質問本文情報
平成三十年二月一日提出質問第四六号
裁量労働制で働く労働者と一般の労働者の労働時間の長さに対する認識等に関する質問主意書
提出者 山井和則
裁量労働制で働く労働者と一般の労働者の労働時間の長さに対する認識等に関する質問主意書
第百四十一回労働政策審議会労働条件分科会で示された、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(諮問時からの変更点を反映させたもの)」(以下、「働き方改革推進法案要綱」という。)において、「企画業務型裁量労働制」の対象業務の追加が規定されています。
この点に関し、以下、質問します。
二 平成三十年一月二十九日の衆議院予算委員会での長妻委員に対する安倍総理の答弁で、「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」とありますが、当該データの出所を示し、その出所のどのページをとらえて、「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短い」としたのか示して下さい。併せて、「平均的な方」とは、どのような基準で抽出し、どのように集計しているかについても示して下さい。なお、このような見解を、政府はこれまで示したことはありましたか、それとも今回の答弁が初めてですか。
三 平成三十年一月三十一日の参議院予算委員会での森本委員に対する加藤大臣の答弁で、「裁量労働制の方が実際の一般の働き方に比べて長いという資料もございますし、他方で、平均で比べれば短いという統計もございます」「平成二十五年度労働時間等総合実態調査、これ、厚生労働省が調べたものでありますけれども、平均的な一般労働者の時間が、これは一日の実労働時間ですが、九時間三十七分に対して企画業務型裁量労働制は九時間十六分と、こういう数字もある」とありましたが、このことは、労働政策審議会の資料等で公表されている平成二十五年度労働時間等総合実態調査結果のどこに掲載されていますか。もし公表されていないのであれば、「九時間三十七分」「九時間十六分」と算出するために使用したデータ、計算式を公表して下さい。
四 平成二十五年度労働時間等総合実態調査で、一般労働者のうちの平均的な者について、一日、一週間及び一ヶ月の実労働時間の平均はそれぞれ何時間ですか。同様に専門業務型裁量労働制および企画業務型裁量労働制の平均的な者について、一日、一週間及び一ヶ月の実労働時間の平均はそれぞれ何時間ですか。
五 平成二十五年度労働時間等総合実態調査で、一般労働者、専門業務型裁量労働制を適用された労働者、企画業務型裁量労働制を適用された労働者の実労働時間は、それぞれどのようなデータもしくは手法で把握しましたか。
六 独立行政法人労働政策研究・研修機構の「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果労働者調査結果」(平成二十六年五月三十日)では、一ヶ月の労働時間の平均は、通常の労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制について、それぞれ何時間ですか。政府の承知するところをお示し下さい。また、当該調査結果では、企画業務型裁量労働制の方が、通常の労働時間制よりも労働時間が長いという結果が出ており、平成二十五年度労働時間等総合実態調査と反対の結果となっていますが、その理由は何ですか。
七 平成三十年一月三十一日の参議院予算委員会での森本委員に対する加藤大臣の答弁で、「裁量労働制ということで、じゃ、しっかりフォローしていく必要があるというのは、それは私どももそういう必要があるということで、過去の分も含めて、今そういった観点から、統計というんでしょうか、把握に努めていきたい」とありますが、この把握はいつまでに実施し、その結果をいつまでに公表しますか。
八 平成三十年一月三十一日の参議院予算委員会での森本委員に対する加藤大臣の答弁で、「裁量労働制を導入している事業場に対して、まず事業主自ら法令に従った運用がなされているかを点検し、その結果を報告して頂いて」とありますが、この報告はいつまでに求め、その結果はいつまでに公表しますか。
九 安倍総理は、働き方改革で拡大される企画業務型裁量労働制について、「営業、販売のみを事業内容とする営業所で働く方は対象とならない」と答弁しているが、こうした労働者を対象とするとどのような問題や弊害があると認識していますか。
十 平成二十七年三月二十五日の衆議院厚生労働委員会で、当時の塩崎厚生労働大臣は、「企画立案調査分析業務と組み合わせる業務が、個別の製造業務や備品等の物品の購入業務とか、あるいは庶務経理業務とか、こういう単純な業務ではないということであって、そうすれば(中略)二百万でそういうようなことをやることはまずあり得ない話でありまして、そういう人たちではないということがまず第一であります。」と答弁していますが、年収が二百万円に満たない労働者に、現在、企画業務型裁量労働制を適用することは、禁止されていますか。事業主に罰則や罰金は適用されますか。また、禁止されている、あるいは違法なら、根拠となる条文や通達等を示して下さい。なお、「あり得ない」ことは、どのように確認していますか。
十一 十について、禁止や違法とする条文や通達があれば、年収がいくら以下の労働者に、企画業務型裁量労働制の適用が禁止もしくは違法とされていますか。
十二 十について、禁止や違法とする根拠がなければ、年収が二百万円に満たない労働者にも、企画業務型裁量労働制が適用され得るということですか。もしくは、適用されても、禁止されていない、違法ではないということですか。
十三 十について、働き方改革で拡大される企画業務型裁量労働制では、年収が二百万円に満たない労働者に適用することは禁止される、あるいは違法となりますか。事業主に罰則や罰金は適用されますか。
十四 ハローワークでは、新卒を対象とする求人で、裁量労働制の適用を明記しているものを掲載していますか。もし掲載しているのであれば、そのハローワークの求人は、どのような場合は適切で、どのような場合は不適切ですか。具体的に例示して見解を示して下さい。例えば、職種に「プログラマー」および「営業」とのみ記載のある求人は適切ですか、それとも不適切ですか。
十五 損害保険会社の法人営業を行う部署では、顧客の建物や設備に合わせた火災保険の商品設計を行い提案するとともに、従業員向けの保険商品の提供なども行っています。こうした部署で働く労働者は、働き方改革で拡大される企画業務型裁量労働制の対象になりますか。また、現在の企画業務型裁量労働制の対象になりますか。
十六 損害保険代理店の営業は、法人の顧客の建物や設備に合わせた火災保険等の商品設計・提案、募集をするとともに、従業員向けの保険商品の提案なども行いながら、一般の個人の自動車保険、火災保険について保険商品の設計・提案も行っています。こうした部署で働く労働者は、働き方改革で拡大される企画業務型裁量労働制の対象になりますか。また、現在の企画業務型裁量労働制の対象になりますか。
十七 マンション販売会社で、効率的な資金調達方法と併せて法人のマンション購入を提案するとともに、個人向けのマンション購入の提案や販売を行っている労働者は、働き方改革で拡大される企画業務型裁量労働制の対象になりますか。また、現在の企画業務型裁量労働制の対象になりますか。
十八 印刷会社で、法人の印刷物の企画提案、受注を担当する労働者は、働き方改革で拡大される企画業務型裁量労働制の対象になりますか。また、現在の企画業務型裁量労働制の対象になりますか。
十九 平成二十六年五月二十八日の第四回産業競争力会議課題別会合での厚生労働大臣提出資料の中で、「※以下の労働者は、『裁量労働制の新たな枠組みの構築』の対象に含めない」とありますが、ここに列挙されている四つのそれぞれの属性の労働者像は、働き方改革で拡大される企画業務型裁量労働制の対象に含まれないという認識でよいですか。もし、この認識が異なるのであれば、どのような議論を経て、この四つの属性の労働者のすべてあるいは一部が、対象に含まれることになりましたか。
右質問する。