衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成三十年五月二十四日提出
質問第三一六号

「総理のご意向」など文科省が調査した十九文書に関する質問主意書

提出者  阿部知子




「総理のご意向」など文科省が調査した十九文書に関する質問主意書


 愛媛県が二〇一八年五月二十一日に参議院予算委員会に提出した文書によって、加計学園についての疑惑は今まで以上に高まり、昨年、文部科学省(以下、文科省)が調査を行った「総理のご意向」などと書かれた文書を含む十九文書の信ぴょう性が高まった。
 この十九文書とは、昨年二〇一七年五月十七日の朝日新聞朝刊が、学校法人「加計学園」(岡山市)が獣医学部を新設する計画について、文科省が内閣府から「総理のご意向だと聞いている」などと言われたことを二〇一六年に文書にしていたと報じたことがきっかけで、旧民進党の加計学園疑惑調査チームが入手し、文科省が調査を行ったものだ。
 文科省は調査結果を二〇一七年六月十五日に「国家戦略特区における獣医学部新設に係る文書に関する追加調査(報告書)」(以下、報告書)として公表し、十九文書を以下のように整理した。なお、十九文書に関して記載されている肩書は、当時の記載のままである。
@獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項
A義家副大臣レク概要(獣医学部新設)
B大臣ご指示事項
C義家副大臣のご感触
D大臣ご確認事項に対する内閣府の回答
E10/4義家副大臣レク概要
F10/7萩生田副長官ご発言概要
G10月19日(水)北村直人元議員
H藤原内閣府審議官との打ち合わせ概要(獣医学部新設)(9月26日)
I今後のスケジュール(イメージ)
J「先端ライフサイエンス研究や」から始まる修正案
K11月8日に文科省内でやり取りされたとされるメール
L加計学園への伝達事項
MKメール(L文書付き)(11月8日)
Nメール(H文書付き)(9月27日)
O第25回国家戦略特別区域諮問会議の開催について
P松野文部科学大臣ご発言メモ(国家戦略特別区域諮問会議11月9日)
Q第25回国家戦略特別区域諮問会議発言・資料確認用紙(山本農林水産大臣)
R国家戦略特区(獣医学部新設)に係る想定問答
 文科省の調査結果が、国家戦略特区制度を所管する内閣府や国家戦略特別区域諮問会議の安倍晋三議長(以下、安倍議長)によってどのように認識されているのかは、真相の解明にとって重要であることから、これら十九文書について改めて認識を問う。

