を示されたい。また、今後いつまでに整理を終えるかについても、広島市から把握した上で、併せて示されたい。
二 原因究明について(事件発覚までの広島市の対応)
 1 前々回答弁書の二の2についてでは「環境省としては、動物愛護管理法第二十三条第一項の規定に基づき勧告するかどうかに関する広島市の判断の詳細について承知していない」とあり、前回答弁書の二の2においても同様の答弁を繰り返しているが、広島市の判断の詳細を承知していないのであれば、それを把握すればよいものと考える。広島市の判断の詳細を把握した上で、度重なる指導に事業者が従わなかったにもかかわらず、同項の規定に基づく勧告を出さなかった正当な理由を示されたい。
 2 前々回答弁書の二の3についてでは「環境省としては、動物愛護管理法第十九条第一項の規定に基づき業務の停止を命ずるかどうかに関する広島市の判断の詳細について承知していない」とあるが、広島市の判断の詳細を承知していないのであれば、それを把握すればよいものと考える。広島市の判断の詳細を把握した上で、事業者が事業の実施に必要な権原を有していなかったにもかかわらず、業務の停止を命じなかった正当な理由を示されたい。
 3 前々回答弁書の二の6についてでは「立入検査がより一層適切に行われるよう指導してまいりたい」との答弁があったのに対し、前回質問主意書でこの「指導」の法令上の根拠を問うたところ、前回答弁書の二の4についてでは「環境省としては、動物愛護管理法の所管省庁として、今後、動物愛護管理法の規定の解釈についての情報提供を行ってまいりたい」としているが、この答弁は法令上の根拠については全く言及していない。再度お伺いするが、前々回答弁書の二の6についての「指導」の法令上の根拠はないという理解でよいか。
 4 前回答弁書の二の5についてでは「環境省としては、必要に応じ、立入検査に係る実態の把握に努めてまいりたい」とのことであるが、政府として現時点では立入検査に係る実態の把握の必要はないと考えているのか。
三 広島市の対応について(虐待の判断根拠)
 前々回答弁書の三の3について及び三の4について並びに前回答弁書の三の1について及び三の2についてでは「環境省としては、広島市において動物愛護管理法第四十四条第二項の規定の解釈についてどのような検討が行われたかについて詳細には把握していない」とのことであるが、本件については本年十月五日及び十月十七日の二回にわたり、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長から説明を聴取し、その際に広島市における検討状況を政府として把握するよう求めたのに対し、把握に努めていく旨の発言が動物愛護管理室長よりなされていたものと承知している。にもかかわらず、二ヶ月以上も経った現在においても把握していないことは明らかな怠慢であり、甚だ遺憾である。早急に広島市より詳細を把握した上で、以下につき再度答弁されたい。
 内閣総理大臣官房管理室長名で警察庁保安部防犯企画課長宛に発出された「動物の保護及び管理に関する法律第十三条第一項に規定する虐待の解釈について(回答)」(平成元年総管第百四十七号。以下「解釈回答」という。)によれば、警察庁より照会事項一として法に規定する虐待の一般的見解を求められたのに対し、「動物の保護及び管理に関する法律第十三条第一項に規定する虐待とは、同条第二項各号に掲げる保護動物に対して、一般的に、不必要に強度の苦痛を与えるなどの残酷な取扱いをすることをいい、虐待に当たるか否かの具体的判断は、当該行為の目的、手段、態様等及び当該行為による苦痛の程度等を総合して、社会通念としての一般人の健全な常識により判断すべきものであると解する」と回答していると承知している。
 また、警察庁より照会事項二として「(1)動物にエサや水を与えなかったことにより、それが起因して当該動物を死に至らしめた場合、(2)動物が疾病にかかり、いずれ病死するかも知れないことを承知で何ら治療行為等を施さなかったことにより、それが起因して当該動物を死に至らしめた場合」について、それぞれ法に規定する虐待に該当すると解してよいかとの照会に対し、「上記照会事項一についての見解に沿って判断すべきものであり、動物にエサや水を与えない(1)のようなケースについては、動物の態様、エサや水を与えなかった理由等の点について、また、何ら治療行為等を施さないという(2)のような不作為のケースについては、一般に疾病にかかった動物について飼い主に治療義務があるとの社会通念が成立しているかどうか、治療等を施さない正当な理由があるかどうか等の点について、十分検討を加えた上で、虐待に当たるか否か判断すべきものと思料する」と回答していると承知している。
 1 本件は右記(1)のケースに該当すると思料されるところ、動物の態様、エサや水を与えなかった理由等の点について、広島市による検討の詳細を把握した上で、その検討内容を具体的に示されたい。
