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平成三十年二月五日提出
質問第五五号

業務に営業活動が含まれる労働者に対する裁量労働制の適用の適否等に関する再質問主意書

提出者  山井和則




業務に営業活動が含まれる労働者に対する裁量労働制の適用の適否等に関する再質問主意書


 平成三十年二月二日付で「業務に営業活動が含まれる労働者に対する裁量労働制の適用の適否等に関する質問に対する答弁書」(以下、「本件答弁書」という。)を受領したところですが、回答が不十分な個所等があります。
 そこで、以下の通り質問します。

一 本件答弁書で、営業が対象に含まれるか否かを質問したら「御指摘の『営業』、『個人を対象とする営業』及び『法人を対象とする営業』が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなくお答えは困難であるが」との回答であったが、全く回答になっていないので、改めて質問します。労働政策審議会が昨年九月に答申した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(以下「働き方改革法律案要綱」という。)においては、どのような営業であれば企画業務型裁量労働制の対象になりますか、あるいは、営業は一切、企画業務型裁量労働制の対象になりませんか。
二 現行の労働基準法において、業務の一部が、個人である顧客に対する、働き方改革法律案要綱にある「既製品やその汎用的な組み合わせの営業」である労働者に、企画業務型裁量労働制を適用することは禁止されていますか、違法ですか。また、業務の一部が、法人である顧客に対する「既製品やその汎用的な組み合わせの営業」である労働者に、企画業務型裁量労働制を適用することは禁止されていますか、違法ですか。
三 働き方改革法律案要綱で拡大される企画業務型裁量労働制において、業務の一部が、個人である顧客に対する、働き方改革法律案要綱にある「既製品やその汎用的な組み合わせの営業」である労働者に、企画業務型裁量労働制を適用することは禁止されていますか、違法ですか。また、業務の一部が、法人である顧客に対する「既製品やその汎用的な組み合わせの営業」である労働者に、企画業務型裁量労働制を適用することは禁止されていますか、違法ですか。
四 働き方改革法律案要綱で拡大される企画業務型裁量労働制において、法人である顧客の資金調達について「企画、立案、調査及び分析を主として行」った上で、「既製品やその汎用的な組み合わせの営業」を業務とする労働者を、企画業務型裁量労働制の対象とすることは禁止されますか、違法ですか。
五 企画業務型裁量労働制について、使用者は、六ヶ月以内ごとに所轄労働基準監督署へ定期報告を行うことが必要だが、その内容が実態を反映しているか否かはどのように担保していますか。また、内容が正確でない場合に、使用者に罰則が適用されますか。
六 現行の裁量労働制で、過重な業務が与えられた労働者は長時間労働を強いられることになりますが、業務が過重であるかどうかを労働基準監督署は判断することはできますか。判断できる場合、どのようなデータ、資料をもって過重であるかどうかを判断しましたか。この点に関する、これまでの行政指導、行政処分、送検を行った件数を、過去五年間、一年ごとにそれぞれ示して下さい。なお、使用者が過重な業務を与えることは禁止されていて、違法ですか。禁止され、違法の場合、罰則は適用されますか。
七 現行の裁量労働制で、労働者に業務遂行にあたって大幅に裁量が委ねられているか否かについて、労働基準監督署は判断することはできますか。判断できる場合、どのようなデータ、資料をもって、大幅に裁量が委ねられているかどうかを判断しましたか。この点に関する、これまでの行政指導、行政処分、送検を行った件数を、過去五年間、一年ごとにそれぞれ示して下さい。なお、使用者が大幅な裁量を労働者に委ねないことは禁止されていて、違法ですか。禁止され、違法の場合、罰則は適用されますか。
八 現行の裁量労働制で、対象業務は、労働者に業務遂行にあたって手段や時間配分の決定等に使用者が具体的な指示をせず、出退勤の時間を指示しないこととする業務ですが、こうした点について、労働基準監督署は判断することはできますか。判断できる場合、どのようなデータ、資料をもって、手段や時間配分、出退勤の時間が指示されていないかどうかを判断しましたか。この点に関する、これまでの行政指導、行政処分、送検を行った件数を、過去五年間、一年ごとにそれぞれ示して下さい。なお、使用者が手段や時間配分、出退勤の時間を指示することは禁止されていて、違法ですか。禁止され、違法の場合、罰則は適用されますか。
九 海外の事例で、顧客に対して販売または役務を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務を、労働時間規制の対象から外している国、制度はありますか。あるのであれば、具体的な国名と制度を示して下さい。
十 厚生労働省は、裁量労働制を適用している事業場を対象に、「裁量労働制の運用の適正化に向けた自主点検」を実施するとされていますが、これはいつまでに実施し、いつまでにその結果を公表しますか。
十一 十について、事業場における事業主に対する調査だけでは、実態を正確に把握することは不可能です。裁量労働制を適用されている労働者の平均労働時間、最長の労働時間や賃金、働き方等の実態について、当然、労働者に対して直接、情報を収集する調査を実施すべきではないですか。
十二 平成三十年二月五日の衆議院予算委員会での玉木委員の質問に対し、加藤大臣は、「平均の者の労働時間と労働者の労働時間の平均は違う」という趣旨の答弁をしましたが、それでは、平成二十五年度労働時間等実態調査によれば、「平均の者」の比較ではなく、一般労働者と裁量労働制の労働者の平均の実労働時間は、どちらが長いのですか。もし、把握していないなら、早急に実労働時間の平均の比較をすべきではありませんか。また、当該調査によれば、一般労働者と裁量労働制の労働者の実労働時間について、それぞれ「最長の者」「平均的な者」について、実労働時間が十二時間超の労働者の合計はそれぞれ何パーセントで、一般労働者と裁量労働制の労働者では、どちらの労働者の割合が大きいですか。
十三 働き方改革法律案要綱では、平成二十七年通常国会提出法案要綱から、「商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結の勧誘又は締結を行う」という文言が削除されているが、法人である顧客と、「商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結の勧誘又は締結を行う業務」を、業務の一部として担当する労働者を、企画業務型裁量労働制の対象とすることは禁止され、違法とされていますか。それとも、そのような労働者が、企画業務型裁量労働制の対象となり得ますか。なり得るとすれば、どのような場合ですか。

 右質問する。



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