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平成二十八年十二月十二日提出
質問第二二七号

高齢者ドライバーの交通事故に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




高齢者ドライバーの交通事故に関する質問主意書


 二〇一六年上半期に全国で発生した交通死亡事故のうち、六十五歳以上の高齢者が第一当事者(事故当事者のうち最も過失の重い者)の事故が全体の二十八%となり、過去十年の同時期と比較し、最も高い水準になっている。(産経新聞、十一月七日付朝刊)
 最近では八十七歳の高齢ドライバーが小学生の集団登校の列に突っ込み、十一人が重軽傷を負った横浜市の事故や、八十三歳の高齢者の運転する車が病院の敷地で暴走し二人が死亡した立川市の事故、八十六歳の高齢者の運転する車がコンビニ店に突入し二人が軽傷を負った板橋区の事故など、高齢ドライバーの交通事故が多発し社会問題化している。
 政府はこれらの問題に対処するため、平成二十七年六月に「道路交通法の一部を改正する法律」を公布し、一定の違反行為をした七十五歳以上の高齢運転者に対する臨時認知機能検査が導入されることとし、平成二十九年三月から施行される予定である。
 しかしながら改正法は、認知症の診断ができる専門医が不足していること、免許が取り消されると高齢者の足が奪われるなど、課題が多いと指摘する専門家もいるため、以下の質問をする。

一 来年三月から施行される道路交通法の改正法では、交通違反をしなくても七十五歳以上の高齢者は、第一分類(認知症の恐れ)と診断されると免許が取り消される。東京新聞十一月十二日付朝刊によると、昨年一年間に第一分類とされた人は約五万人いるとされており、専門家は「認知症の診断には一人あたり半日かかる。過疎地ほど車の必要性が高く診断の需要があるが、診ることのできる専門医は少ない」と医療体制の不十分さを指摘している。政府として改正案施行後の医療体制、特に認知症の診断ができる専門医の不足について、どのように認識しているか。不十分との指摘に対し、どのような対応が考えられるか。
二 先述の東京新聞によると、免許が取り消されると高齢者の生活の足を奪ってしまうという指摘がある。バスや鉄道など交通機関が発達している都市部はさておき、公共交通機関のない郊外では深刻だ。自治体は身体機能の低下の自覚のある高齢者に運転免許の自主返納を促進するため、免許返納者にタクシー割引等の特典を設けたり、マイカーに代わる移動手段を用意する等の取り組みをしている。しかし、過疎地など郊外に住む人は免許を返納すると著しく不自由な生活が強いられるため自主返納を躊躇する人が少なくないという。朝日新聞十一月二日新潟全県版によると、車を運転できず、十分な交通インフラもないため、買い物にも行けない高齢者のことを「買い物難民」と呼ぶという。
 (一) 政府は、高齢者が免許を返納した後の、生活環境についてどのような認識を持っているのか。様々な自治体の取り組みが見られるが、特に交通機関のない地域に住む高齢者について、自治体や地域の自主的な取り組みだけでなく、政府のサポートも必要と考えているか。
 (二) 最近では、免許を返納した後、自動車の代用品としてシニアカーが注目されている。シニアカーは電動で歩行者専用道路を気軽に走行できる、高齢者にとっては非常に便利なものである。しかし、一方で、平成二十八年七月二十二日に公表された、消費者安全調査委員会による「ハンドル形電動車椅子を使用中の事故」調査報告書によると、平成二十年から二十六年までシニアカーによる事故が五十一件発生しており、同委員会は経済産業大臣や厚生労働大臣に対し、安全確保のための提言を行っている。
  シニアカーには、事故を起こした時の保険も十分に整備されておらず、法律上も歩行者と同様に扱われているが、今後、安全確保のための何らかの法整備が必要と考えているか。

 右質問する。



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