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平成二十八年十一月七日提出
質問第一一九号

今国会における所信表明や代表質問等での政府答弁に関する質問主意書

提出者  仲里利信




今国会における所信表明や代表質問等での政府答弁に関する質問主意書


 安倍総理大臣は今国会の所信表明や代表質問への答弁としておよそ実態とはかけ離れた内容や説明を繰り返し、自らの失政や破綻を認めようとしない。
 そこでお尋ねする。

一 国民の消費意欲が依然として低い水準にあり回復の兆しが見えないのは、国民が我が国の景気の動向や経済・物価情勢の展望に明るい期待感や展望感を抱かず、政府の言うことを全く信用していないことの証左ではないか。
二 安倍総理は「アベノミクスは道半ばだ」と強弁する。しかし、アベノミクスが効果を発揮しているならば、政府自身が消費税増税の二度の先送りをしたり、日銀が物価上昇目標の達成時期を五回も先送りするなどの必要はないのではないか。政府はアベノミクスの失敗を道半ばと取り繕っているだけではないか。
三 日銀は、二年で二%としていた物価上昇目標を五度も変更したが、これは政府・日銀のデフレ脱却への実質上の敗北宣言であり、他ならぬアベノミクスの「第一の矢」の手詰まりと失政ではないか。
四 国民の個人消費や企業の設備投資が伸びないということは、政府が景気は上向いていると言っても国民や企業がそれを信用せず、政府の経済政策の失敗を見透かしているということではないか。
五 政府は「有効求人倍率が全ての都道府県で一倍を超えており、実質賃金もプラスに転じている」とするが、正社員の有効求人倍率が一倍を超えたのは八都県だけであり、正社員に限れば〇.八七倍でしかない。沖縄県を見ると〇.三五倍でしかない。実質賃金に至っては二〇一〇年度を百とすれば二〇一二年の九十九.二から二〇一五年が九十四.六へと低下している。一方、全国の就業者数は確かに増えたが、これとてその内容を見ると正規従業員は減少し、非正規従業員が増えているだけで、雇用の質が明らかに低下している。これらのことを鑑みると、とても政府が言うように雇用が改善したとは言えないのではないか。
六 日銀の国債保有残高は黒田東彦総裁になって以降、毎年八十兆円ずつ増加しており、このままでは二〇一八年に残高が国内総生産(GDP)の約五百兆円を上回ると見込まれている。そうなると我が国の経済は借金漬けとなり、対外的な信用を大きく損なうのではないか。政府の見解を求める。
七 政府は十月二十一日の経済財政諮問会議でGDP等の統計手法の見直し論議を本格化させたが、統計をいじって名目GDP六百兆円を達成しようとする思惑が透けて見えるだけであり、アベノミクスが全く成果を挙げていないという実態は何ら変わらないのではないか。
八 政府は「地方創生」を掲げて景気回復を全国に波及させると強調してきた。しかし、地方では人口流出に歯止めがかからず、人手不足と消費低迷に喘いでおり、いわば足踏み状態に落ち込んで脱却できないのが実態で、東京との格差は広がる一方である。政府は地方の厳しい実態を全く認識していないのではないか。
九 安倍総理は「憲法改正について正々堂々と公約に掲げてきており、総理自身の言葉で問いかけることがないとの指摘は当たらない」と発言した。翻って自民党の改憲の動きを見ると、自民党は改憲を党是とし二〇一二年に発表した「自民党改憲草案」では前文や第一条(天皇)、第九条(戦争放棄)、第十三条(個人)、第二十条(信教)、第二十一条(表現)、第九十六条(憲法改正の発議、国民投票及び公布)の改憲と、「公益と公の秩序」及び「国民の義務」の加憲を提案している。しかし、自民党の参議院選のマニフェストでは、僅かに最後の項目で「現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの基本原理は堅持」しつつ、「国民の合意形成に努め、憲法改正を目指す」と述べているだけであり、これまで選挙においては具体的な改憲への提案や内容に一切触れていない。特に七月の参議院選挙では具体的な改憲項目への言及を避ける戦略で終始臨んでおり、いわば改憲が議論になることを避けていた。さらに自民党憲法改正推進本部では改憲草案を国会に提出しない方針を打ち出している。このようなことからすれば、安倍総理の「正々堂々と公約に掲げてきた」との発言は「全く実態に当たらない」のではないか。
十 安倍総理は「憲法はどうあるべきか、その案を国民に提示するのは私たち国会議員の責任だ。与野党の立場を超え、憲法審査会での議論を深めていこう」と発言した。しかし、現行憲法は去る大戦の教訓を基に「二度と再び戦争を起こさない」という世界に誇れる平和憲法である。それをなぜ改正する必要があるのか、そして現在の憲法にどのような問題があるのか、ということをまず説明すべきではないか。
十一 質問十に関連して、安倍総理の手法は、改憲の必要性や理由の説明が全くないままに「さあー改正しよう、建設的な議論を深めようではないか」と言うばかりであり、その手順や方法が全く間違っているのではないか。
十二 安倍総理が領土や領海、領空の警備に当たる海上保安庁や警察、自衛隊を称え、総理に促された自民党の議員達が一斉に起立して拍手を行った。しかし、このような行為は自らの指揮下にある公務員を褒めたたえることになることや、一部の公務員の仕事を他の公務員より優位にみることがおかしいこと、など多くの問題点があるのではないか。
十三 質問十二に関連して、沖縄県では名護市辺野古新基地建設問題や東村高江のヘリパッド建設問題に関する政府の強権的で過剰な警備やなりふり構わない進め方を率先して担ってきた海上保安庁や警察、自衛隊に対する信頼や称賛の気持ちは最早地に落ちており、回復の兆しすら感じられない事態である。政府はこのような沖縄県民の思いをどのように理解し、評価しているのか。

 右質問する。



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