答弁本文情報
平成三十年五月二十五日受領答弁第二九九号
内閣衆質一九六第二九九号
平成三十年五月二十五日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員海江田万里君提出奨学金制度拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員海江田万里君提出奨学金制度拡充に関する質問に対する答弁書
一について
給付型奨学金制度については、平成三十一年十月に予定されている消費税率十パーセントへの引上げを前提として、平成三十二年四月から、学生生活を送るために必要な生活費であって他の学生との公平性の観点も踏まえ社会通念上相当と認められるものが賄えるよう支給額を大幅に増やすとともに、真に支援が必要な住民税非課税世帯の意欲ある子供たちに支給することとしているほか、住民税非課税世帯に準ずる世帯の子供たちについても、住民税非課税世帯の子供たちに対する支援措置に準じた支援を段階的に行うこととしている。
お尋ねの「利子補給方式を活用し」た「有利子奨学金の無利子化」については、将来的に金利が上昇した場合には国の財政支出が増加する等の課題があることから、その導入を新たに検討することは考えていない。
平成二十九年四月から導入された所得連動返還方式(以下「本方式」という。)は、文部科学省の「所得連動返還型奨学金制度有識者会議」において平成二十八年九月に取りまとめられた「新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(審議まとめ)」(以下「審議まとめ」という。)を踏まえて設けられたものである。本方式については、審議まとめの「四.新たな所得連動返還型奨学金制度の設計」の「(五)所得に応じた返還額の設定及び返還を開始する所得額」において「年収三百万円から返還開始する条件では、所得にかかわらず最低二千円を返還する条件と比較して、回収額が著しく低減(約千二百億円)することが予測された。・・・返還金により次の世代の学生等への貸与が行われているという奨学金制度全体を維持する観点から、新制度では所得にかかわらず返還を行うこととすることが適当である。」との指摘がなされたこと等を踏まえ、お尋ねの「一定の所得に達するまでは返還を免除する閾値の設定」は行っていないところであり、また、審議まとめの「四.新たな所得連動返還型奨学金制度の設計」の「(九)返還期間」において「返還期間については、・・・返還完了又は返還不能となるまでとした場合の方が、・・・三十五年間又は・・・六十五歳まででその後の返還を免除するとした場合と比較して、回収額が多く確保されることが予測された。現行制度においても、年限や年齢によって返還途中で返還を免除する仕組みは設けられておらず、返還免除を行うためには法律改正が必要となることから、平成二十九年度からの導入は困難である。このため、新所得連動返還型奨学金制度においても、現行と同様に、返還期間は返還完了まで又は本人が死亡又は障害等により返還不能となるまでとすることが適当である。」との指摘がなされたこと等を踏まえ、お尋ねの「一定の返還期間を過ぎた債権の返還免除制度」を設けていないところであって、御指摘のような「制度上の欠陥」があるものとは認識していない。