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平成三十年六月一日提出
質問第三四四号

再生可能エネルギーによる経済活性化と地方創生に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




再生可能エネルギーによる経済活性化と地方創生に関する質問主意書


 第五次エネルギー基本計画の素案において、太陽光や風力などの再生可能エネルギーについては、世界的に発電コストが減少している流れを踏まえ、「主力電源化」を目指すことが表明された。再生可能エネルギーの活用拡大は世界の潮流であることから、そこに全力で取り組む必要があり、現状のままでは今後の日本経済に大きな悪影響を与えるのではないかと懸念する。再生可能エネルギーの活用拡大は、地球環境に良いというにとどまらず、もはや経済と競争力の問題である。原発をゼロにし、再生可能エネルギーに全面転換した場合、その設備投資額は、太陽光設備が一キロワット十五万円とすると、一ギガワットは、その百万倍で千五百億円、現在の原発五十基分の五十ギガワットだと七兆五千億円の設備投資が発生する。ケインズの乗数効果が四倍とすると、三十兆円のGDP増加要因となり、六%成長につながる。税収の弾性値が「五」とすると税収は三十%増加し、十五兆円の税収増になり、財政健全化にもつながる。再生可能エネルギーの活用は、新たな産業と雇用を創りだす成長戦略の柱となる。他方、原発を再稼働しても、そのような効果は全く望めない。また、再生可能エネルギー活用の拡大は、地域再生に不可欠である。これまでの大手電力会社による高額な電気の供給に依存するだけでなく、太陽光・バイオマス・小水力など地域の資源を生かした発電や熱利用によりエネルギーの地産地消・自給自足が可能になり、分散型エネルギー社会が実現する。再生可能エネルギーへの全面転換は、政府の目玉政策である「地方創生」にもつながり、ドイツやデンマークのように我が国も地域経済の活性化に成功できると考えるので、次の事項について質問する。

一 再生可能エネルギーの活用拡大によるGDP、乗数効果、経済成長に与える影響についてどのように認識しているのか、政府の考える展望を明らかにされたい。
二 分散型エネルギー社会実現に向けた取り組みを進めていくのか。進めるとすれば具体的政策としてはどのように取り組んでいくのか、政府の見解を明らかにされたい。
三 政府は、「日本は資源が乏しく、気候変動対策で原発が必要」・「日本の自然エネ発電コストは欧米の二倍、気候に左右され安定供給できない」という旨の表明をしている。その原因としては、再生可能エネルギー研究開発や普及等に欧米ほど力を入れていないからではないかと考えるが如何か。政府の見解を明らかにされたい。
四 政府は、エネルギー基本計画の見直し作業に関連して再生可能エネルギーの「主力電源化」をあげたものの、再生可能エネルギーの電源構成比率は従来どおりとしている。しかし、再生可能エネルギー関連産業の競争力の強化により経済活性化を図る観点や、エネルギーの地産地消により地域の再生を図る観点からも、我が国もドイツのシュタットベルケのように、最先端IT技術を活用した小規模分散型電源による効率的な運用を進め、再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活かしていくことが必要ではないかと考えるが如何か。政府の見解を明らかにされたい。
五 経済の活性化や地域の再生を図る観点からも、再生可能エネルギーの「主力電源化」を目指すにあたっては、再生可能エネルギーの電源構成比率を、現行の二十二から二十四%よりも高く見直すことが必要と考えるが如何か。政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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