 2 前々回答弁書の三の3について及び前回答弁書の三の1についてでは「今後、必要があれば、その把握に努めてまいりたい」とのことであるが、政府として現時点でその必要はないと考えているのか。
 3 現地を視察した際、重度の栄養失調を原因とする皮膚病などの疾病にかかった犬や失明の疑いのある犬もいたと承知しており、右記(2)のケースにも該当すると思料されるところ、飼い主に治療義務があるとの社会通念が成立しているかどうか、治療等を施さない正当な理由があるかどうか等の点について、広島市による検討の詳細を把握した上で、その検討内容を具体的に示されたい。
 4 前々回答弁書の三の4について及び前回答弁書の三の2についてでは「今後、必要があれば、その把握に努めてまいりたい」とのことであるが、政府として現時点でその必要はないと考えているのか。
 5 本年十月五日及び十月十七日の二回にわたり、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長から説明を聴取し、その際に広島市における検討状況を政府として把握するよう求めたのに対し、把握に努めていく旨の発言が動物愛護管理室長よりなされていたものと承知しているが、この発言の有無について政府の見解を示されたい。
四 広島市の対応について(虐待の解釈の妥当性)
 前々回答弁書の四の1について及び四の2について並びに前回答弁書の四の1について及び四の2についてでは「環境省としては、広島市において動物愛護管理法第四十四条第二項の規定の解釈についてどのような検討が行われたかについて詳細には把握していない」とのことであるが、本件については本年十月五日及び十月十七日の二回にわたり、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長から説明を聴取し、その際に広島市における検討状況を政府として把握するよう求めたのに対し、把握に努めていく旨の発言が動物愛護管理室長よりなされていたものと承知している。にもかかわらず、二ヶ月以上も経った現在においても把握していないことは明らかな怠慢であり、甚だ遺憾である。早急に広島市より詳細を把握した上で、以下につき再度答弁されたい。
 「『ドッグプロダクション』の行為に対する広島市の方針について」(平成十八年十一月十三日広島市ホームページ掲載文書、以下「広島市方針」という。)によれば、本件において約五百頭の犬を栄養失調等で衰弱させた行為が、法第四十四条第二項に規定する虐待に該当するか否かについて、「この『みだりに』には、秩序を乱して・むやみに・故意にといった意味が含まれています。従って、ドッグプロダクションが「みだりに給餌、給水をやめた」かどうかが問題となります。(中略)ドッグプロダクションは資力の範囲で犬の飼養を続けており、犯意・悪意を持って『みだりに』給餌・給水をやめたという事実は確認できないことから、刑罰がかけられる『虐待』にはあたらないと判断」したとしている。
 一方、平成十四年(ろ)第四号平成十五年三月十三日伊那簡易裁判所判決において、法第四十四条(旧法第二十七条)第二項に規定する虐待について、「愛護動物の飼育者としての看護を著しく怠る行為を指すものであり、その代表的な行為として『みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる行為』が例示されているものと解される」とした上で、「著しく不衛生な場所で飼育し、給餌又は給水を十分与えず愛護動物を不健康な状態に陥らせるといった行為も、上記『虐待』に該当する」と判示されている。
 1 広島市の解釈にある「秩序を乱して・むやみに・故意に」は、一般語としての「みだりに」の意味と思われるが、法令上の「みだりに」の解釈は「社会通念上正当性があると認められる範囲を超えて」であるとされる。広島市の判断に従えば、約五百頭の犬に対し十分な給餌・給水をしなかった行為は、社会通念上正当性があると認められる範囲内ということになるが、その正当性とは何か。広島市の検討の詳細を把握の上、その検討内容を示されたい。なお、法第四十四条第二項に規定する虐待に該当するかどうかを問うているのではなく、広島市の検討内容を把握して示すことのみを求めているので、留意ありたい。
 2 法第四十四条第二項にある「みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる行為」は例示された行為に過ぎない。しかし広島市は、「犯意・悪意を持って『みだりに』給餌・給水をやめたという事実は確認できないことから、刑罰がかけられる『虐待』にはあたらない」としており、例示行為の有無のみをもって虐待の判断根拠としている。虐待の概念については、動物の被る苦痛を中心に捉え、これに人間の側の目的ないし必要性等の事情を加えて総合的に判断すべきであり、例示行為の有無だけに着目した広島市の判断は安易であると思料されるところ、広島市の検討の詳細を把握の上、その検討内容を示されたい。なお、法第四十四条第二項に規定する虐待に該当するかどうかを問うているのではなく、広島市の検討内容を把握して示すことのみを求めているので、留意ありたい。
