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平成三十年五月九日提出
質問第二七八号

ギャンブル依存症問題の監督体制に関する質問主意書

提出者  高井崇志




ギャンブル依存症問題の監督体制に関する質問主意書


 我が国ではすでに多くのギャンブルが公営競技として認められており、加えて実質的にギャンブルと同等のサービスが提供されているパチンコが広く普及している。このように我が国は既に世界に冠たるギャンブル大国であるが、他方でギャンブル産業の負の側面であるいわゆるギャンブル依存症に関わる問題(以下「ギャンブル依存症問題」という)については政府は見て見ぬ振りを続け、なんら有効な対策が打たれず放置され続けてきた。
 平成二十九年度に厚生労働省調査班によって行われた調査では直近一年のギャンブル依存症が疑われる者の割合は成人の〇・八%、約七十万人、生涯罹患率では成人の三・六%、約三百二十万人と推計されており、また大半の罹患者の依存対象はパチンコであることも明らかになっている。ギャンブル依存症はその罹患した当人のみならず、家族や親族といった近親者の生活へも強い負の影響を及ぼすことが知られており、直近一年に限っても依存症が疑われる七十万人弱に限らず、その近親者を含む数百万人が当事者としてギャンブル依存症問題に苦しんでいることが推測される。
 こうした状況を踏まえて、今国会までにギャンブル依存症の対策を実施するための法案が複数提出されている。しかし他方で二〇一六年十二月に公布・施行された「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」に基づき、カジノという新たなギャンブルを解禁する内容を含むいわゆる「IR実施法案」が政府から提出され国会で審議されることも見込まれている。さらにパチンコ行政に関しては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則が大幅に改正され、新たな制度の運用が始まろうとしている。
 このように今国会は我が国のギャンブル行政の大転換点になる可能性があり、個別の制度についてそれぞれ議論するのみならず、関連法律・規則改正について横断的な視点で検討することが必要不可欠となる。このような視点から、本質問主意書においては、ギャンブル依存症対策に向けた政府の問題意識、IR実施法案におけるカジノの監督体制、パチンコ産業等におけるギャンブル依存症・のめりこみ対策、等に関する政府の総合的な取り組みの詳細について以下確認する。

一 二〇〇九年度から二〇一七年度までの間に、ギャンブル依存症問題への対策を直接の目的とする事業に対して実際に執行された政府予算額の推移、および二〇一八年度の政府予算に計上された同問題への対策を直接の目的とする事業の金額を示されたい。ただし上記金額には薬物依存症、アルコール依存症への対策費は含まないものとする。
二 いわゆるアルコール依存症に対する支援の枠組みを定めたアルコール健康障害対策基本法では第五章において「アルコール健康障害対策関係者会議」の設置が規定されているが、同関係者会議が設置された目的およびアルコール健康障害対策において現に果たしている役割について問う。
 またアルコール依存症とギャンブル依存症の対策には共通点が多く、ギャンブル依存症対策においても同様に関係者会議を設置することを検討すべきように思うが、政府の見解を問う。
三 政府においてはカジノに関するギャンブル依存症防止対策として、入場回数制限、入場料の賦課等の入場制限が検討されているが、これら入場制限措置がギャンブル依存症対策として有効であることを示す科学的根拠を提示されたい。仮に科学的根拠が存在しないならばその旨も示されたい。
 また、特定複合観光施設区域整備推進会議における議論では当該入場料は「一般財源として公益目的に用いることとすべき」とされているが、これにギャンブル依存症対策を行う民間事業者への助成は含まれるか。
四 平成二十九年八月二十九日にギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議で発表された「ギャンブル等依存症対策の強化について」と題する報告書では、競馬に関して本人・家族申告によるアクセス制限を実施する方針が記載されている。当該報告書では具体的に「今後は、各競馬主催者において、実態に即した、より具体的なマニュアルを本年中に策定することとしている。また、こうした運用を踏まえつつ、家族申告によるアクセス制限の仕組みを構築する。」としているが、現状のマニュアル作成および家族申告によるアクセス制限の仕組み構築の進捗、利用状況についてご教示されたい。
五 特定複合観光施設区域整備推進会議における議論では、「カジノ関連機器については、政府が技術的な基準を設定し、当該基準への適合を義務付けるべき」とされており、また、電磁的カジノ関連機器等に関しては型式検定制度によって基準適合性を確認するものとされている。このような制度は遊技機における型式検定制度と酷似している。
 他方で遊技機に関しては、平成二十七年度にパチンコメーカーが業界ぐるみで不正に釘の角度を改変し、検定機と性能の異なる可能性がある遊技機を大量に出荷する大規模な不正改造事案があったことが判明している。当然カジノに関する制度設計には、当該不正改造事案の原因を調査しその反省点を活かすべきと考える。この点平成二十九年三月八日の衆議院内閣委員会において、松本純国家公安委員長は「現在、警察では各パチンコメーカーから報告を求めるなど、検定機と性能の異なる可能性のある遊技機が出荷された原因等の調査を行っている」と答弁したが、当該調査は終了したのか。
 また当該調査が終了しているのならば、その結果を公表する予定はあるのか。これほどの大規模な不正改造事案があったにも関わらず、当該調査の結果を公表することを予定していない場合はその理由についても併せて問う。
六 パチンコメーカーはわずか三年前に業界ぐるみで大規模な不正改造事案を引き起こしたことを考えると、パチンコメーカーのカジノ業への参入には厳しい姿勢で臨むべきと考えるが、政府の見解を問う。
 またパチンコメーカーを監督する立場にありながら大規模な不正改造事案を予防できなかった国家公安委員会、都道府県公安委員会についても、カジノ事業を監督するには不適切であり、別の機関にカジノ産業の監督権限を与えるべきと考えるが、政府の見解を問う。
 政府の見解は如何か。

 右質問する。



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