質問本文情報
平成三十年五月一日提出質問第二六三号
高度プロフェッショナル制度と関連の深い米国ホワイトカラーエグゼンプションに関する質問主意書
提出者 山井和則
高度プロフェッショナル制度と関連の深い米国ホワイトカラーエグゼンプションに関する質問主意書
働き方改革関連法案に盛り込まれている高度プロフェッショナル制度は、米国のホワイトカラーエグゼンプションと、労働時間規制の対象外となる点等で類似する部分があるとの指摘があります。そのため、高度プロフェッショナル制度の導入による問題点を検討する上では、米国のホワイトカラーエグゼンプションを先行事例として検証することが有意義です。
そこで、以下の通り質問します。
二 米国のホワイトカラーエグゼンプションの概略、および政府としてどのような制度と認識しているかを示して下さい。また、ホワイトカラーエグゼンプションの対象者や、運用の変遷の概略についても示して下さい。
三 米国のホワイトカラーエグゼンプションでは、年収がいくら以上の労働者が対象ですか。
四 米国のホワイトカラーエグゼンプションでは、どのような職種の労働者が対象ですか。
五 米国のホワイトカラーエグゼンプションでは、労働者の実際の労働時間は管理されていますか。
六 高度プロフェッショナル制度では、いくら長時間労働となっても歯止めがなく、働かせ放題になる危険性がある、労働の成果と報酬が必ずしもリンクしない、年収要件は設定されているが強引な国会運営が横行している中では、対象となる年収が容易に下げられてしまうのではないか、などの問題点が指摘されていますが、政府として、米国のホワイトカラーエグゼンプションについて、どのような問題点があると認識しているか示して下さい。なお、中村論文および、東京新聞二〇一五年四月四日記事によれば、主な問題点として、長時間労働や、長時間労働により時給換算した賃金が最低賃金を下回ること、本来ホワイトカラーエグゼンプションの適用対象でない者に同制度を適用する濫用の問題(名ばかりエグゼンプションの問題)が指摘されています。こうした問題点について、政府は認識していますか。高度プロフェッショナル制度でも、同様の問題が起こるのではありませんか。
七 高度プロフェッショナル制度と米国のホワイトカラーエグゼンプションの共通点は、どのような点であると認識していますか。
八 米国のホワイトカラーエグゼンプションの労働者の平均年収はいくらですか。また、労働者数が最も多い年収階層(最頻値の年収階層)はいくらですか。「現在の職場におけるホワイトカラーエグゼンプション:公正労働基準法」(米国会計検査院編、一九九九年、原題:United States General Accounting Office, Fair Labor Standards Act : White―Collar Exemptions in the Modern Work Place)によれば、一九九八年のフルタイムのホワイトカラーエグゼンプション適用労働者の週当たり平均収入は千十八ドルとされており、これを、一ドルを百八円、一年間を五十週として試算すると、年収は約五百五十万円となります。また、「働くあなたや家族の大問題!! 過労死促進 残業代ゼロ制度」(日本弁護士連合会)(以下、日本弁護士連合会作成資料、という。)によれば、ホワイトカラーエグゼンプション適用労働者において労働者数が最も多い年収階層は二万六千ドルから五万二千ドルとされており、これを日本円に換算すると約二百八十万円から五百六十万円になります。こうした状況について、政府は認識していますか。高度プロフェッショナル制度でも、将来、同様の給与水準まで拡大する可能性はありませんか。
九 ホワイトカラーエグゼンプション対象者と対象外の労働者では、労働時間はどちらが長いですか。日本弁護士連合会作成資料によれば、米国ではホワイトカラーエグゼンプション対象者の方が労働時間が長いとの調査結果が示されていますが、政府は認識していますか。こうした状況を踏まえれば、高度プロフェッショナル制度の導入により、労働時間が長くなり、過労死が増える可能性はありませんか。
右質問する。