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平成二十四年二月二日提出
質問第三一号

利根川水系河川整備計画の策定に関する質問主意書

提出者  中島政希




利根川水系河川整備計画の策定に関する質問主意書


 八ツ場ダム事業に係る利根川水系河川整備計画の策定作業がこれから進められることになっている。河川整備計画は、平成九年の河川法改正の本旨に沿って、関係住民等の意見を十分に反映させて策定されるべきものである。
 利根川水系河川整備計画については、平成十八年十一月から策定作業が開始されたが、二十年五月から理由不明のまま中断されている。さらに、今回の八ツ場ダム事業の検証で前提に使われた利根川水系河川整備計画の枠組みは、平成十八年十一月からの策定作業で示された枠組みとは大きく違っている。
 以上を踏まえ、利根川水系河川整備計画の策定に関して、以下質問する。

一 利根川水系河川整備計画の策定作業の経過について
 1 策定作業の経過について
  平成十八年十一月から二十年五月まで利根川水系河川整備計画の策定に係る有識者会議や公聴会の開催、パブリックコメントなどが行われた。@有識者会議が当時、どのような経過で進められたか、A公聴会の開催が当時、どのような経過で進められたか、Bパブリックコメントが当時、どのような経過で進められたか、@〜Bのそれぞれの経過を詳しく説明されたい。
 2 関東地方整備局の言明について
  平成十八年十二月十八日の第二回利根川・江戸川有識者会議の議事録を見ると、関東地方整備局が次のように述べている。「公聴会を開かせていただきまして、その中でもいろいろな川づくりに対する思いですとか、そういった部分を意見を伺わせていただければと思っております。(中略)それから、河川整備計画の原案をそういった意見を踏まえてつくらせていただこうと思っておりまして、また、その河川整備計画の原案につきましては、全体の意見を取りまとめて整理させていただいた上で、その後の有識者会議になろうかと思いますが、そこの段階でお示しさせていただければと思っております。その段階におきまして、また関係住民の方々にもインターネット等での意見募集、それから公聴会、そういったものを開かせていただいて、再度意見をいただいて、また、その整備計画の原案を修正させていただく。で、また修正したものにつきましても、再度ご提示させていただいて、また学識の先生方、それから関係住民の方々からご意見をいただくと、そういったことを何回か実施させていただきまして河川整備の案を取りまとめていきたいと思っております。」 このように、関東地方整備局は公聴会やパブリックコメントを繰り返し実施してそれらの意見を整備計画案に反映させることを約束している。この議事録に誤りはないか。
 3 策定作業中断の理由について
  平成二十年五月二十三日第四回有識者会議合同会議の議事録では、会議の最後に関東地方整備局が次のように述べている。「いずれにいたしましても、きょうの御議論を踏まえまして、次回にはまた御議論いただくもとになります整備計画のたたき台をお示しをいたしまして、また、それを説明します。基礎的な状況というのもできる限りわかりやすくお示しをして、また皆様の御意見を賜ればというふうに考えております。」 ところが、利根川水系河川整備計画の策定作業はそこで中断され、関東地方整備局から何の発信がないまま四年近く経っている。整備計画の策定作業を中断した理由を具体的に明らかにされたい。
 4 策定作業中断の責任について
  上述のとおり、関東地方整備局は平成二十年五月二十三日の有識者会議で、整備計画のたたき台を次回示すことを言明したにもかかわらず、その後の動きは途絶えた状態になっている。河川法が平成九年に改正されてから十数年経ち、河川整備計画の策定が喫緊の課題になっているにもかかわらず、理由を明らかにすることなく、策定作業を長年中断したまま放置しているのは問題であり、関東地方整備局の責任は重大である。このことについて政府の見解を示されたい。
二 河川法改正の本旨について
 1 河川法改正時の国会答弁について
  平成九年五月九日の衆議院建設委員会で、建設省の当時の尾田栄章河川局長は大野由利子議員の質問に対して次のとおり、答弁している。 〇大野委員「関係住民というのは、地域に住む住民だけではなくて、関心を持つ住民、このように解釈をさせていただいていい、そういうことではないか、このように思っておりますが、意見の言いっ放し、聞きっ放しで終わったのでは何にもならない。これがどのように担保されるのかについて伺いたいと思います。」 〇尾田政府委員「先生御指摘のとおり、言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がないというふうに考えておりまして、具体の河川整備計画の案を策定する段階で、十二分に案を策定するために、案の案、原案の案、そういう意味では原案でございますが、これを御提示をいたしまして、それについて御意見をいただく、その上で必要なものについては修正をするという形で考えておりますので、まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。」 この議事録で明らかなように、河川管理者が関係住民の意見を反映させて整備計画案を修正することは河川管理者の責務である。このことについて政府の見解を示されたい。
