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平成三十年五月十六日提出質問第二九九号
奨学金制度拡充に関する質問主意書
提出者 海江田万里
奨学金制度拡充に関する質問主意書
政府は、意欲と能力のある学生・生徒が、経済的理由により進学を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境を整備するために、大学等奨学金事業の充実を図る施策として、平成三十年度予算において一、給付型奨学金制度の着実な実施、二、無利子奨学金の希望者全員に対する貸与の着実な実施、三、所得連動返還型奨学金制度を着実に実施するためのシステム開発等、を掲げている。
さらに新しい経済政策パッケージによる消費税増税を財源とした高等教育無償化政策が検討されているが、現実には大学等の学費が高騰し、親の経済格差による子の教育格差が拡大している。喫緊の課題である奨学金制度の拡充について、以下、質問する。
二 無利子奨学金の拡充について平成二十九年度より低所得世帯の子供に係る成績基準の実質的撤廃と残存適格者の解消という方針の下で、これまで政府貸付金と返還金のみを財源としてきた無利子奨学金に、財政融資資金を活用した利子補給方式による対応が取られることになった。現下の超低金利政策の中で、奨学金事業における利子補給負担に係る予算が極めて少額化していることから、この利子補給方式を活用し、有利子奨学金の無利子化を検討すべきと考えるが、政府の見解を回答されたい。
三 平成二十九年度から導入した「新たな所得連動返還型奨学金制度」について、貸与終了者からの返還が平成三十一年度より本格的に開始される。所得に応じた月の返還額が柔軟に設定されることで、低所得者の返還の負担が軽減されることが期待されている。しかし、この制度には諸外国の同様の制度にある根本的な二つの制度がないことが、検討段階から指摘されてきた。一つは一定の所得に達するまでは返還を免除する閾値の設定であり、もう一つは一定の返還期間を過ぎた債権の返還免除制度である。この制度がないために我が国の制度では所得がないものでも返還義務が発生し、低所得者の返還期間が長期化することが予想される。無利子貸与で大学四年間月五万四千円(私立自宅生)貸与の場合、返還総額二百五十九万二千円を年収百四十四万円以下の最低月額二千円ずつで返還した場合、返還完了までに百八年かかる計算となる。本格的な返還が開始される前に、このような制度上の欠陥を改めるべきと考えるが、政府の見解を回答されたい。
右質問する。