衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十三年十月三十一日提出
質問第一八号

最近のガソリンスタンド経営に関する質問主意書

提出者  今村雅弘




最近のガソリンスタンド経営に関する質問主意書


 ガソリンスタンドは、平成六年度の六万四百二十一か所をピークに年々減少し、直近の平成二十二年度末では三万八千七百七十七か所となっており、この十六年間で二万千六百四十四か所も減少している。
 この背景には、地下タンク等への危険物漏えい防止対策の義務付けや、景気低迷、ガソリン節約志向等といった要因のほか、プライベートブランド(PB)やホームセンター等の異業種SSや元売子会社SSが進出し、PBSS(非系列SS)等が安値業転玉を仕入れて、中小系列SSよりも安い価格で大量販売した結果、安値攻勢に対抗できない中小系列SSが廃業や撤退に追い込まれていることが大きな原因であるのではないかと考えられる。
 この間、全国でSS減少が進んだ結果、近年、SS過疎化問題が顕在化するなど、石油製品の安定供給確保が懸念され始めている。
 加えて、異業種SS等による不当廉売などの不公正な取引行為が横行しているなど、依然として、ガソリンスタンド経営の健全化を阻害する問題が存在している。
 平成二十年十月からの価格決定方式の改定により、系列SS向け卸価格については、基本的に、市場価格(製油所出荷価格)に販売関連コスト(ブランド料)等を加算した価格とされることになった。
 一方で、いわゆる非系列SS向け価格(業転価格)については、ブランド料等が加算されない市場価格をベースに取引されることから、系列価格がその分割高になっている。
 なお、平成二十二年六月から、ブランド料等が二円/リットルから四円/リットルに引き上げられ、系列価格と業転価格との価格差がさらに拡大している。
 この結果、業転玉を主仕入としている非系列SS等が、不当廉売まがいの安値販売を繰り返しているが、こうした安値攻勢に対して、割高の系列玉を仕入れるしかない中小系列業者は対抗することができず、経営困難に陥り、市場からの撤退に追い込まれているのが現状であると承知している。
 民間アンケート調査によれば、東日本大震災において、最も必要とされた物資の第一位はガソリン、第三位が灯油とのことであり、緊急時においても、ガソリンスタンドの存在は不可欠であることが証明された。緊急時における燃料供給体制を確保していくためには、平時から、ガソリンスタンドのネットワーク網を維持・強化していかなければならないと考えるものである。
 ついては、ガソリンスタンドをめぐる現下の厳しい経営環境を踏まえ、ガソリンスタンドの健全経営を維持し、わが国におけるエネルギー安定供給確保について、どのような対策を講じていく所存か、以下質問する。

