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平成三十年七月十三日提出
質問第四四四号

トランプ政権による対中報復関税による日本経済に与える影響に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




トランプ政権による対中報復関税による日本経済に与える影響に関する質問主意書


 平成三十年七月十一日、トランプ大統領はアメリカが二千億ドル相当の中国製品に十%の追加関税を適用する方針を表明した。中国側の報復措置はまだ示されていないが、同等の対抗策が講じられる公算が高い。こうした米中の措置によって、雇用統計などの数字が順調で、経済成長が堅調なアメリカへの打撃は限定的であるとしても、経済成長率が低い日本には大きなダメージとなる可能性が指摘される。
 米中貿易戦争への警戒感から世界的な株安が七月の第一週まで進んでいたが、同月六日にアメリカが三百四十億ドル相当の中国製品に対し二十五%の関税適用を予定通り実施したため、悪材料出尽くし感が広がり、東京市場をはじめとして株価が反発し始めた。
 トランプ政権が日本時間十一日早朝、追加で二千億ドル相当の中国製品に十%の関税を適用する方針を表明したことを受け、日経平均株価は一時四百五十円安まで下げ幅を広げ、七月第二週の前半の上昇幅が失われた。既に六月十八日にトランプ大統領は二千億ドル規模の中国製品に対し、十%の追加関税を課すと警告しているため、予想外ではないものの、米中貿易戦争へとエスカレートする懸念が市場の心理要因を悪化させたものと思われる。なお、アメリカから中国への輸出額は平成二十九年度で千三百三億ドルであり、二千億ドル規模の追加関税の枠に及ばない。中国側は関税を高め、アメリカからの中国企業への出資を制限するなどの措置でトランプ政権に対抗すると予想される。
 もっとも二千億ドル程度の規模ではアメリカ経済には死活的影響とは言えない。日本総研調査部の井上肇氏の試算では、間接的な効果を含めても米国にとって〇・三から〇・四%のGDP(国内総生産)押し下げ効果にとどまるとしている。アメリカ経済は減税などの政策効果で年率三%近い成長が予想されており、アメリカのGDPの規模は二十兆ドル(約二千二百兆円)であることからも、影響は限定的であると予測されている。
 他方、日本のGDPは約五百兆円でアメリカの約四分の一で、経済成長率も平成三十年は一%前半であり、アメリカの三分の一程度に過ぎない。このため、中国からアメリカへの輸出が減少すれば、中国を最大の輸出先とする日本が受ける影響は小さくない。中国からアメリカへの輸出製品に使われる部品などを日本の企業が生産し、輸出しているためである。
 シティグループ証券の村嶋帰一氏の試算では、関税と報復措置でアメリカの対中貿易赤字が五百億ドル減少すれば、日本の中国への輸出減少や設備投資の抑制などを通じて、日本のGDPは〇・二七%押し下げられるとした。経済協力開発機構(OECD)の予想では、日本の成長率は今年、来年とも一・二%であるため、約四分の一が失われる可能性が高い。
 これらを踏まえて、以下質問する。

一 七月六日にアメリカが三百四十億ドル相当の中国製品に対し二十五%の関税適用を予定通り実施したが、これにともなう日本経済への影響、具体的には、中国からアメリカへの輸出製品に使われる部品などを日本の企業が生産し輸出していることに起因する日本のGDPの押し下げはどの程度であると試算しているのか。政府の見解如何。
二 一に関連して、政府はこれに対する何らかの経済対策ないし金融政策上の措置をとる予定はあるのか。
三 七月十一日にトランプ大統領はアメリカが二千億ドル相当の中国製品に十%の追加関税を適用する方針を表明したが、これが実施された場合の、これにともなう日本経済への影響、具体的には、中国からアメリカへの輸出製品に使われる部品などを日本の企業が生産し輸出していることに起因する日本のGDPの押し下げはどの程度であると試算しているのか。政府の見解如何。
四 三に関連して、政府はこれに対する何らかの経済対策ないし金融政策上の措置をとる準備をしているのか。
五 右に掲げたように、関税と報復措置でアメリカの対中貿易赤字が五百億ドル減少すれば、日本の中国への輸出減少や設備投資の抑制などを通じて、日本のGDPは〇・二七%押し下げられると試算されている。日本の成長率は平成二十九年、同三十年とも一・二%であるため、その約四分の一が失われる可能性が高い。このような外的要因により日本経済の成長が著しく鈍化する懸念があるが、政府の見解如何。
六 今次のトランプ政権による対中報復関税が発動されても日本経済への影響はないと考えているのか。それともあったとしても小さいものであり、金融政策上の措置などで吸収できると考えているのか。政府の見解如何。

 右質問する。



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