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平成二十九年六月十四日提出質問第四二四号
フリーランス保護法制に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
フリーランス保護法制に関する質問主意書
今年二〇一七年はフリーランス元年と言われ、経済産業省も「雇用関係によらない働き方」研究会を昨年末に立ち上げている。
しかし、その問題意識は「人口減少や技術革新により産業構造・就業構造が大きく変化すると予想される中、雇用関係を前提とした働き方だけでは、働き手も企業も競争力を低下させる恐れがある」といった企業寄りの発想であり、フリーランスの保護に関する問題意識は薄い。
一方でイギリスやドイツでは、会社と雇用契約を結んで雇われている労働者とは別に、「労働者に準ずるもの」という新しいカテゴリーを作って、最低賃金や労働時間、職業訓練や労災補償など、労働者ほど手厚い保護ではないが、最低限の保護制度が作られている。
「準労働者」として最低限の保護をするかどうかの分かれ目は、特定の企業からほとんどの仕事を受注しているかどうかで決まる。
発注者との対等かつ自由な契約で仕事を選べるフリーランスは、本来的には労働者的な保護の対象ではないが、特定の企業から仕事のほとんどを受注しているフリーランスは、その企業から発注が無くなれば仕事を失うので、雇用関係に近い強い上下関係が生じ得る。
その結果、異常に安い金額での発注、異常に短い納期での発注、それに伴う長時間労働や低収入など様々な労働問題が起こり始めている。
フリーランスをはじめとする新しい働き方が、日本社会において健全な形で広まるために、以下の質問をする。
二 家内労働法は、家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を目的に、委託企業に家内労働手帳の交付を義務付け、工賃の支払い期日や最低工賃についても定めている。特定の内職については法律で保護しているのに、フリーランスについては何ら保護しない理由は何か。
三 フリーランスについても、求職者支援訓練などを使えるようにして、能力開発の機会を増やすべきだと考えるが、政府の見解は如何に。
四 労災補償保険法の特別加入制度などを利用して、フリーランスも労災補償が受けられるようにすべきだと考えるが、政府の見解は如何に。
五 企業が社員を解雇した後に、その社員とフリーランス契約をして以前と変わらない仕事をさせるような、脱法的なフリーランス化については一定の歯止めをかける必要があると考えるが、政府の見解は如何に。
右質問する。