一 地下タンク等からの危険物漏えい防止対策として、総務省令に基づき、設置後四十年以上経過した地下タンク等について、内面ライニング施工等の措置を講ずるよう義務付けられたところ。(平成二十三年二月一日施行。平成二十五年一月三十一日まで二年間の経過措置期間)
 しかしながら、過疎地域におけるSS等では、販売利益が少ないため、内面ライニング施工等に係る工事費用すら捻出できないのが現状であり、このままでは、SS過疎化がますます進み、過疎地域における安定供給確保が困難になることが懸念される。
 ついては、少なくとも、過疎地域におけるSS等については、当該義務付けに係る経過措置期間を五年程度延長する等の緊急避難措置を講ずるべきではないか。
二 SS数は平成六年度末の六万四百二十一か所をピークに、平成二十三年三月末には三万八千七百七十七か所と、十六年間で二万千六百四十四か所も減少しているが、ガソリンスタンドがここまで減少している要因は何か。
三 SS過疎化問題が顕在化しつつあるが、過疎地における安定供給の確保を含め、SSネットワークの維持強化のために、どのような対策を講じていくのか。
四 政府では、今回の大震災を契機にして、エネルギー政策を見直すものと承知しているが、エネルギー政策の見直しにあたって、ガソリンスタンドをどう位置付けていくのか。
五 災害時や緊急時における安定供給を確保するためには、平時から、SSネットワークを維持していく必要があると考えるが、今回の大震災の教訓を踏まえ、どのような対策を講じていくのか、具体的に示されたい。
六 今後、電気自動車(EV)の普及が見込まれるが、その際、ガソリンスタンドをどう位置付けていくのか。
七 ガソリンスタンドの不当廉売、差別対価などの不公正取引方法に対する取り組みの現状はどうなっているのか。
 また、平成二十二年一月一日施行の改正独禁法による具体的な成果はあるのか。
 以下、具体的な事項について
 1 平成二十年三月に経済産業省と公正取引委員会との間で締結した「不公正な取引方法に係る協力スキーム」は活用されているのか。
  地元の販売業者に聞いたが、協力スキームが活用されたことがないとのことであるが、それが事実だとすれば、てこ入れしていく考えはないのか。
 2 卸価格の公平性や透明性の確保のため、元売会社は、市場価格連動による卸価格決定方式を導入した。当初は、民間情報会社による製油所出荷価格や先物価格などの公表価格をベースに決めていたが、最近、「元売独自で決定する方式」に逆戻りしているとのことであり、透明・公平な価格方式から後退しているのではないか。
  ついては、卸価格の公平性や透明性を確保するため元売を指導する考えはあるのか。
 3 卸価格と業転価格の格差拡大が、石油流通市場を混乱させている最大の要因であると考える。一方で、中小販売業者の系列SSが大手量販SSに対抗していくためには、安値の業転玉を購入するなどして対抗するしかないが、業転玉を購入すると、元売は、商標権を盾にして、特約契約を解除すると聞く。
  平成十六年の公正取引委員会調査によれば、ガソリン販売量の二割以上は業転玉といわれているが、元売は自ら業転玉を流通させながら、販売業者には業転玉を買うなと指導していることになる。
  こうした元売の行為は信義則にもとる行為であり、優越的地位の濫用行為にあたるのではないか。
 4 同一系列の販売業者が業転玉を購入している場合、元売は、ある系列販売店に対しては業転玉を購入しないよう指導しているが、他の系列販売店に対しては黙認していると聞く。こうした実態は、元売が商標権を恣意的かつ差別的に行使していることに他ならない。
  かかる元売の行為まで、独占禁止法第二十一条(知的財産権の行使行為)で適用除外にするのか。
  また、こうした元売の行為は、独禁法上の問題にあたるのではないか。
 5 元売は、系列SSが同系列の大手特約店等から仕入れることを制限している。いわゆる「横流し」は独禁法上問題ないと公正取引委員会が判断しているにもかかわらず、現状では元売は認めていない。こうした元売の行為は、公正取引委員会の見解を無視しているのではないか。
 6 そもそも均質性を有するガソリンにブランド料や商標権を設定し、高値で売ることが許されるのか。
  加えて、共同油槽所では、複数の元売ガソリン(ブランド品)や商社が元売から仕入れたガソリン等が混合されて出荷されているものと承知している。こうした共同油槽所で混合されたガソリンにまで、元売は商標権を主張できるのか。
 7 近年、非系列SSが市場に占める割合が増加していることから、業転玉の流通量もさらに増加していると考えられる。こうした業転玉を主仕入としている非系列SS等が、不当廉売まがいの安値販売を繰り返し、中小系列業者は対抗することができず、困難な経営を強いられている。
  このような事実を踏まえれば、むしろ、販売業者が安い業転玉を購入することができるようになれば、それが小売価格にも反映されることが期待されることから、消費者利益になるものと考えられる。
  ついては、元売が業転玉を流通させている実態がある以上、系列業者が、一定程度(例えば、二〜三割程度)の業転玉を購入することも容認されていいのではないかと考えるが、経済産業省及び公正取引委員会の見解を問う。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.