質問本文情報
平成三十年三月八日提出質問第一三二号
野村不動産株式会社に対する特別指導の端緒や経緯及びその目的等に関する質問主意書
提出者 山井和則
野村不動産株式会社に対する特別指導の端緒や経緯及びその目的等に関する質問主意書
厚生労働省資料によれば、東京労働局長は野村不動産株式会社に対し、平成二十九年十二月二十五日に特別指導(以下、本件特別指導)を行ったとされています。
そこで、以下の通り質問します。
二 本件特別指導に際して、加藤厚生労働大臣の決裁は取りましたか。
三 本件特別指導について、実施に当たっての政府内の決裁書の日付、及び決裁書で野村不動産株式会社で企画業務型裁量労働制の対象となっていた男性社員が二〇一六年九月に過労自殺をされたことに言及しているかどうかを示して下さい。なお、示すことができない場合は、その根拠となる法令を明示して下さい。
四 本件特別指導について、加藤厚生労働大臣が報告を受けた日付を示して下さい。なお、示すことができない場合は、その根拠となる法令を明示して下さい。
五 本件特別指導について、野村不動産株式会社における違法な裁量労働制の適用が発覚する調査の端緒として、同社で企画業務型裁量労働制の対象となっていた男性社員が二〇一六年九月に過労自殺をしていた事案は含まれますか。それとも違法の疑いがあると調査を始めた後に、労働基準監督署は、過労自殺の事案を把握したのですか。
六 本件特別指導について、根拠となる法令を示すとともに、他の指導との相違点、すなわち「特別」である理由、実施する目的、根拠法令を示して下さい。なお、示すことができない場合は、その根拠となる法令を明示して下さい。
七 本件特別指導に関連し、過去に「特別指導」という名称で実施した指導の件数を示すとともに、対象企業名、実施年月日、公表の方法をそれぞれ示して下さい。なお、示すことができない場合は、その根拠となる法令を明示して下さい。
八 本件特別指導について、平成二十九年十二月二十六日に公表された「東京労働局長による特別指導について」という資料(以下、公表資料)中の「3 指導の概要」に、「一定の役職者以上の労働者」とありますが、企画業務型裁量労働制の実態を把握するとともに、事業場での適正な運用を促すために極めて重要であるため、「一定の役職」の名称、当該役職に就くまでの平均的な経験年数を示して下さい。
九 本件特別指導について、公表資料中の「3 指導の概要」に、「一律に企画業務型裁量労働制の対象としていた」とありますが、現行の企画業務型裁量労働制では、対象となる労働者の個人の同意を得ることになっています。企画業務型裁量労働制の実態を把握するとともに、事業場での適正な運用を促すために極めて重要であるため、「一律に」と判断した根拠となる状況を示して下さい。
十 本件特別指導について、公表資料中の「3 指導の概要」に、「同制度の対象業務に該当しない、個別の営業活動等の業務に就かせていた」とありますが、企画業務型裁量労働制の実態を把握するとともに、事業場での適正な運用を促すために極めて重要であるため、「個別の営業活動」以外に、どのような業務に就かせていたかを示して下さい。
十一 現行の企画業務型裁量労働制の対象となる労働者が、業務の一部として、公表資料中にある「個別の営業活動」を恒常的に行っていた場合、違法となりますか。
十二 現行の企画業務型裁量労働制の対象となる労働者が、業務の一部として、「転勤者の留守宅を一定期間賃貸するリロケーションの業務」を恒常的に行っていた場合、違法となりますか。
十三 現行の企画業務型裁量労働制の対象となる労働者が、業務の一部として、「入居者の募集や契約・解約、個人客や仲介業者への対応業務」を恒常的に行っていた場合、違法となりますか。
十四 本件特別指導について、公表資料中の「3 指導の概要」に、「当該労働者の労働実態から、違法な時間外労働及び割増賃金の一部不払いが認められた」とありますが、企画業務型裁量労働制の実態を把握するとともに、事業場での適正な運用を促すために極めて重要であるため、月の時間外労働が二百時間、百六十時間、百時間、八十時間を超える労働者のそれぞれの人数を示すとともに、脳・心臓疾患に関する事案及び精神障害に関する事案の労災補償の申請件数をそれぞれ示して下さい。
十五 加藤厚生労働大臣は、平成三十年三月五日の参議院予算委員会で、石橋委員の「(野村不動産に対する)特別指導の結果を公表した十二月二十六日に労災認定が出ていたことを知っていたか」という趣旨の質問に対し、「それぞれ労災で亡くなった方の状況について逐一私のところに報告が上がってくるわけではございませんので、一つ一つについてそのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりません」と答弁しています。この点について、十二月二十六日の時点で、加藤厚生労働大臣は、野村不動産株式会社で企画業務型裁量労働制の対象となっていた男性社員が二〇一六年九月に過労自殺をされていた事案を知らなかったと答弁したと認識してよろしいですか。
十六 加藤厚生労働大臣は、本件特別指導を実施するに際して、野村不動産株式会社の男性社員が二〇一六年九月に過労自殺されていた事案を知らなかったのですか、それとも知っていましたか。もし加藤厚生労働大臣に、過労死事案を報告せずに特別指導をしていたら、問題があると考えますが、政府の見解を示して下さい。
十七 本件特別指導を行った理由の中の一つとして、二〇一六年九月に男性社員が過労自殺をされたことは含まれますか、それとも含まれませんか。もし含まれないなら、なぜ含まれないのですか。もし含まれるのなら、本件特別指導の前に、この過労自殺について、加藤厚生労働大臣に報告していましたか。
十八 一般論として、特別指導の際に、その端緒や背景に、過労死の発生が含まれる場合、その事実を厚生労働大臣に事前に報告しないことはあり得ますか。
十九 野村不動産における違法な裁量労働制の適用が発覚する調査の契機、端緒は何だったのですか。過労死に関する相談が来たことが、野村不動産における違法な裁量労働制の適用の発覚のきっかけになったのですか、それとも違法の疑いがあると調査を始めた後に、労働基準監督署は過労死の事案を把握したのですか。
二十 本件特別指導の実施について、加藤厚生労働大臣はいつ報告を受けましたか。また、安倍総理は、平成三十年三月五日の参議院予算委員会で、「特別指導について報告を受けておりました」と答弁しましたが、その報告を受けた日は何月何日ですか。
右質問する。