 2 関係住民の意見を整備計画の策定に反映する仕組みについて
  公聴会やパブリックコメントで出された関係住民の合理的な意見を河川整備計画に反映させるために、具体的な仕組みを作る必要がある。すなわち、関係住民と河川管理者が公開の場で十分な議論をして、何が合理的であるかが明らかになるように、公開の円卓討論会のようなものを設置して繰り返し開催し、議論をつくすことが必要であると考えるが、このことに関して政府の見解を示されたい。
三 平成十八年十一月からの策定作業で示された利根川水系河川整備計画の枠組みと、八ツ場ダム事業検証の前提となった枠組みについて
 1 平成十八年十一月からの利根川水系河川整備計画の策定作業で関東地方整備局から配布された資料には、整備計画の治水のメニューを見ると、本川の目標治水安全度は五〇分の一、八斗島の河道目標流量は毎秒一三〇〇〇m3、八斗島地点より上流の洪水調節施設として、@既設ダム、A八ツ場ダム、Bダムの容量再編事業、C烏川調節池が記されている。この記述に誤りはないか。
 2 ダムの容量再編事業としては、下久保ダムの利水容量を奥利根のダム群に振り替えて治水容量を増やす事業と、奥利根の藤原ダムの利水容量を奈良俣ダムに振り替えて治水容量を増やす事業が記されている。この記述に誤りはないか。
 3 ところが、今回の八ツ場ダム事業の検証の前提とされた利根川水系河川整備計画の枠組みは平成十八年〜二〇年当時のものとは大きく変わっている。本川の目標治水安全度そのものが七〇分の一〜八〇分の一に引き上げられている。平成十八年〜二〇年当時において目標治水安全度を五〇分の一とした理由を具体的に明らかにされたい。
 4 今回の八ツ場ダムの検証では治水安全度が七〇分の一〜八〇分の一、八斗島地点の洪水調節を含めた治水目標流量が毎秒一七〇〇〇m3となっている。一方、平成十八年〜二〇年当時は目標治水安全度が五〇分の一であるが、治水目標流量が示されていない。治水安全度が五〇分の一である場合の治水目標流量は上記の数字の関係から見て、毎秒一五〇〇〇m3程度であると推測されるが、国土交通省の計算による数字を示されたい。
 5 平成十八年〜二〇年当時の計画メニューでは、河道目標流量は八斗島地点で毎秒一三〇〇〇m3であったが、今回の八ツ場ダムの検証では毎秒一四〇〇〇m3となり、一〇〇〇m3大きくなっている。今後二〇〜三〇年間に行う河川整備で達成できる河道流下能力が急に大きくなるのは何故か。その理由を明らかにされたい。
 6 今回の八ツ場ダムの検証では八斗島上流の洪水調節量は差し引き毎秒三〇〇〇m3であるが、一方、平成十八年〜二〇年当時の計画メニューでは、治水安全度五〇分の一の治水目標流量を毎秒約一五〇〇〇m3とすれば、洪水調節量は毎秒約二〇〇〇m3となる。洪水調節量が約一〇〇〇m3も増えた理由を明らかにされたい。
 7 今回の八ツ場ダムの検証で前提となっている八斗島上流の洪水調節施設は@既設ダム、A八ツ場ダム、Bダム容量の再編事業、C烏川調節池であるが、その内容を平成十八年〜二〇年当時の計画メニューと見比べてみると、下久保ダムの容量再編事業がなくなり、そのほかはほとんど同じである。この認識に誤りはないか。誤りがあれば、正しい情報を示されたい。
 8 以上のことを踏まえれば、八斗島に近くて治水効果が比較的大きいと考えられる下久保ダムの容量再編事業が今回の八ツ場ダムの検証の前提ではなくなったにもかかわらず、八斗島上流の洪水調節量が逆に毎秒約二〇〇〇m3から三〇〇〇m3に増加しているのは何故か。その理由を具体的に説明されたい。
 9 平成十八年〜二〇年当時の計画メニューによる八斗島上流の洪水調節量毎秒約二〇〇〇m3の内訳、すなわち、@既設ダム、A八ツ場ダム、Bダム容量の再編事業、C烏川調節池のそれぞれの洪水調節量を明らかにされたい。
 10 同様に、八ツ場ダムの検証で前提とした河川整備計画の枠組みによる八斗島上流の洪水調節量毎秒三〇〇〇m3の内訳、すなわち、@既設ダム、A八ッ場ダム、Bダム容量の再編事業、C烏川調節池のそれぞれの洪水調節量を明らかにされたい。
 11 以上のとおり、平成十八年〜二〇年当時の利根川水系河川整備計画の枠組みの数字と比べると、八ツ場ダムの検証の前提となったものは大きく変わっている。本来、科学的に求められた数字ならば、変更されるはずがない。それにもかかわらず、数字が大きく変更されるのは何故か。このことについて政府の見解を示されたい。
四 今後の利根川水系河川整備計画の策定作業のスケジュールについて
 1 これから進められる利根川水系河川整備計画の策定作業はどのようなスケジュールで進められるのか、具体的なスケジュールを明らかにされたい。

 右質問する。



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