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平成三十年二月十五日提出
質問第七七号

横浜市栄区上郷町瀬上沢地区の宅地開発計画に関する質問主意書

提出者  早稲田夕季




横浜市栄区上郷町瀬上沢地区の宅地開発計画に関する質問主意書


 神奈川県横浜市栄区上郷町瀬上沢地区(猿田地区)の緑地帯に関し、現在民間事業者である東急建設株式会社(以下東急建設)による宅地・商業集積地の開発計画が進められている。同地区は、横浜市内に残存する自然緑地としては最大規模であり、かつ蛍の生息地として知られた瀬上沢を含むことから、平成十九年に東急建設による開発に向けた提案が行われて以降、環境保全の視点から、近隣住民を中心とした反対運動が行われてきた。このほど、一月十五日に開催された横浜市の「第百四十七回横浜市都市計画審議会」において、東急建設の提案を受け入れた都市計画の変更案が採択された。これを受け横浜市では、緑地の一部を現在の市街化調整区域から市街化区域へと線引きの変更を行うべく、権限を有する国土交通省に対し、手続きを申請しているところと承知している。
 本開発計画に関しては、森林や生物資源保護の観点にくわえ、まもなく人口減少へ転じることが見込まれ、空き家の増加が社会問題化しつつある横浜市において、あえて地域資源である緑地帯を区域変更し大規模な宅地整備等を行うことに対して、都市計画としての妥当性に対する疑義も呈されているところである。
 現在、我が国が「人口減少・超高齢社会」を迎えていることは論をまたない。政府においても、平成二十年に始まった人口減少は今後加速度的に進み、今後さらに急激な人口減少・少子化、異次元の高齢化が進行するとの予測の下、人口減少・超高齢社会に適合した新たな街づくり・社会システム作りを政策目標にしていると認識している。
 また、本開発計画の対象地区が存する横浜市栄区は、市内十八区の内で最も六十五歳以上の人口割合が高く、また市内第二位の緑被率を有する地域である。こうした事情を、政府の進める政策方針に照らし考えあわせてみるならば、当該地域の将来像として目指すべきは、本開発計画にあるような自然緑地の宅地・商業地転用ではなく、むしろ豊かな自然環境を生かした、持続可能で高齢化社会に適した街づくりにあるのではないかとの所見も得られるところである。
 こうした点を踏まえ、今回の上郷町瀬上沢地区の開発計画に関連し、以下の二点において政府の考えを質問する。

一 国土交通省の定める国土利用計画では、人口減少・高齢化の更なる進展を見据え、都市のコンパクト化や自然環境の保全・再生等を柱とする、国土利用の基本方針を打ち出している。また、横浜市においても、人口減少に応じた市街地の縮退の方針をマスタープランとして提示しているものと認識している。これらの視座に立てば、本開発計画は国や市の定める方針に逆行するものとも考えられるが、政府はどのような認識であるか。
二 また本件のような、「民間事業者」による都市計画提案により、市街化区域が増える事例は全国でも「異例」との政府職員の指摘があるが、この点に間違いはないか。またその場合、この開発計画が先行事例となり、人口減少が見込まれる地域でも、民間主導で緑地等の宅地開発が増加することも懸念されるが、この点に関し政府はどのような認識であるか。

 右質問する。



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