一 文科省は、二〇一七年五月十九日に、このうちの九文書だけを対象に調査し、その内容について、「ない」又は「記憶にない」と発表した。文科省が当初九文書だけを対象に調査を行ったのはなぜか。
二 一か月後の二〇一七年六月十五日に公表した報告書で、文科省は十九文書中十四文書の存在を確認したと発表した。一方で、二文書は存在が確認できず、残り三文書は「法人の利益に関わる」との理由で存否を含めて明らかにできないとした。
 その一か月後の二〇一七年七月二十五日に、文科省は存否を含めて明らかにできないとした三文書について、「学校法人加計学園から、本文書を開示することに意見がないことの確認が取れ」たとして、その文書の存在を認めた。
 1 二〇一七年六月十五日に「法人の利益に関わる」との理由で当初は存否を含めて明らかにできないとした法人は「加計学園」のことであるという理解で間違いはないか。
 2 二〇一七年七月二十五日以降、文科省が合計十七文書が存在したことを認識したことを内閣府は認知していると考えるが、間違いはないか。
三 文科省の報告書によれば、文書「@獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」は、内閣府が平成三十年四月開学を大前提に「これは官邸の最高レベルが言っていること」と文科省に伝達してきたという記録であり、専門教育課の「国家戦略特区」以外の共有フォルダに保存されていたとのことである。
 内閣府は、文科省が文書@の存在を認めたことについて、どのような認識を持っているか。
四 文科省の報告書によれば、文書「A義家副大臣レク概要(獣医学部新設)」には「平成三十年四月開学で早くやれ、と言われても、手続きはちゃんと踏まないといけない」「官邸はどうなっているのか。萩生田副長官に聞いてみる」「農水副大臣にも需給はおたくの話でしょ」などと聞くと義家副大臣が述べたと思われる記載があり、これがどのような性格によるものかはこれだけでは判然としないが、「@獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」への回答であると推察できる。
 そして、文科省の報告書は、この文書については「調査対象文書と内容が同一又は酷似している文書」として存在が確認できたとしている。
 1 内閣官房における最高責任者は菅義偉官房長官だが、菅官房長官は萩生田光一副長官に対して、義家副大臣から尋ねられたことがあったかどうかを確かめたか。確かめていないとすればそれはなぜか。
 2 安倍議長は、この義家副大臣の発言を義家副大臣本人に確かめたか。確かめていないとすればそれはなぜか。
五 文科省の報告書によれば、「存在が確認できなかった」とした残りの二文書は、Fの「萩生田副長官ご発言」とGの「北村直人元議員」の発言を記録した文書である。しかし、Gは、北村元議員自身が二〇一七年五月十八日の朝日新聞で「文書に書かれていることは事実」と認めた。
 したがって、十九文書のうち、文科省によっても発言者本人によってもその存在が確認または傍証できないのは、Fの「萩生田副長官ご発言」文書のみであると認識するが、この認識について、安倍議長および菅官房長官はどう考えるか。
六 「10/7萩生田副長官ご発言概要」とされた文書Fの内容は、萩生田副長官が「再興戦略改訂二〇一五の要件は承知している。問題は、『既存の大学・学部では対応が困難な場合』という要件について、例えば伝染病研究を構想にした場合、既存の大学が『うちの大学でもできますよ』と言われると困難になる。」「平成三十年四月は早い。無理だと思う。要するに、加計学園が誰も文句が言えないような良い提案をできるかどうかだな。構想をブラッシュアップしないといけない」「文科省だけで、この案件をこなすことは難しいということはよく分かる」「私の方で整理しよう」などと発言したことになっている。
 1 安倍議長は、加計学園の加計孝太郎理事長と萩生田副長官には、この発言が行われたとする日時以前または以後に面識があったことを認識しているか。
 2 政府は、萩生田副長官がこのような発言を行っていないのであれば、なぜ、このようなメモが報道され、旧民進党の加計学園疑惑調査チームが入手できたと考えるか。
七 「大臣ご指示事項」とされた文書Bは、文科大臣が内閣府の感触を二点につき確認するよう指示したものとなっている。
 一点は平成三十年四月開学のためには平成二十九年三月に設置認可申請をする必要があるが、必要な準備が整わない可能性を示唆して、平成三十一年四月開学を目指した対応とすべきではないかとする点である。二点目は、麻生副総理など獣医学部新設に強く反対している議員がいる中で、自民党の文科・農水・内閣府の部会の合同部会もしくはPTを設置して検討すべきではないか、少なくとも衆院福岡第六区補選(十月二十三日投開票予定)を終えた後に動くべきではないかと示唆した点だ。
 文科大臣が平成三十一年四月開学を示唆したにも関わらず、それが平成三十年四月になったのは、首相案件でないとすれば、どのような理由であると内閣府は考えているか。
八 「義家副大臣のご感触」とされた文書Cは、文書A「義家副大臣レク概要(獣医学部新設)」後の対応の結果として、齋藤健農林水産副大臣、萩生田内閣官房副長官に接触した感触が記されたものとなっており、文書AとBと整合する。文科省の報告書によれば、文科省はこの文書Cの存在を認めているが、内閣府はそのことをどのように認識しているか。
九 文書D「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」は、文書Bで記録された文科大臣の確認に対する「プロセス・開学時期」「政府内の取扱い」「党関係」「官邸関係」に関する事項について、内閣府が回答した形をとっている。
 文書D内では、「プロセス・開学時期」については、内閣府が「総理のご意向だと聞いている」と答えたとされている。
 文書D内では、「政府内の取扱い」については、内閣府が「副長官のところに、文部科学省、厚生労働省、農林水産省を呼んで、指示を出してもらえばよいのではないか」と回答したことになっている。
 文書D内では、「党関係」については、「文科省と党の関係なので、政調とよく相談していただきたい」と回答したことになっている。
 文書D内では、「官邸関係」については、「官房長官、官房長官の補佐官、両副長官、古谷副長官補、和泉総理大臣補佐官等の要人には『一、二ヶ月単位で議論せざるを得ない状況』と説明してある」と書かれている。
 文科省の報告書によれば、文科省はこの文書Dの存在を認めているが、内閣府はそのことをどのように認識しているか。
十 加計学園を巡るいわゆる首相案件問題は、国家戦略特区制度の公正性を揺るがせにしており、安倍議長は限りなく重たい説明責任を負っている。この十九文書について文科省は真摯な調査を行い、結果を公表したが、安倍議長は自らに向けられた疑惑を晴らすために、具体的にどのような指示を誰に対して行ったか。また、忖度を排除するために、たとえ、自分自身が首相辞任に追い込まれようとも真実を語ってよいという指示を内閣府の部下たちに行ったか。行っていない場合、それはなぜかを明らかにされたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.