五 広島市の対応について(殺傷の解釈の妥当性)
 前々回答弁書の五の2について及び前回答弁書の五の1についてでは「環境省としては、広島市において動物愛護管理法第四十四条第一項の規定の解釈についてどのような検討が行われたかについて詳細には把握していない」とするとともに、前々回答弁書の五の5について及び前回答弁書の五の3についてでは「環境省としては、広島市においてどのような検証が行われたかについて詳細には把握していない」とのことであるが、本件については本年十月五日及び十月十七日の二回にわたり、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長から説明を聴取し、その際に広島市における検討状況を政府として把握するよう求めたのに対し、把握に努めていく旨の発言が動物愛護管理室長よりなされていたものと承知している。にもかかわらず、二ヶ月以上も経った現在においても把握していないことは明らかな怠慢であり、甚だ遺憾である。早急に広島市より詳細を把握した上で、以下につき再度答弁されたい。
 広島市方針によれば、本件において三十四頭の犬を栄養失調等から衰弱死させた行為が、法第四十四条第一項に規定する殺傷に該当するか否かについて、「本市はアークエンジェルズの代表者からの通報を受けて死体を確認した上で、西警察署の担当警察官に『みだりに殺した』ものかどうか、見解を求めました。その結果、『死体を見ただけではみだりに殺されたのか、虐待を受けて殺されたのか、老衰などの自然死なのかを判断するのは困難であり、これまでの飼養状況などから判断するしかない。』とのことでしたので、一点目でお示しした飼養状況や、『給餌の量が充分ではなく、衰弱して死亡したものを弔うために埋葬した』というドッグプロダクションの申し立てから、『みだりに殺した』ものではないと判断しました」としている。
 一方、警察庁によると、平成十七年に「元ペットショップ経営者が飼育に窮したことから、繁殖目的のため飼っていた犬四頭に対して給餌・給水を止め、放置したことにより餓死させた」事案を法第四十四条第一項に基づき北海道警察が、「ブリーダーが経営に窮したことから、飼っていた犬三頭に対して、給餌・給水を止めたことにより衰弱させた」事案を同条第二項に基づき宮城県警察が、それぞれ検挙したものと承知している。
 1 法令上、「みだりに」の解釈は「社会通念上正当性があると認められる範囲を超えて」であるとされるところ、広島市の判断に従えば、三十四頭の犬に対し十分な給餌・給水をせずに死に到らしめた行為は、社会通念上正当性があると認められる範囲内ということになるが、その正当性とは何か。広島市より検討の詳細を把握の上、その検討内容を示されたい。なお、法第四十四条第一項に規定する殺傷に該当するかどうかを問うているのではなく、広島市の検討内容を把握して示すことのみを求めているので、留意ありたい。
 2 事業者の申立てによれば、「給餌の量が充分ではなく、衰弱して死亡したものを弔うために埋葬した」とのことであるが、三十四頭の犬の死骸が埋められていた場所には、使用されていない木製の柵が多数積み重ねられていたと承知しており、証拠隠滅の疑いもあると思料されるところ、この申立ての正当性についての広島市の検証内容の詳細を把握の上、その検討内容を示されたい。なお、法第四十四条第一項に規定する殺傷に該当するかどうかを問うているのではなく、広島市の検討内容を把握して示すことのみを求めているので、留意ありたい。
 3 前々回答弁書の五の5について及び前回答弁書の五の3についてでは「今後、必要があれば、その把握に努めてまいりたい」とのことであるが、政府として現時点でその必要はないと考えているのか。
六 再発防止について(虐待への厳正な対処等)
 本年十二月一日の第百六十五回国会衆議院環境委員会において、若林環境大臣は「この広島のドッグぱーく自身がどうであったのかということについては、いろいろと報告を受けておりますが、極端なケースですけれども、しかし、このようなことが実際に行われているということにショックを受けます。こういうような事態に至らないようにするにはどういう対策を講じていったらいいか、真剣に取り組まなきゃいけないと思っております。」と答弁している。この「対策」の具体的な内容について、前回質問主意書で問うたところ、前回答弁書の六の3についてでは「今後、当該事実関係等を踏まえ、必要な対応を検討してまいりたい」とのことであるが、「真剣に取り組まなきゃいけない」にもかかわらず、この半月余り検討には着手していないという理解でよいか。

 右質問する。



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